【制作秘話】木村直人×エザキヨシタカの共著「選ばれる条件」は、なぜ生まれた?

著者名CANARY 編集部
【制作秘話】木村直人×エザキヨシタカの共著「選ばれる条件」は、なぜ生まれた?

美容師や美容業界の新しい在り方を模索するオンラインサロン「マルチバースサロン」。オーナーの木村直人さんとエザキヨシタカさんが、9月に共著『選ばれる条件』を出版した。書籍では、2人が実践してきた”選ばれる人”になるためのメソッドを、つぶさに紹介している。(レビュー記事: https://lounge.dmm.com/canary/22376/

今回は、その出版記念イベントのトークを紹介。共著の出版に至った背景や、相手の”選ばれるポイント”などが語られた。


■木村直人/air・LOVEST Director

髪を通じて女性の「像」を作り続ける事にこだわる、airが誇るユーティリティプレイヤー。

代表作「グラデーションカラー」をいち早く世に送り出し、ヘアカラーに対して常に斬新な価値観を持ち、新たな創作をし続ける。

ヘアカラープロデュース、パブリックシャンプープロデュース、書籍出版(2013発売の著書はAmazonランキングビューティ部門1位獲得)など、女性に対して「美」という視点からの仕掛けは止まる所を知らない。

■エザキヨシタカ/grico代表

2009年原宿に「grico」をオープン 業界を代表する美容師として、業界紙・ファッション誌の巻頭・表紙、芸能人やモデル、コレクションのヘアメイク、国内外セミナー講師などで活躍。

2012年からは、美容師の新しい在り方作りとして、アパレル業や、イベント企画など、常に新しいアプローチを仕掛け、現在では芸能人、著名人等と共に美容業界以外でも多くのメディアから注目されている。


タダで教えたり、教わったりしているだけでは、美容師に未来はない

―今回の書籍は「マルチバースサロン」のコンテンツを基に作られました。そもそも、お二人がオンラインサロンを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

木村:美容師って「教えてください」ばかり言ってくる”教えて君”が多いんです。でも教える側には、ファンになってもらえること以外のメリットがない。それを普通だと思う感覚はおかしいから、教えることに対して収益化できる仕組みをつくったほうがいいと考えたんですよね。教わる側も、お金を払って自己投資をすることは、これまで以上の成長につながるはず。稼ぎたいといういやらしい気持ちじゃなくて、タダで教わる感性では美容師に未来がないと思ったから、オンラインサロンを始めたんです。

エザキ:実際、僕もずっとタダで質問されていたんですよね。一日20人くらいの質問に答え続けたりしていて、時間を食われてきた。だから、オンラインサロンという仕組みで、そこに価値を生み出すことができたのはすごく良かったと思います。

木村:あとは、パートナーのエザキくんに情熱があったからですね。「何かしましょう」と言ってくる美容師はすごく多いけれど、具体的な内容に進める人はなかなかいない。ちょうどオンラインサロンの話が出てきたとき、エザキくんと知り合って、いっしょにやっていけるパワーを感じたのも大きいと思っています。

 

―サロンを始めたときから、いつかコンテンツを書籍化することは想定していましたか?

木村:本にしたくてコンテンツを作ったんじゃなくて、コンテンツを作りたくてコンテンツを積んでいったら書籍化されたという流れですね。僕としては、雑誌とかそういうものに対して失望していたので、書籍化のお話はこれまでにもいろいろいただいてきたんですけど、そこに価値を見いだせなかったから、お断りしてきたんです。

でも、こういうコンテンツありきの書籍って、自分にも負担がかからないですし、すごくエコでいいですよね。だから、そういうスタイルだったらいいかなと。今後はおそらく、こういう形が主流になるのかなと思っています。

エザキ:僕ブログをやらないんですけど、サロン内では、ブログとかで書いたらメリットがあるかもしれない内容を、どんどん発信していました。でも、コンテンツが蓄積されるにつれてもったいなくも感じていたので、書籍というかたちで世に出せたのはすごい良かったと思います。

木村:オンラインサロンを4年間継続するというのは、相当大変なこと。だから、彼(エザキさん)と2人で継続してきた証を、いったん形にするのもいいなと思いました。

美容業界の外に出ても”かっこいい大人”になれるように

―書籍のタイトルにもあるように、ご自身が「選ばれた」「登りつめた」と感じられたのは、どんなときでしたか?

