9月28日、美容師・美容業界の新しいあり方を模索するオンラインサロン「マルチバースサロン」のオーナーである、木村直人さんとエザキヨシタカさんが共同で書籍を出版する。その名も『選ばれる条件』。お二人がオンラインサロンで発信してきた、既存の働き方にとらわれず“選ばれる人”になるためのメソッドが凝縮された一冊だ。
今回は、本書の読みどころをお伝えする。
【『選ばれる条件』著者】
髪を通じて女性の「像」を作り続ける事にこだわる、airが誇るユーティリティプレイヤー。
代表作「グラデーションカラー」をいち早く世に送り出し、ヘアカラーに対して常に斬新な価値観を持ち、新たな創作をし続ける。ヘアカラープロデュース、パブリックシャンプープロデュース、書籍出版 (2013発売の著書はAmazonランキングビューティ部門1位獲得) など、女性に対して「美」という視点からの仕掛けは止まる所を知らない。(DMMパブリッシング公式サイトより)
2009年原宿に「grico」をオープン。
業界を代表する美容師として、業界誌・ファッション誌の巻頭・表紙、芸能人やモデル、コレクションのヘアメイク、国内外セミナー講師などで活躍。2012年からは、美容師の新しい在り方作りとして、アパレル業やイベント企画など、常に新しいアプローチを仕掛け、現在では芸能人、著名人等と共に美容業界以外でも多くのメディアから注目されている。(DMMパブリッシング公式サイトより)
「選ばれる人」になるためのコアバリュー思考とは?
六章構成の第1章では「なぜ選ばれるようになったのか」について3つポイントで解説。エザキさん曰く「でかい夢を宣言すること」「自己開示すること」「実行すること」が大事だという。これを本書では“コアバリュー思考”と呼んでいる。
コアバリュー思考について、もう少し詳しく解説しよう。本書によると、大きな夢を語ることで、自覚が芽生えてマインドがリセットされる。その夢を包み隠さず開示すれば、周りの人に応援してもらえるようになる。それらを踏まえ、あとは実行するのみ。つまり、夢に全力で向き合うことができれば、自動的に「選ばれる人」になるということだ。
木村さんもこの考えに同意しており、「“常識”だけに目を向けていたら、選ばれる人にはなれない」と語っている。
自らを追い込み目標達成思考になるための手帳&メモ活用術
続く2章では、「選ばれる人」になるための具体的な方法を伝授。エザキさんは、目標達成体質になるための手帳と&メモ術を写真付きで紹介。手帳のはじめの1ページには、「その年に達成したい『年間目標』を記入する」という。特筆しておきたいのは、この2つ。
・その年のテーマを大きく3つ
・達成すべき目標を10個
エザキさんは、この手帳をいつでも目につく状態にしておき、さらにスタッフたちに手帳の中身を見てもいいと伝えている。目標に対して、言い訳のできない状態身を置いておくことが重要なのだ。
掲げた目標に向かって挑戦を繰り返す。その結果、成長スピードが速くなりも目標もどんどん高くなる。これが、エザキさんの目標達成体質になるためのメソッドだ。木村さんは、エザキさんを「行動力の化け物」と表現し、オンラインサロンをするきっかけも彼の行動力によるものだったという。
一方の木村さんは、本章ではタイムマネジメントについてアドバイス。その中でも興味深いのは、飲み会などでの「帰り際の潔さ」に関する記述。彼は自分のお腹が満たされたら、お会計を済ませ、1時間ほどで席を外すという。
「『帰り際の潔さ』を心がければ、相手に気を遣わせず、そして自分の時間も節約できる。 一石二鳥のマネジメントができるのだ。ダラダラと話し過ぎてしまう時間でブログが1本書けるし、そこに出席した全員にとって有意義な時間にすることができる」と彼は語っている。
「選ばれるお店」と一般的お店の違いとは?
