今年も残すところあとわずか。「一年間、よく頑張った!」と、自分へのご褒美を考えている方も多いのではないでしょうか? ブランドバッグ、高級ホテルのスパ、あるいは豪華なディナー……。
しかし、その「欲しい」の裏側に、「本当は満たされていない別の欲求」が隠れているとしたら?
今回は、DMMオンラインサロンで「pure life ヴィレッジ」を運営中の本橋さんをゲストに迎え、DMM社員の北島が実際に「自分へのご褒美探し」のワークを体験。その過程で見えてきたのは、単なる物欲の解消ではなく、人生の純度を高めるための「自己理解」という深いテーマでした。

『pure life diary』考案者、ライフコーチ。 コーチングとウェルビーイングを融合した『pure life diary』を考案し、feppiness株式会社を設立。 現在はプロダクト開発や対人支援、コミュニティ運営を行う。
ペンシルバニア大学のポジティブ心理学プログラムを受講、桜美林大学大学院ポジティブ心理学の修士課程に在学中。著書『理想(仮)』『人生の純度が上がる手帳術』など。趣味はフリーダイビング。
「本当に欲しいモノ」の見つけ方
—— 今日はよろしくお願いします! 早速ですが本日は、「自分へのご褒美」を通じて自己理解を深めてみようかと思いまして、僕も考えてみたんです。やっぱり一年頑張ったので、「豪華な高級ディナー」を食べに行きたいと思ってます!
なるほど、高級ディナーいいですね! では北島さんに質問です。「高級ディナーを食べること」は、あなたにとってどんな意味があるんですか?
—— えっ、意味ですか? ……うーん、やっぱり美味しいものを食べて「幸せな気持ちになりたい」から、ですかね。
では、さらに深掘りしますね。 北島さんが言う「幸せ」って、具体的にどういう状態のことを指すんでしょうか? これは「名詞限定」と呼ばれているんですが、「その言葉の定義は何か?」みたいに分解していくんです。言葉の定義って実は人によって全く違うんですね。
——幸せの定義……。 そう言われると、単にお腹が満たされることじゃない気がします。 「自分が知らなかった体験」をしたいとか、「こんな美味しいものがあったんだ!」という新しい発見に出会えること。それが幸せかもしれません。
おお、いいですね! 「新しい体験」や「発見」というキーワードが出てきました。 では、その新しい体験をした後、どうなると一番嬉しいですか?
—— 体験して終わり、じゃないですね。その体験で得た感動や知識を、自分の中で落とし込むというか…自分の思考やアウトプットに影響をもたらしたら嬉しいですね。
繋がりましたね! つまり、北島さんにとっての「最高のご褒美」は、「考え抜かれた新しい体験をして、それを自分の血肉にし、昇華させること」なんですね。
……さて、ここまでの話の中に、「高級」とか「ラグジュアリー」という言葉は一度でも出てきましたか?
—— ……あっ!! 一度も出てきてないです(笑)。
そうなんです(笑)。おそらく最初の「高級ディナー」というのは、外部の軸である世間一般の価値観や、「高級な店に行けば承認欲求が満たされるかも」という無意識のズレから出てきた言葉だったのかもしれません。

—— 本当ですね……。今の分析でいうと、僕にとっては高級フレンチじゃなくても、食べたことないものを食べるとか、未知の体験の方が「ご褒美」になるかも。
その通りです! たとえ安食堂でも、そこに作り手の哲学があったり、未知の衝撃があれば、北島さんにとっては「最高のご褒美」になります。逆に、どんなに高級でも、ありきたりな体験なら満足できないかもしれない。
—— 「高級ディナー」がいかに安直だったか、思い知らされました(笑)。でも、このたった数分の対話で、自分が本当に求めているものがクリアになったのは衝撃です。
「TO DO 思考」を「TO BE 思考」に
——今のワーク、すごく面白かったんですが、一人だとなかなか気づけないですね。どうしても「バッグ欲しい」とか「高い肉食べたい」みたいな表面的な欲求に流されてしまいます。
それは、現代人の多くが「TO DO 思考」に追われているからなんです。
——「TO DO思考」、ですか?
