「森には情報がたくさん!」“森の案内人”と見つける、居心地のいい空間

著者名CANARY 編集部
「森には情報がたくさん!」“森の案内人”と見つける、居心地のいい空間

全国の森を案内する「森の案内人」として活動している三浦 豊さんが、森林の魅力を仲間と分かち合う場として運営しているのが『みんなの森のサロン』です。

今回はそんな三浦さんが案内する、奥多摩・御岳山ツアーに同行。より楽しくなる森の歩き方、そして三浦さんの人生を変えた哲学を、ツアーレポートとインタビューでお届けします!


三浦 豊(みうら ゆたか)

1977年京都市生まれ。 庭師の修行後、日本の自然や風土をもっと知りたくなり、全国津々浦々を20年間漫遊。とてつもなく感動しこれを分かち合うため、2010年より全国の森を案内する「森の案内人」として活動を開始。今まで訪れた森林などの自然の名所は3000カ所以上。


情報に満ちた奥多摩・御岳山を歩く

今回は、東京のまち歩きツアーを企画している『まいまい東京』さん主催のツアーに同行させていただきました。

ツアーが開催されたのは11月中旬、御岳山でも紅葉が丁度楽しめました。天気も良いし空気が澄んでいて、とても良い気持ち!

実は筆者も、以前は「ツアーよりも一人で静かに歩いた方が、もっと自然の感動を深く感じられるのではないか」と考えていました。しかし、今回三浦さんの御岳山ツアーに同行して、その考えは大きく覆されました。

三浦さんは、森を構成する一本一本の木や地形、植生に対して、様々な情報を提供してくれます。例えば、

「びっくりすることに、これモミジなんですよ。チドリノキといって、れっきとしたカエデ属です。特徴として、葉っぱが同じところから出てくる。そしてね、こういうプロペラ状の種をつけて、風で飛ばすんです。だから、カエデって漢字で『木』に『風』と書くんですよ」

と、その名前の由来から生態を解説してくれます。

実際に見つけたチドリノキの種は、まさにプロペラ状。「これがね、チドリノキの種。よかったら、触ってあげてください」と参加者に手渡されます。

「この種がすごいのは、風で飛ぶだけでなく、川に流れたらイカダになるんです。カエデ属は水際にいるから、川の流れでも運ばれちゃう。しかも、このチドリノキは日本の固有種なんです。世界で日本にしかいないんですよ」

さらに、木々の生き方にも深い哲学が隠されていました。

「このチドリノキは、根元から何度も人生やり直せるように株立ちになるんです。枝を伸ばすのは光合成のためだけではありません。枝を伸ばすことによって、自分の体のバランスを取っているんですよ。考えれば考えるほど深くてね。すごいと思いませんか?」

このように、森が「ただの景色」ではなく、何千年もの情報が詰まったデータベースへと変わる体験をしました。

自分1人だったらスルーしていた部分に、一つひとつ意味が生まれる。この気づきこそが、三浦さんが私たちと共有したい「森の魅力」なのだと理解しました。

「居心地のいい空間」を探して日本中を巡った先に

ツアーを終え、森の魅力と知識を惜しみなくシェアしてくれた三浦さんご本人に、改めて「森の案内人」になった経緯や、サロンにかける想いを伺いました。

 

——本日はご同行させていただきありがとうございました!少し三浦さんご自身についても伺いたいのですが、そもそも「森の案内人」とは、どのようなお仕事なのでしょうか?

一言で言うと、「森のパシリ」です(笑)。

私は単純に森が好きなおじさんで、それ以上でもそれ以下でもありません。森が「三浦、ジュース買ってこい」と言ったら「はい!」と応じるような、森が主体となる存在です。

なぜ森を案内するのかというと、森の圧倒的な美しさや感動を、「みんなと共有してウェイウェイしたい」という想いが根底にあります。日本中には素晴らしい自然が溢れているのに、なかなか知られていない。だから、「行かれない人にも知ってもらい、体験してもらう」ことが、案内人としての役割だと考えています。

 

——「森のパシリ」ですか…そこまで森に惹かれたきっかけは何だったのでしょうか?