第3章から第4章に続いては、個人レベルから組織レベルの話にシフトしており、お二人の経歴にも触れている。
エザキさんは24歳のとき、自身のヘアサロン「grico」を立ち上げ。木村さんは、代表として組織を立ち上げたわけではないが、経営陣のひとりとしてオウンドメディアの運営やSNSの活用を駆使し、籍を置くヘアサロン「air」の拡大に大きく貢献。バックグラウンドは違えど、「grico」、「air」ともに「選ばれるお店」としてスタッフも顧客にも愛されるお店に成長し続けている。「選ばれるお店」と一般的なお店の違いとは何だろうか。
エザキさんは、違いのひとつに「待ち時間に渡す雑誌はgricoスタイルで統一」することをあげている。
「せっかく選んでくれたお客様に、どこでも購入できる雑誌を差し出すなんて失礼。どれだけ発信を頑張って見つけてもらえても、その時点でお客様への裏切り行為。だから、grico ではお店が提案するスタイルに合った雑誌をお渡しする」のだという。
お客さんとの関わりは、髪を切る前からはじまる。待っている時間さえ有意義に使ってもらうことで「この店を選んでよかった」と感じでもらえるのだ。このようなささいな気遣いが、選ばれるお店になるための第一歩になる。
一方木村さんは、心を掴む営業方法について伝授。彼が営業でもっとも活用しているのは、10年間、毎日欠かさず更新しているブログだ。お客様への配慮や感謝を綴ることで、月間200万PVを記録。ブログで得た情報発信力が評価され、IT事業部を任されるようになり、のちに会社全体の業務を管理する“コーポレートディレクター”も兼務した。
木村さん曰く、「目の前の仕事と会社への貢献を意識しながら働くことができれば、お客様と所属するお店から『選ばれる人』になることができる」という。ブログを「毎日続けること」ももちろん重要だが、お客様への想いを綴り、「心を掴むこと」も同じくらい重要なのだ。
その努力の積み重ねで出会ったのが、ブロガーのはあちゅうさん。彼女は、木村さんのブログやSNSなどがきっかけで店舗に訪問。その日以来、彼女のカットは木村さんが担当している。そして、彼女の発信がさらなる連鎖を生み、木村さんの美容師としての知名度や人気、さらに「air」の評判も上昇するきっかけとなった。
また、木村さんはスタッフへの関わり方も大切だと語っている。
スタッフには、「自分の正義を押し付けず、相手を見て『伝える』ことを意識する。「選ばれる店」は、すべからく『愛に溢れた組織」である」という。
たとえば、スタッフが退社することは組織にとって大変痛手だが、それより彼らが後悔しない人生を歩んでもらう方が最優先だと考えている。サロンをやめたほうが幸せになれるなら、無理やり引き止めず、快く送り出す。そういったお客様には見えない愛情に溢れた組織運営も、「選ばれるお店」の理由なのだろう。
「選ばれ続ける人」になるために必要なこと
後半の第5章と第6章では、読者が「選ばれる人」かつ「選ばれ続ける人」であるためのアドバイスを送っている。その中の一部を紹介しよう。
木村さんは、「居心地がよくつい長い時間を一緒にすごしてしまう同期や後輩、優しいだけの先輩は悪質である」と断言。時間を共有すべき人は、左記のような人たちではなく「結果を出し続けている先輩」だと言う。
その理由は、結果を出し続けるには、気の置けない仲間たちより、「自分よりも圧倒的な結果を出している上昇志向の先輩たちに囲まれ、居心地の悪さを感じでいる方が、よっぽど有意義な時間」を過ごせるから。居心地の悪さには、成長のための伸びしろがあるのだ。
とはいえ、「選ばれ続ける人」になるには、自分ひとりの力では達成できない。なぜなら、選んでくれる人と会社があるからこそ、はじめて選ばれる人になるから。エザキさんは「誰かに支えられつつ、『選ばれ続ける』状態であるためには、自分のためだけでなく、支えてくれる誰かのために頑張ることが必要になる」と記している。そのためには何を意識したらいいのだろうか。エザキさんは最後にこう記している。
「大前提として、『選ばれる人』になるには、自分のお客様と業界、そして会社の三角形のどれもが欠けることなく、それぞれを潤す必要がある。自分の三角形においてそれができるようになった後は、たとえば僕のお客様“の“お客様、という風に、選んでくれた人の三角形 に視野を広げて潤すように心がけよう」
まとめ
本書は美容業界の人だけでなく、それ以外のビジネスパーソンとっても役に立つメソッドがたくさん紹介されている。エザキさんと木村さんが提案しているトップであり続けるための思考と行動指針は、きっと読者の成長につながるだろう。
また、各章の最後には、エザキさん、木村さんとゆかりのある、はあちゅうさんや落合陽一さんをはじめ、LINE株式会社の 代表取締役社長 出澤剛さん、株式会社エアーエンターテイメント代表取締役社長 岩田卓郎さんといった著名人のインタビューも掲載。「なぜ選ばれるのか」を独自の目線で答えている。彼らの回答からも、選ばれるためのヒントが見つかるかもしれない。
本書は9月28日にDMMパブリッシングから発刊される。購入予約は以下から。
選ばれる条件 -こうやれば、突き抜けられる-(DMM PUBLISHING)
木村 直人 エザキヨシタカ
DMM PUBLISHING (2018-09-28)