はい。「やらなきゃいけないこと(TO DO)」をこなすことに精一杯になってしまっている状態です。 例えば、1日のタスクが20個あって、18個こなせたとします。でも、残りの2個ができなかった時、「ああ、また出来なかった」って自分を責めてしまいませんか?
——めちゃくちゃ分かります。できている18個より、できていない2個に目が向いて自己嫌悪になります……。
そうして自己肯定感が下がると、手っ取り早く自分を満たすために、分かりやすいブランド品や他者承認を求めてしまうんです。これが「ご褒美のズレ」の原因です。
私たちが大切にしているのは「TO BE 思考」。 「何をしたか」ではなく、「自分が何を大切にしたいか、自分のありたい姿」を軸にすることです。先ほどのワークのように、自分の「TO BE」が分かっていれば、ご褒美選びも迷わなくなります。
——pure life ヴィレッジでは、そういった「TO BE」を見つけるための活動をされているんですね。でも、いきなり「自己理解」と言われても、初心者は戸惑ってしまいませんか?
おっしゃる通りです。特に長く続いているコミュニティに入ると、古参のメンバーさんがキラキラして見えて、「自分なんて……」と他人軸で比較して自信を喪失してしまうことがあります。これが入会直後の離脱原因になりやすいんです。
—— あー、それも「あるある」ですね。気後れしちゃうというか。
だからこそ、私たちはオンラインサロンには珍しく、入会初月に全員と「個別セッション」を行っています。
最初に「あなたはこのサロンでどうなりたいの?」「何に困っているの?」という方向付けをしっかり行うことで、安心して自分のペースで進めるようになるんです。「ただ分かる」ではなく、「人生が変わる」まで伴走したいと思っているので。
「知っている」だけでは人生は変わらない。「実践」するためのコミュニティ
——そんなpure life ヴィレッジについて、どういった場所なのかもう少し詳しく教えてください。
そうですね。私たちが扱っているのは仕事、趣味、家族、パートナーシップ、お金、学びといった、人生に関わるすべての領域です。 このサロンの趣旨を一言で言うなら、それら全領域において、知識を得るだけでなく「実践」をしていく場所だということです。
——「実践」ですか。あえてそこを強調されるのには、何か理由があるんでしょうか?
今の時代、検索すれば答えはすぐに見つかりますよね。AIに対話形式で聞けば、それらしい答えはパッと出てくる。 でも、そこには2つの大きな問題があるんです。
一つは、「その答えが本当に自分に合っているか分からない」という問題。 そしてもう一つは、「分かったとしても、行動できない」という問題です。
「分かる」と「できる」の間には、ものすごく大きな距離があるんですよ。 知識自体の価値が相対的に下がっている今の時代だからこそ、この距離を埋めて「実践する」ことに価値があると考えています。
人間は本能的に変化を嫌い、コンフォートゾーンに留まろうとする性質がありますから、一人で現状を打破するのはすごく難しいことなんです。
—— 変化を嫌うというのはよくわかります。ではどうすればその壁を越えられるんでしょうか?
だからこそ、「環境」と「繋がり」が必要なんです。 一人では動かせないコンフォートゾーンも、同じ志を持つ仲間がいる環境に身を置くことで、自然と引っ張り上げられ、スムーズに実践できるようになる。 私たちがオンラインサロンという「場」を作った最大の背景は、まさにそこにあるんです。
スケジュール管理を“しない”手帳
また、多くの会員さんが使っている『pure life diary』という手帳があるんですが、これは「スケジュール管理をしない手帳」なんです。

——手帳なのにスケジュール管理しないんですか?