木村:「美容師は終わりがない職業」だとよく言うんですが、本当にそのとおりなんですよね。だから、登りつめたっていう感覚は全然ないんですけど、僕なりに定めた「ここで一区切りだよ」っていうゴールは迎えました。それは4、5年前、結婚して子どもができたときでしたね。

これまでの美容師は、なかなか家族と向き合う時間がとれない仕事だったんです。僕自身も両親が美容師だったから、例えば運動会にも来てもらえなかったし、とくに親父とはあんまり思い出がなくて。そういった環境の中で、美容師という職業にあまり良いイメージがわかなかった。だから、自分が家族を持って、仕事にある程度満足できたなら、一旦仕事のペースを落とす期間をつくりたいと考えたんです。

エザキ:僕は、まだまだ登りつめたなんて感覚は全くなくて、スタッフと一緒に登っている最中だと思っています。日本という小さい島国の、さらに小さい美容業界という枠のなかで生き残ることだけを意識していても、たぶん何も残らない。だから国も職域も越えて活躍していけるように、会社の仕組み整えたり、小さいステップをどんどん積み重ねているところです。

木村さんと同様に、家族のこともとても意識しますね。幼稚園の子どもたちから見たら、僕らって「ただのお父さん」「ただの大人」だから。美容業界の外に出てもかっこいい大人になりたい、とはすごく思います。

木村:どうしたら木村さんみたいになれますかって後輩にもよく聞かれるんですけど、「人よりも苦しむことだ」って答えてますね。僕も本当に苦しかったので。自分の場合は、もともとオーナーではなく、一つのヘアサロンに属しながら頑張ってきたのもあって、その部分を魅力に感じてもらえたのかもしれませんね。オーナーが何かやろうとすればみんなが味方になってくれますが、社員の場合はその逆で、目立ってしまえばみんなが敵になる。ただ、その不協和音の中で頑張ってきて、ある壁を超えた瞬間にみんなの目線が変わるというのも経験してきているので、そういうことを後任には伝えていますね。

エザキ:選ばれるようになるために、本当にいろんなことをやってきましたよ。人が寝ている時間でも、人がやりたくないことでも、死ぬほど努力してきました。だから、やったことは評価してもらってるんじゃないですかね。

いい人間関係を築くコツは「家族のように接する」「仁義を重んじる」

―書籍内のミニコラムや帯コメントには、お二人を取り巻くさまざまな方々が言葉を寄せています。著名人から会社関係者に至るまで、みなさん口を揃えて「(木村さんやエザキさんに)いつも良くしていただいています」とおっしゃいました。そんな良好な人間関係を築くために心がけていることはありますか?

エザキ:僕は、LINE株式会社CEOの出澤さんと、ストレイテナーのホリエさんに書いてもらったんですけど、どちらも尊敬する兄貴みたいな方ですね。もともと僕は、自分の関わる人はみんな”家族”だと思っていて、本当にその人のことが好きなんですよ。家族で相手のこと嫌いになるってないじゃないですか。

だから「良くしている」「良くしていただいている」なんていうのは建前で、多分お互いにそういう思いで大事にし合っているから、自然に上手くいくのかなと。家族だって思ったら、相手の嫌がることとか、変なこととかできなくなるんですよね。

木村:僕は、髪を切っているから良好な関係が築けるんだと思ってます。死滅した細胞とはいえ、自分から生まれ出てきた髪をカットしてもらうって、すごいことじゃないですか? 自分の髪の毛を預ける人への信頼感って、ほかとはちょっと次元が違うと思うんです。ただヘアカットをしているだけなのに、なぜかお客様から結婚式に呼んでもらったりとかするんですよ。

