みなさん食事の盛り付け方、気にしてますか?
「本当はもう少し…」と思っても、センスが必要そうでハードルが高そう…
そこで、「理想を叶える盛り付けサロン」を運営している野坂まりあさんと一緒にブッフェに赴き、直接盛り付けのコツを教わりました!
単なるセンスや技術の話かと思いきや、そこには「盛り付けが、自分自身を大切にすることに繋がる」という、予想外に深いテーマが隠されていました。

鳥取県米子市出身。中海テレビ放送のアナウンサーを経てフリーアナウンサーに転身。10年以上にわたり、キャスター・リポーターとして情報番組に出演。鳥取県で初開催となるキャラ弁コンテンストのプロデュースや日本で初となったコンビニからのキャラ弁発売の監修なども行う。
美しい盛り付けは「3つのポイント」で決まる!
今回伺ったのは飯田橋駅・水道橋駅より徒歩5分、『ホテルメトロポリタン エドモント』内にあるダイニング・カフェ 「BELTEMPO(ベルテンポ)」!
約60種類ものバラエティー豊かなメニューが並ぶ自慢のブッフェとアラカルト料理をお楽しみいただけます。(詳しくはコチラ!)今回は平日のランチブッフェにおじゃましました。

——本日はよろしくお願いします!生まれて34年、一度も「料理を美しく盛ろう」と思ったこともない男の目を覚まさせてください。
野坂さん:任せてください!今日は実践しながら盛り付けについて教えられますね!それではさっそくやっていきましょう!
まず何もアドバイスしませんので、普段通りワンプレートに盛り付けていきましょうか。
——わかりました…やってみます!しかしブッフェはいつ来てもテンションが上がりますね!

(悩み中…)

(盛り付け中…)
——できました!とりあえずは普段通りに、何も考えず本能の赴くままに食べたいものを取ってみました。……いかがでしょうか?

野坂さん:なるほど………コレは……………。
——野坂さんが言葉を失っている…
野坂さん:(笑)いや、がっつり食べられそうで男性らしいなって思います!でも、ブッフェって何回でも取りに行けるのが良い所ですよね。だから、1回でこんなにがっつり取らなくても良かったのかなって。
——それはホントにおっしゃる通りです。
野坂さん:私も試しに一回盛り付けてみました。こんな感じでどうでしょうか?

——おおっ!美しい!!なんだかとてもお上品…
野坂さん:メニューも多くて、どれを盛り付けるか少し迷っちゃいましたがキレイにできましたかね?

——こうして比べるとより差が出ますね…こちらの皿にはセンスの欠片もない。
野坂さん:いえいえ、盛り付けはセンスより理屈なんですよ!
今日はぜひ覚えてほしい『盛り付けのポイント』が3つあるのでご紹介しましょう!まずその1!
1.大きめのお皿には『余白』を持たせる!
——余白ですか。そんな発想全くなかったです。
野坂さん:このお皿は縁がないタイプですけど、『見えない縁』が指2〜3本分あると想像して、そこを空けるんです。
それと、メニューが豊富なのでモリモリ取るより、1種類ずつでも品数を多めに取った方が楽しめますよね。その時、料理と料理の間にわざと隙間、余白を持たせるんです。

野坂さん:見た目の美しさはもちろんですが、ソースや味が混ざらないようにするためでもあります。シェフが一品一品心を込めて作っているので、その味をしっかり楽しむためにも余白は大切です。
——確かに!そのあたりも大雑把でしたね。じゃあ、僕のこのお皿は品数を減らして余白を作った方がいいんですね!
野坂さん:そうですね。例えばこのお魚、4つありますけど1つにしてみる。お肉も大きさが違うものが2つありますが、他のお料理と大きさを合わせて、例えば小さい方1つにするとか。
ワンプレートは基本的に大きさを揃えると盛り付けやすいです。お弁当はまたちょっと違いますけどね。その上でアクセントになるものを作ると目を引きます!
そして、2つ目のポイントは…
2.『彩り』を意識!似た色が隣同士に来ないように、バラけさせる
野坂さん:例えば、葉っぱ(緑)の隣にブロッコリー(緑)が来ると、お互いを消し合ってしまう。だから、反対色を隣に持ってきたり、斜め向かい側に配置したり、遠くに置くといいんです。私のお皿も、揚げ物(茶色)などをあえて離して置いています。

野坂さん:あと、ブッフェってメインの料理本体だけでなく、ベビーリーフやミニトマトなんかの付け合わせも置いてありますよね。それも一緒に盛り付けてあげると、より美しくなります。お店の方が『一緒に食べるものですよ』と出してくれているので。
——僕のは脇に置いちゃってました…。ちゃんと後から盛り付けるんですね。
3.『高さ』もポイント。高低差をつけると美しい!
野坂さん:和食は平べったくても多少まとまりますが、ブッフェだと小さな器に入ったスープみたいなのを活用して、高低差を出してあげるとより美しく映えます。