効率化や予定管理は、Googleカレンダーなどのデジタルツールに任せればいいんです。この手帳は、アナログで「自分の感情や価値観」と向き合うためだけのツール。 TO DOを書くのではなく、TO BEや、今日できたこと、感じたことを書き留める。そうやって「自分との対話」を習慣化していきます。
自己理解に理想的なコミュニティ
—— 自己理解が大事なのは分かったんですが、それを継続するのって難しくないですか? 僕も含め、みんなすぐ忘れちゃうと思うんです。
そうですね。だからこそ、私たちのコミュニティには「アウトプット」の文化が根付いています。イベントやワークがあると、皆さん自発的に、しかもものすごい長文で振り返りを投稿してくれるんですよ。
——自発的に長文ですか!? 強制ではなくて?
はい。実はこれ、「内向型」の人が多いからこその現象なんです。
内向型の方は、自分の中で情報を咀嚼して内省するのが得意です。だから、一度言語化すると深いアウトプットが出てくる。 すると、ある人のアウトプットが、それを見た別の人のインプットになるんです。
—— それは理想的なサイクルですね!
「同じセミナーを受けたのに、私はそこに気づけなかった」「そういう視点もあるんですね」といった感想が飛び交うことで、1回の学びが何倍にも深まるんです。これがコミュニティの最大のメリットですね。
脳に染み込ませる「5ラウンドシステム」
—— 「コンテンツを消費して終わり」になってしまう問題、今の時代すごく多い気がします。「分かったけど変われない」という悩みも、結局は消化不良が原因ですよね。
まさにそうです。そこで私たちが取り入れているのが、教育業界の理論に基づいた「5ラウンドシステム」という考え方です。
例えば日本史の授業で、1年かけて縄文時代から近代までじっくりやるとしますよね。でも、近代をやる頃には、最初の縄文時代のことは忘れてしまいませんか?
—— 完全に忘れてますね。じっくりやるほど最初の方の記憶は薄れてると思います…
ですよね。だから、1年かけて1周するのではなく、スピードを上げて「1年で5回転」させるんです。
1周目はざっと全体像を掴む。まだ理解が浅くてもいいんです。でも、2周目、3周目と繰り返すうちに、「あ、前回は見落としていたけど、こういう意味だったのか!」と、回を重ねるごとに解像度が上がり、腹落ちしていくんです。
コミュニティ内では開催した勉強会を、「アーカイブ上映会」というイベントで繰り返し視聴できるようにしているので、「5ラウンドシステム」が浸透しやすくなってます。
——アーカイブを置いておくのではなくて「上映会」というのが良いですね!
はい。一人だと先延ばしにして観ないままになったりするので、それを防ぐことや、上映会で一緒に視聴することで、気づきや疑問をチャットに書き込み、その場にいるメンバーとの意見交換や疑問解決にもなります。
多様性が「人生の純度」をさらに高める

——仕組みがめちゃくちゃ考えられていて驚きました。最後に、サロンの今後について考えていることはありますか?
大きく2つあります。まずは、メンバーさんをもっと増やしていきたいですね。 現在100名ほどですが、人数が増えると「属性」のバリエーションが増えます。多様な人が集まることで、自分とは違う視点に出会えるチャンスが広がり、より深い自己理解につながります。
もう一つは、オフラインのイベントを充実させたいです。 地方にお住まいの方も多いのですが、例えば「島根」でイベントをやりたくても、会員さんが1人しかいないと開催が難しい。でも、人数が増えれば全国各地でリアルな交流が生まれます。
——それはぜひ実現してほしいです! 今日お話ししたような「本音の対話」をリアルでできたら、熱量がすごいことになりそうですね。
私たちは「変わりたいけど変われない」という人の間にある壁を取り払って、本当に実践できる場を作りたいんです。ぜひ、多くの人にこの「村(ヴィレッジ)」へ遊びに来てほしいですね。
モノの消費ではなく、「TO BE」を満たすプロセスこそが最高のご褒美。 「pure life ヴィレッジ」は、その答えを自ら見つけ、人生を変える実践の場なのかもしれません。
今年の年末は「自分へのご褒美」を買う前に、一度自分に問いかけてみませんか? 「そのご褒美で、私はどんな気持ちになりたいの?」と。


