美人哲学作家が語る 人生を変えたアーティストと、1冊の本との出会い

著者名原田 まりる
美人哲学作家が語る 人生を変えたアーティストと、1冊の本との出会い

哲学とはなにか…「多神教の古代ギリシャでは、人がプシュケーで動くものならば、自然もまたプシュケーである」というのも哲学ですし、「クローンやAIが進化していく近未来において人間はなにをすべきか」と考えるのも哲学となるでしょう。

それらは「哲学」の用途の一例であり、本質的には「哲学とは、あらゆる前提を疑うこと」だと私は考えます。けれどもまぁ、その考えも「哲学」するのであれば、正しくないかもしれないですし疑う余地があるものだと思います。

異色のキャリアから哲学の道へ

ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。

私は『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(第五回京都本大賞受賞・ダイヤモンド社)『哲学手帳』(扶桑社)そして11月28日に366日の日めくりで哲学の言葉を楽しめる『まいにち哲学』(ポプラ社)などを執筆しています。

大学では哲学を勉強しましたが、アカデミックエリートでもなんでもなく、ほぼ独学で哲学書に触れてきました。

執筆業に至る前の前職はレースクイーンで、菜々緒さんや吉岡美穂さんを輩出している”レースクイーン・オブ・ザ・イヤー”というトップ賞をとった後、カードゲームのプロデューサーを経て、男装アイドルグループ「風男塾」のメンバーとして活動していたという……異色キャリアです。

けれども、そんな紆余曲折しかない人生の岐路で哲学を学んでいてよかったなぁと思うことは多々有ります。

“人生とは?”抽象的な問いの答え

ALL TIME BEST

 

よくインタビューなどで「元々哲学に興味をもったキッカケは?」という質問を受けますが、私が哲学に興味をもったきっかけは、尾崎豊です。

高校生の頃に地元京都のレンタルCDショップで、尾崎豊の特集が組まれていたことがきっかけで尾崎豊のことを知り、曲を聴いて驚愕。

「こんなに共感する歌詞のアーティストに初めて出会った!!」と、そこから尾崎の曲をむさぼるように聞き込みました。尾崎の曲には「人生ってなんの意味があるの?」「自由って一体何?」という投げかけ、心の叫びが多く書かれています。

高校生の頃の私は、彼の影響で”人生”とか”生きる意味”についてよく考えていて、そこでシンクロしたのですが、何を勉強すればその答えにたどり着けるのかを知りませんでした。

心理学?宗教学?一体なにを学べば、この抽象的な問いの答えが導き出せるのか。そう思っていた時に出会ったのが、中島義道先生という哲学者が書かれた「不幸論」という哲学エッセイでした。

不幸論 (PHP新書)

不幸論を読んだ時、私は尾崎の曲を初めて聞いた時と同じような衝撃を受けました。「そうだったのか!!哲学を学べば自分が知りたかったことの問いを知ることができるのか!」と。

そこで大学では、当時から興味があったジェンダーと哲学を学びたい!と思い、当時の趣味であった小論文でジェンダー問題に関する私見を書き、AO入試で大学に入りました。

大学生時に「頭文字D」の影響でドリフトの練習をしていたのですが、車のイベントに参加していた時に声をかけられたことがきっかけで芸能界に入りました。しかし、途中で体を壊し、長期間寝たきりの状態になってしまったのです。

頭文字D

その期間に大学をやめてしまったのですが、今になって思えば自分に非があるわけではないけれども、人生ではこうやって不条理なことは起こるんだな。ということを学んだ期間だったと思います。

それからカードゲームのプロデューサーをして、また縁あってまた芸能界に入り男装アイドル活動(ファンは8割は女性でした)をしていたのですが、哲学好きということもあって(?)ものすごく協調性に欠けた問題児として過ごしました。

ユニットの節目にあった大きな会場でのライブの日に、祖父の訃報が入り、ライブではDVD撮影が入ってるのに最後のMCで客席に黙祷を強要して、後で死ぬほど事務所に怒られたり…ユニットの卒業式でスタッフさんが作ってくれた卒業証書をその場で紙ヒコーキにして客席に投げて「じゃーねー!」とあっさり去って死ぬほど怒られたり…。