遡りますが、私は元々建築を学んでいました。大学3年の夏に、東京の街中でアスファルトから生える雑草を見て、「放っておいたら森になるんだな」と気づいたのが始まりです。

同時に、建築を通して「居心地のいい空間ってどういう空間なのかな?」という問いをずっと持っていました。植物が風に揺れている空間はポイントが高い、居心地のいい空間は人間だけが作れるわけがない、という考えに至ったんです。

そこで京都で庭師の仕事に就き、「いい庭」とは何かを探求しました。庭の良し悪しを比較するうち、「いい庭とは長くいたい場所である」と気づき、さらに「居心地の良さ」の秘訣は、自然と人がどちらもイニシアチブを取らない「グレーゾーン」にある、という結論に達したんです。

しかし、自然の営みを知らないといい庭は作れないと思い、会社を辞めて5年間、日本中を一人で放浪しました。

 

——いきなり5年間も!てっきり三浦さんは山に囲まれて育っていたと思っていました…

しかしその旅の中で、私のそれまでの世界観は覆されました。「手付かずの原生林が全て美しかった」んです。

人が手を入れていないにもかかわらず、どこもかしこも綺麗で、手を入れることで生まれる美しさという自分の理屈が通用しませんでした。この圧倒的な美しさ、そしてその謎を、「これはみんなと共有したい」と思い、森の案内人になったという経緯です。まあ謎は今でも謎のまま、「永遠の謎」って感じですが(笑)

 

——自分の考えが覆させるほどの魅力が自然にはあったんですね。今回歩いた御岳山の惹かれるポイントはどこでしょうか?

御岳山の大きな魅力は、「自然の営み」だけでなく、「人の営み」が加わっている点です。アクセスが良いことも魅力ですが、それ以上に、古来から人が住み、神社があり、街道でもあったという、歴史の深さがあります。

大自然の営みだけでも面白いですが、そこに「人」という要素が入ることで、さらに面白さが増します。オオカミ信仰など、物語が生まれている場所だからこそ、より深く森を楽しむことができるんです。

——サロンの中では具体的にどんなコンテンツがありますか?

オンラインでは、月に2回の「森のスライドトーク」というのをやっています。日本全国の森や自然の名所を、写真とともにご紹介しています。また、過去約200話分のスライドトークのアーカイブ視聴も可能ですので、見逃した回も気軽に振り返ることができますよ。

そしてなんと言ってもほぼ毎月1回、実際に森を歩く「リアル森ツアー(オフ会)」を開催しています!季節ごとの森の表情や、現地でしか味わえない空気を、初心者の方も一緒に体感できる場となっています。

 

——毎回ツアーの場所から企画まで三浦さんが直接やられてるんですね。

今回みたいな場合は『まいまい東京』さんと一緒に相談しながら決めてますが、オフ会の際はそうですね。

他には個人的な依頼なんかもたまにあります。例えば、以前、「自宅から職場までの通勤路にある木々を教えてほしい」という依頼を受けたことがあります。その道すがらの木々の背景を知ることで、「俺の毎日の通勤が楽しくなる!」と、その方はとても喜んでくれましたし、私もすごく刺激的でした!

——最後に「みんなの森のサロン」で実現したいことや、今後の展望などをお聞かせください。

オンラインだからこそ、日本中にこんなに豊かな自然があるという感動を、どこからでも感じてほしいと考えています。

今後も、私自身は「森のパシリ」として、純粋に森を好きという気持ちを大切にしながら、リアルとオンラインを問わず、日本の自然の豊かさを共有していきたいと思っています。


三浦さんにかかれば、私たちが普段見過ごしている景色にも意味と深みを与えてくれるかもしれません。

ぜひあなたも、「みんなの森のサロン」で、その哲学と知恵に触れてみませんか?リアルなツアー体験からオンラインでの深い学びまで、「森のパシリ」があなたの人生を豊かにする最高の道しるべとなってくれるはずです!

三浦 豊 - みんなの森のサロン - DMMオンラインサロン
三浦 豊 - みんなの森のサロン - DMMオンラインサロン森の案内人・三浦 豊と、日本中の森林や自然、名所を巡る大旅行へ。月2回のスライドトークやバーチャル森ツアー・時々行うオフ会で、森林の魅力と仲間に出会えます。
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