僕は人に会いたいと思ったこともそんなになくて、今回のトークイベントにも出たくないって言ったくらい人間関係がドライなのに、それでも感謝の言葉をもらえる。それはやっぱり、髪を触っているからなんですよね。これは、美容師が偉大だなって言える一つの要素ですし、そう言ったところに未来を感じて僕は美容師をやっていますね。

それから今回のミニコラムでは、弊社の社長にもコメントをもらいました。別に一般的には有名な人じゃないから書店でフューチャーされることはないけれど、それでも「大きく載せたい」って提案したんです。担当している芸能人とかインフルエンサーだけじゃなく、お世話になっている人にコメントをもらう――本を出すくらいの人間になったときに、こういう部分で恩返しをしていくべきなんです。そういう姿勢が、周囲との信頼関係を築いていくんだと思いますね。

選ばれるためには「自分のアイコンをつくる」「人の目を気にしない」

―選ばれる人になるために、すぐ実践できるポイントをひとつ挙げてください。

エザキ:僕、ずっとこういう髪型なんですね。ずっと同じ髪型をするか、反対に週1回くらいめちゃくちゃ髪型を変えるか、多分どちらかしか人の印象には残らない。そういう「この商品といえばこれ」「この商品といったらこう」みたいに、簡単にわかるアイコンをつくることは大事だなと思っています。

お客さんが顔や名前を覚えづらいままじゃ、誰にも選んでもらえない。あと、よく僕や木村さんの真似をしようとしている人がいるんですけど、それはやめた方がいいです。大事にしていることとか、根底の部分は真似をしてもいいんですが、それ以外の表面的な部分は真似しようと思ってもできないし、したらダメです。それよりも、名刺配るとか、自分自身をもっと売り込んだ方がいいです。

木村:僕は「どうやったら木村さんみたいになれるんですか?」って尋ねられて考えてみたとき、人の目を気にしなくなったのがよかったんじゃないかな、と気づきました。以前はこういうイベントでも緊張してまともにしゃべれなかったけれど、数をこなして場に慣れたり、みんなが実は人の話をそんなに聞いてないってことに気づいてから、ぐっと肩の力が抜けたんです。法を犯してるわけじゃないんだから、人の目なんて気にしないで、自由に自分を表現すればいいって思うようになったんですね。ただ、僕はこれまでの積み重ねがあって、必要か必要じゃないかが判断できているので、真似はあんまりお勧めしないですけどね。

あ、ひとつ明確におすすめなことがありました。早起きですね。僕は毎朝5時くらいに起きてます。その時間にしてきた作品撮りがかたちになったり、書き連ねてきたことが仕事になったり……「早起きは三文の徳」とは、本当によく言ったもんだなと。美容業界に限らず、朝に強い人はパフォーマンスが高い気がしますね。

 

―お二人がお互いを見て「ここが相手の”選ばれるポイント”だな」と思うところはどこですか?

エザキ:やっぱり、木村さんはものすごく努力されているところですね。僕は、人が成功するまでの努力の回数って決まってると思うんです。そこまでやりきれば、ある程度の人にはなれると思う。だけど、まず努力できる人がこの業界には少ないから、そこを誰よりもしっかり体現している姿が素敵だなと思います。そういう続ける姿勢とか、積み重ねというものをしっかり学んで欲しいなと。

木村:エザキさんはとにかくパワーです。いま美容師に最も求められているのは、パワーですよ。パワーが人に活力を与えて、元気にするんだと感じます。あと、とにかく明るい。口調や接し方、見え方もフェミニンだし、ふわっとした幸せオーラを自然と振りまける人なんです。そういう人は、たとえばなにかを間違えてもきっと許される。エザキさんだからなって(笑)。天性のものだから本人に自覚はないだろうけど、そういう評価を受ける自分が勝手にできあがっているからこそ、人に選ばれるんだと思います。

木村直人さん×エザキヨシタカさんのメソッドを、もっと知りたいときは?

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