最近、「心が疲れた」と感じることはありませんか。疲れているのになかなか眠れない、集中できないなど、生活の中に疲労のサインも出ているかもしれません。しかし、原因がはっきりせず、モヤモヤすることも。
この記事では、そんな心が疲れたあなたに向けて、疲労度チェックやおすすめのリラックス方法をご紹介します。
心が疲れてしまったときのサイン
心が疲れてしまったときは、身体や気持ちがサインを出していることがあります。まずは代表的な事例を見てみましょう。
イライラすることが多い
最近イライラすることが増えたと感じていませんか。以前はそれほど気にならなかったことでもイラっとしてしまう、物事が思い通りに進まなくてイライラしてしまうなどの症例は、心が疲れているサインかもしれません。
食欲があまりわかない
残業などで帰宅時間が遅くなると、つい食事がおざなりになってしまうこともあるでしょう。しかし、そもそも食欲がない、という場合は心が疲れている可能性があります。
落ち着かない
なにをしていても落ち着かず、集中力が続かないと感じていませんか。勤務時間中ずっと座っていると苦痛に感じたり、休みの日なのに仕事が気になってそわそわしたり、といった状態は、心が疲れたサインかもしれません。
布団に入ってもなかなか寝付けず、途中で目が覚める
身体は疲れているのになかなか寝付けない、熟睡できず夜中に目が覚めてしまう、などの症状が続いていませんか。心の疲労は、睡眠の質に影響を与えることもあります。
(参考:石原加受子『仕事・人間関係「もう、限界!」と思ったとき読む本』KADOKAWA(2014),心屋仁之助『すりへらない心をつくるシンプルな習慣 』朝日新聞出版(2012))
心の疲れを診断
心が疲れてしまったときのサインはほかにもあります。ここで、改めてあなたの疲労度をチェックしてみましょう。
厚生労働省「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」(※)を参考に、以下のチェックリストを作成しました。各質問に対し「よくある(3点)」「ときどきある(1点)」「ほとんどない(0点)」で得点を数えてみてください。
・イライラする
・不安感を抱いている
・落ち着かない
・憂鬱な気持ちになる
・熟睡できない(眠れない、途中で目が覚める、いやな夢を見る、など)
・体調が悪い
・物事に集中できない
・ミスが多い
・昼間に強い眠気を感じる
・物事へのモチベーションが上がらない
・運動をしていないにもかかわらず身体が疲れている
・朝起きた時点で疲れを感じている
・以前よりも疲れやすくなった
合計点数が21点以上ある人は、かなり心が疲れていると考えられます。また、10~20点の人も心に疲れがたまってきているので無理は禁物です。
それ以下の人は、現時点では問題ないと考えられますが、今は点数の低い人であっても、今後変化する可能性は十分あるので、心の疲れへの対処方法を知っておくといいでしょう。
(参考:厚生労働省「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」)
心が疲れてしまう原因
そもそもなぜ心が疲れてしまうのでしょうか。原因として考えられるものをいくつかご紹介します。
仕事での失敗
「仕事で失敗してしまった」、「ミスを指摘された」などの経験が心の疲れにつながることがあります。また、仕事で言われたことを帰宅後に思い返して反省してしまう人も、心に疲れを蓄積しやすいと考えられます。
失恋
人間関係の変化は、心に大きな負担を与えることがあり、失恋もそのひとつです。相手への「好き」という気持ちが強ければ強いほど、その恋が実らなかった時の喪失感は大きくなるでしょう。つらい気持ちが長く続くと、心の疲れもどんどん蓄積されていきます。
将来への不安
「将来ちゃんと生活できるか不安」、「ずっとこの会社で働くことができるか不安」など、将来に対する不安は“予期不安”と呼ばれており、心に疲れ感じさせる原因になります。不安に思ってたことが実際には起きなくとも、「どうしよう」と考えるだけで心に疲れがたまってしまうのです。
