大学時代に型破りな音楽に視覚的な要素を加えた演奏会に参加
新垣隆はピアノが好きだった母の影響で4歳から始め、ヤマハ音楽教室で作曲を学んだ。そんな頃から、ショパンの『幻想即興曲』に憧れた。小学4年生でロシアの作曲家ストラビンスキーの『春の祭典』などの影響を受けた、というから音楽への才能は幼くして芽生えていた。
千葉県立幕張西高校音楽科の時、自作した曲を指揮しながら、アマチュアのオーケストラがコンサートで演奏するというチャンスに巡り会う。これを契機に、フランスの作曲家ドビュッシーや前衛的な要素を交えた作曲の世界へ進む。
桐朋学園大学音楽学部に在学中、学生仲間と型破りな音楽に視覚的な要素を加えた演奏会『冬の劇場』に参加したというエピソードからも、その非凡さが窺える。 卒業後は、作曲家兼ピアニストとして多岐にわたって活動。昭和期に於ける作曲家の研究に携わり、現代音楽をメインに映画やCM音楽の作曲も手掛けた。
それでも曲は素晴らしい・・・『交響曲第1番 HIROSHIMA』
出典:新垣隆ゼミナール
作曲家として、過去の新垣隆作品の中で最も高い評価を受けているのが『交響曲第1番 HIROSHIMA』。当時、「すべての聴き手を巻き込む魅力に富む傑作」と専門家からも賞賛を得ている。ゴーストライター発覚後、今もなお「それでも曲は素晴らしい」「楽曲に罪はない」という声は多い。
最近、BBC(英国放送協会)のインタビューを受け、世界に配信。ピアノ協奏曲「新生」の一部を放送し、最後に13年ぶりとなる新交響曲「連祷-Litany-」が紹介された。更に、それらがイギリスの名門レーベル「Decca」から世界配信、CD化されることにもなった。
The Japan Timesの取材を受けるなど、テレビやラジオの番組にも出演する機会が増え、親しみやすい一方、世界に羽ばたく作曲家として輝きを増している。
また、YouTube の新垣隆公式チャンネルでは、ピアノを弾きながらアレンジする曲の解説を動画で鑑賞できる。
作品が多くの人に聴いてもらえることが純粋に嬉しかった
出典:新垣隆ゼミナール
佐村河内守のゴーストライター問題について、新垣隆は「自分が作曲した作品が、映画音楽やゲーム音楽でも、多くの人に聴いてもらえる。その反響を聴くことが純粋に嬉しかった」と語っている。
新垣隆を知る人たちから彼は、「俗世間の欲から果てしなく遠い人」、「非常に優秀な作曲家でピアニスト」と評されている。周りの関係者も、「誠実で控えめ。人間性が優しい」と、否定的な発言をする人がいない現代音楽の第一人者というのが定説になっている。
ゴーストライター問題を自ら公表後、約20年務めた母校の非常勤講師を辞職した。ネット上では学生たちが慰留を求める署名活動を行い、一時は白紙に戻った。しかし、新垣自身が再度、非常勤講師職の辞退を申し入れていた。
初著書の「音楽という<真実>」も小学館から出版され、自身の生い立ち、音楽に対する熱い思い、騒動に至る顛末などが真摯に語られている。
新垣隆の作曲やクラシック、コンサートへの想いに触れることができる
あらためて作曲家として脚光を浴び、優れたピアニストでもある新垣隆の作曲やクラシック、コンサートへの想いに触れることができるのが、オンラインサロン『新垣隆ゼミナール』。
「現代音楽=難解なもの」というイメージを払拭してくれる現代音楽講座をはじめ、新垣隆によってどう変化するのかが分かる編曲実践、マネージャーが動画で活動の舞台裏などの密着レポートしたり、会員の交流を目的とした新垣隆ゼミナール・ライブ(※現在企画中)など盛りだくさん。
現代音楽に興味があるという方は、この機会にのぞいてみては?