100切りの次の壁!もっとゴルフが上手くなるために捨てるべき「3つのセオリー」

著者名おくい はつね
佐久間 馨のSメソッドゴルフ研究室

健康やビジネスツールとしてゴルフを始め、気づけば真剣に取り組むようになって数年。スコア100を切ることが増えたものの、なかなかその先の上達が見込めないとお悩みの方は多いのではないでしょうか。

今回は『Sメソッド』でお馴染みの佐久間 馨氏に、中級ゴルファーが陥りがちな「3つのセオリー」とその解決方法を教えて頂きました。ゴルフ術や方法論に留まらず、体も心も無理をしない本質的な佐久間流メソッドをぜひお楽しみください。


佐久間 馨氏 佐久間 馨のSメソッドゴルフ研究室

科学的スウィング解析の第一人者。「パープレイは誰でもできる」という思想で『Sメソッドゴルフ』『NLPゴルフ』を確立。30万部発行の『練習ぎらいはゴルフがうまい!』を始め、多数の著書やゴルフ誌でのコラムを執筆。ゴルフ科学研究所・ゴルフ導夢(ドーム)主宰。2010年ゴルフダイジェストアワード レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。


捨てるべきセオリー①「いいショットを打つ!」という気持ち

─「いいショット」を目指してはいけないのですか?

「いいスコア」で回りたいならやめた方がいいね。「いいショット」を打つって、どうしても無理が出ます。1回のショットのために余計な力や姿勢が要求されるので、他のショットに響いて、ラウンド総合で見たら成績は落ちますよ。

 

─「いいショット」派の方は多いですか?

僕の体感では「いいスコア派」より「いいショット派」の方が多いですね。やっぱり「決まった!」と思えるショットを打つと、気持ちいいもん(笑)。でも「いいショット派」は1度いいショットが打てても他のホールで崩れがちですし、ガッカリしてメンタルも保ちにくい。いいショットじゃなくてもいいスコアで回れることに気づくと「いいスコア派」に転向する方も多いですよ。

まず知るべきは、自分の目的地

何を目指すのか、どんなゴルフをしたいのかを明確にすること。旅行に行くにしてもハワイに行きたいのか伊豆に行きたいのか目的地が明確でないと、交通手段が分からないでしょう?ハワイに行きたいのにちんたら鈍行に乗っても無意味だし、伊豆に行くのに飛行機を選んでも遠回り。

目標が整理されないと、効率的なやり方も分かりません。自分がどんなゴルフをしたいのか。中級者だからこそ一度見直すといいと思いますよ。そして自分が「いいスコア派」だと気づいたなら、一刻も早くSメソッドに切り替えてください(笑)。

捨てるべきセオリー②フォームを「固める」

上達の4段階

佐久間 馨のSメソッドゴルフ研究室

段階1:できない×無意識

段階2:できない×意識

段階3:できる×意識

段階4:できる×無意識

人が何かを上達するために、4つの段階があります。まず1つめはできないことを知らない「できない×無意識」の状態。

靴を履くという行為を例に挙げると、赤ちゃんは自分が靴を履けないことは認識していないでしょう?しばらくすると親が靴を履くのを見て、自分にはできないことだと分かる。これが2つめの「できない×意識」の状態です。

そこから自分も履きたいとチャレンジして、靴を持ち、足を入れというプロセスが分かり靴が履けるようになる。第3の「できる×意識」の状態だね。そしてしばらくすると何も考えずに靴を履けるようになり、第4の「できる×無意識」のゾーンに到達するんです。

 

─確かに、靴を履くときにその手順を考えたりはしませんね

靴は毎日履くものだから、習慣化して第4の状態になりやすいよね。でもこれが頻度の低いものだとどうだろう。例えば年に1度だけやったスキ-やサーフィンを来年またすぐ再現できるかというと、できないでしょう。何が問題だか分かりますか?

 

─頻度が低いと習慣化しないということでしょうか?