野坂さん:あと、パスタはトングで取る時に少しクルクルっと回すようにしたり、サーバーがあればスプーンの上で巻いたりすると、高さを出しつつ綺麗にまとまります。
量はもう少し少なくてもいいかも。具材のしめじなんかは、麺を盛った後に上からちょん、と乗せるといいですよ。
——なるほど『余白』『彩り』『高さ』ですか…これは教えてもらえればすぐにでも試せますね。
野坂さん:はい!この3つのポイントを意識さえすれば、美しく盛り付けるのはそれほど難しいことではありません!
でも、この3つ以外にも細かいポイントなどもありますので、サロンではより詳しく教えています。
——それにしても、盛り付けを見られるのって、なんだか恥ずかしいですね。自分の内面を見られてるような…
野坂さん:(笑)すごい分かります!私もよく食べる方なので、『がっつり食べる性格なんだな』とか思われてる気がして。丸裸にされてるような恥ずかしさ、ありますよね。
「自分だから適当でいいや」が価値観になってしまう怖さ

——しかしですよ、こうして人に見られる可能性があるブッフェとかならわかるんですが、普段家で食べるときは盛り付けなんて適当でいいんじゃないですか?
野坂さん: そんなことないです!!!そして、これが一番お伝えしたいことなんですが、盛り付けは「自分を大切にできるようになる」ことに繋がるんです。
多くの方が、自分が1人で食べる分は「適当でいいや」ってなりがちなんです。例えば、買ってきたお惣菜をトレーのまま食べたり、フライパンや小鍋からそのまま直接食べちゃうとか。
でも、その「自分のことだからいいや」という意識が、だんだん自分の「価値観」になってしまうんです。
——自分の価値観、ですか?
野坂さん: はい。人間って、どうしても自分をベースに物事を考えますよね。だから、自分に「この程度でいい」と接していると、それが当たり前になって、相手に対しても「この程度でいいや」という接し方になってしまうんです。
——逆に言えば、自分を大切にすることが大事だと。
野坂さん: そうなんです。「自分だからこそ」丁寧に接する。日頃から自分に対して、彩り豊かに、綺麗に盛り付ける、バランスを考える。そうやって丁寧に接していると、それが自分の価値観になります。
そういう価値観で人と接すれば、相手に対しても自然と丁寧に接することができるようになるんです。だから、私が主宰するサロンの最初のレッスンのテーマも「自分をもてなすワンプレート」でした。
——自分を大切にすることが、周りの人への接し方を変えるんですね。
野坂さん: まさにそうです。自分を大切にできない人は、周りの人も大切にできません。
私たちは毎日3食、食事をしますよね。食事は絶対に避けられない、一番身近なものです。その食生活を整えることが、自分を大切にする一番の近道だと私は思います。
忙しい人こそ「自分を大切にする」ワンプレートを

——野坂さんが運営されている「理想を叶える盛り付けサロン」についてもお聞かせください。具体的にどんな活動をされてますか?
野坂さん:メインはZoomでのレッスンです。実際に食材や料理を用意してもらって、一緒にポイントを押さえながら盛り付けていきます。レッスンはアーカイブも残してありますので、リアルタイムで参加できなくても、後から好きな時に見直せますよ。
また、サロン内では写真を投稿してもらってアドバイスする『投稿型レッスン』もやっているんですが…やっぱり皆さん『恥ずかしい』みたいで(笑)
——あ、今日の僕と一緒ですね(笑)確かに自分のを採点してもらうのは勇気がいります。
野坂さん:(笑)なので、ある時『LINEで見てもらえませんか?』と言われて。皆さんの前は恥ずかしいけど、こっそり学びたいというニーズもあるんだなと。それからはLINEでの個別指導も受け付けています。
——では最後に、特にどういった方に野坂さんの盛り付け術を知ってほしいですか?
野坂さん:やはり先ほども言ったように『自分を大切にする』ってことを一番に伝えていきたいんです。特に、家族のためにご飯は作るけど、自分のことは適当になっちゃってる…という主婦の方に一番届いてほしいですね。
——うちの母もそうでした…
野坂さん:圧倒的に多いと思うんです。もちろんそれだけでなく、ママ友や仕事関係の人が家に来る時のランチに悩む方、デパ地下でお惣菜を買ってきたけどどう盛り付けたらいいか分からない方にも、役立つ情報を発信しています。
そして、小料理屋のおかみさんとか、ちょっと盛り付けを勉強したいなっていうプロの方も大歓迎です。ぜひ一度、サロンを覗いてみてほしいなと思います。
盛り付けはセンスではなく、「余白」「彩り」「高さ」というシンプルな理屈でした。そして何より、盛り付けは「自分を大切にする」ことにつながるという深いテーマ。
「自分だから適当でいい」はもう終わりです!まずは今日の一皿から、自分自身を丁寧にもてなしてみませんか?