数えればきりがありませんがスーパー問題児として過ごしました。

けれども小さい頃から執筆業を生業にしたいという夢があったので休みの日は小説を書いて文芸の賞に応募するなど地道な努力もしてきました。

日常的な問いかけを気軽に話し合える場所を

私は「努力の伴わないリスクをとる行為はただのナルシズム」だと思っています。

リスキーに生きることがカッコイイ!ともてはやされる時代ですが、カッコイイのはリスクをとることそのものではなく、リスクをとってまで実現させたいという努力を怠らない姿勢です。

リスクだけ選んで肝心の努力を怠るのは、ただ周りの人を振り回す行為。リスクの先に信念と結びついた努力がなければただ人の注目を集めたいだけのナルシズムです。

…とまぁ、このように物事を考え展開していくのが好きなのですが、このような日常的な問いを持っても、日常会話では若干話す人を選んでしまいます。

そこで、哲学的な疑問をざっくばらんに話せる場を持ちたい!という思いで「この哲学がスゴい!」サロンを開設しました。

このサロンは、自分たちが「なぜ生きてるのか?とか語り合いたい…けど中二病やと思われてまうやろしな」という社会人特有のジレンマを解消できる場でもありますし、サロンメンバーさんの多くはそのように活用されています。

人生は一度きりなので、誰しもが後悔なく生きたい!と考えると思うのですが、人生に正解はありません。成功の定義も、幸福の定義も人によってさまざまですし、先進国になればなるほど幸福度が上がるわけではないという「幸福のパラドクス」というものもあります。

また、男性では42歳くらいから、女性では33歳くらいで「自分の人生本当にこれでよかったのかなぁ…。というか男性・女性として旬をすぎてしまったんじゃないか…?」と自分のアイデンティティが揺らぎ悩み出す、”ミッド・ライフ・クライシス”、通称「思秋期」に突入すると言われています。

哲学を学ぶことで、「出世してボーナスが増えた!」「恋愛を諦めていた矢先、美人の彼女が出来た!」という実利的なラッキーがあった…という話は一切聞いたことがないですが、「人生の岐路の役にたった」という話はよく聞きます。

「転職しようかな」とか「結婚・離婚をどうしたらいいのか」といった人生にまつわる悩みに社会的視点だけでは語れない、個人の価値観が大きく反映する問いに対して、自問自答するには哲学的思考が大切となってきます。

やり直しがきかない自分自身の人生と向き合うために哲学は大きなヒントを私たちに与えてくれるでしょう。

思い込みを再認識させるようなひらめきがある

哲学サロンでは月に2回ほど交流会や勉強会を開いているのですが、その際によく恋愛や人生相談が話題に上がります。

みんな考えることが好きな人たちばかりですが、反対に考えすぎてしまう人が多いともいえますので、さまざまな角度から話し合い、最後は納得して帰られるという流れです。

哲学用語で「タウマゼイン」というものがあり、これはいわゆる「ハッ!」とする、というような意味になるのですが、この「ハッ!」とする感覚が哲学する上では非常に大事なことです。

自分がすでに知っていると思い込んでいたことに、違う角度から光をあて「ハッ!」と覚醒することで、再認識しなおす。

こういったひらめきをもっと気軽に日常にとりいれてもらおう!という思いがあってサロンオーナーの三名は、わかりやすい哲学入門書を書いております。

まいにち哲学

また、オンラインサロンに参加されているサロンメンバーさんは20代前半〜40代中盤くらいがメインで、男女比は3:7で男性の方が多い感じです。

哲学科出身でバリバリ勉強してきました!という人は割合的には少なく、「哲学に最近興味をもちはじめましたけど、入門書1、2冊くらいしか読んだことありません〜」という人がほとんどなので難しい用語が飛び交う議論には全くなりません。

哲学思考を持つことで、人は自由になると私は思っています。尾崎が生きていたらこの思いを伝えたかったです……!

原田まりる・飲茶 - この哲学がスゴい!~ケンカしない哲学交流ラウンジ~ - DMM オンラインサロン
原田まりる・飲茶 - この哲学がスゴい!~ケンカしない哲学交流ラウンジ~ - DMM オンラインサロン人見知りの哲学作家たちと、ゆっくり落ち着いて『哲学っぽいこと』をユルく語り合い、「哲学の知識」を身につけることができます。
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