頻度の問題もありますが「感覚で覚える」こと「手順が難しい」ことの2つがゴルファーを阻む大きな壁だと思いますね。型や手順はガチガチに固めるのに、そこに理論がないから丸々必死に覚えこもうとする。こんなことをしていると色々なプロセスエラーが起きますよ。

例えば段階2から段階3に行くプロセス。ここは「仕組み」「理論」を頭で咀嚼して意識的に体を動かすことが大事だよね。でも、体の向き、手足1つ1つのフォームに全部ルールが決まってそれを踏襲しないといけないとなったらどうでしょう?まずそれを実践するのが難しいんじゃないかな。

更に段階3から4に行くプロセス。ここは体にその動きを覚えこませることが大事だけど、複雑な理論や手順だと習慣化するのに時間がかかる。だいたい、脳からの指令は体に届くまで0.2秒かかるんです。いちいち意識して指令を出していたのでは、そもそもの理想の型も段々ズレていきますよ。シンプルな仕組みじゃないとやっぱり辛いです。

Sメソッド・Sスウィングとは

Simple(シンプル)、Scientific(科学的)、Stopper(関節をストッパーとしスウィングを加速させる)のがSメソッドです。人の体の動きは連鎖しているので、実は難しいフォームにはこだわらなくても「右ひじを少し後ろに引くだけ」でナイスショットが打てますね。

仕組みはシンプルです。まず人間の下腕には尺骨と橈骨が並行に走りますが、2本の骨を軸に自然と手と腕が動く作用を回外・回内と言います。

右ひじを引いてスウィングすると、右腕は尺骨を起点に押し出されて、左腕は橈骨を起点に手首が回転します。そうすると、ヘッドがたくさん回りますよね。こうすれば効率よくヘッドスピードが上がるんです。

体の自然な動きを利用して、簡単にいいショットを打つ。これがSスウィングの極意の1つです。シンプルでしょ?

捨てるべきセオリー③「消しゴムをひねる」

「体をねじる」で上達できない理由

ゴルフのセオリーとして「体をねじる、回す」というものがありますが、これもSメソッドと大きく異なる点ですね。肩が見えるまで左肩を入れた方がパワーが出るなんて言われますが、このスウィングでなかなか上達しない人が多いのは当たり前です。

だってこの体勢だとボールもターゲットラインも見えませんから(笑)消しゴムをひねる方法で上達しようと思ったら数年かかりますね。

─では、どうすればいいのでしょうか?

シンプルですよ。

例えばこのボールをホールに向かって手で投げてみてください。うん、ほぼ目標地点に落ちましたね。ボールを投げる訓練をしている訳でもないのに、ちゃんと投げられるでしょう?それは、目標に対して腕を真っ直ぐに、手のひらを正面に向けて投げたからなんです。

ゴルフも同じ。クラブを腕と同じく真っ直ぐに、手とクラブヘッドを正面に向ければ良いのです。真っ直ぐ飛ばすのに皆何年もレッスンをしているけど、軌道を正しく作ればちゃんと目的の場所に飛ばせるんです。

「100切りの次」で悩んでいる方へ

「成功するまでは○○○ことをやり続ける」

○○○には何の言葉が入ると思います?どんなことを続けるべきだと思う?

─考える、できる、わかる…何でしょうか?

正解は「ちがう」。違うことをやり続けることですね。

エジソンはフィラメントを発明した時「たくさん失敗したんでしょ?」と言われた時に、真顔で「失敗なんて一回もしていないよ」と言ったんです。Aという材料に電気を通したら光らなかった。次はBという材料を試した。常に違うこと、新しいことを続けることが成功の第一歩なんです。今までと同じことをしても、同じ結果しか出ない。

だから今の結果が足踏み状態にいるという人は、違うことを始めてみるべきだと思います。Sメソッドを「読んだことがあるけど実践には至らない」という人こそぜひ試してみて欲しいですね。


飄々と「他所は3年かかるけど、うちは3日で上手くなるんだよ」と語る佐久間氏。徹底的に理論や人体科学を突き詰め、最短コースを提示する佐久間氏の明快なゴルフ術やその本質的な考え方は、中級ゴルファーこそ「目から鱗」と言うそうです。心も体もストレスなく「成功」する佐久間式にぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


 

■ゴルフ導夢

佐久間氏の活動拠点。Sメソッドを効率よく学ぶために開発された500以上のレッスン機器を備える。レッスンにおいてはは実技指導は1割ほどで、殆どの時間はこれらの機器を使用した講義や体の仕組みの理解が中心となる。クラブフィッティング工房も併設。

http://www.sakumakaoru.com/index.html

■佐久間 馨のSメソッドゴルフ研究室

合理的なスウィングメカニズムやそのマスター法、メンタルコントロール法を伝授するオンラインサロン。トークライブやオフ会、合宿なども定期的に開催しています。また佐久間氏が次に関心を寄せるテーマ「ゴルフを通じた人間力やマナー」にちなんだ投稿も。ゴルフをより深く理解してもっと上手くなりたい方。是非入会をお待ちしています。

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