責任感が強すぎる
責任感が強く何事も「自分のせいだ」と考えてしまう人や、人からの頼みを断れない人は心に疲れを蓄積しやすいといわれています。自分よりも周囲を優先させているうちに、「自分のやりたいことができない」、「そもそもやりたいことがわからない」といった状況になることもあるのです。
心が疲れたときの対処法
心が疲れたときは、無理に気を張って元気になろうとする必要はありません。頑張りすぎない程度に、自分の心に休息と栄養を与えてあげましょう。ここでは、心が疲れた時の対処法をいくつか提案するので、参考にしてみてください。
睡眠をとる
疲れたときはとにかく睡眠をとりましょう。しかし、そもそも眠れないことが原因で心が疲れてしまっている場合は、無理に眠る必要はありません。布団に横になり目を閉じるだけでも、心と体をリラックスさせることができます。寝つきが悪い方は、寝る前にゆっくり入浴したり、温かい飲み物を飲んだりすると、緊張した心がほぐれて睡眠の質が上がるといわれています。
さらに、夜の睡眠だけでなく、もし可能であれば昼寝もおすすめです。昼休みに約20分昼寝をしてみると、すっきりした気持ちになれるでしょう。
(参考:社会保険出版社|睡眠とメンタルヘルス)
好きな音楽を聴く・演奏する
心に疲れを感じたときは、好きな音楽にひたるのもおすすめです。このとき、無理に明るい曲を選ばなくてもかまいません。たとえ暗い曲であっても、自分が好きな曲を能動的に聴くことで、「聴いてよかった」と思えるからです。歌詞がある曲の場合、内容に共感できるものを選んでもいいでしょう。
身体を動かす
なにか行動していないと思い悩んでしまう人は、運動で気分転換をしてみましょう。近所を走る、ジムに行く、ひと駅分歩いてみるなど、どんな内容でもかまいません。おすすめは、ジョギングや水泳などの有酸素運動です。
運動の効果は2~3日持続すると考えられているので、毎日同じメニューをこなさなくても問題ありません。義務感があると逆効果になりかねないので、無理のない範囲で楽しく運動してみましょう。
旅行に出かける
「毎日単調な仕事ばかりでつまらない」と感じている人ほど、休日に刺激のある時間を過ごすことで気分転換になります。
普段から忙しくしている人の場合は、計画を立ててから旅行するのがおすすめです。旅行先で調べ物をする負担を減らすことで、純粋に旅行そのものを楽しめるようになるからです。
たまにはいつもと違う場所にふらっと出かけてみてはいかがでしょうか。
マッサージ
身体がほぐれると、心の疲れも軽減されるといわれています。特に、オフィスワークは肩や腰にも負担がかかりがちなので、整体やマッサージ店でコリをほぐしてもらうのが良いでしょう。
人と話すことにストレスを感じる場合は、自宅でストレッチするだけでも構いません。また、良い香りは精神的な安らぎを与えてくれるので、アロマを併用したアロママッサージをしてみるのもいいでしょう。おすすめは、鎮静作用のあるラベンダーやイランイランの香りです。
ひとりの時間をつくる
ひとりの時間は、心の疲れを軽減するときにとても大切です。このとき、できるだけ情報をインプットしないようにすると、頭や心をリセットしやすくなります。
家族と同居している場合は、自分の部屋やトイレの中など、ひとりになれる空間でボーっとするといいでしょう。
動物とふれあう
アニマルセラピーという分野があるように、動物とのふれあいは心の疲れを軽減させると考えられています。ペットと遊んだり、動物園のふれあいコーナーに足を運んだりして、動物に癒されてみてはいかがでしょうか。
(参考:NPO法人日本アニマルセラピー協会|アニマルセラピーとは)
しっかりと食事をとる
バランスのいい食生活も、心の疲れを和らげる手段のひとつです。しかし「ちゃんとしたものを食べなきゃ」と思い込んでしまっては、かえって心に負担をかけてしまうことがあります。
たんぱく質をとるために豆腐を食べる、インスタントの味噌汁で適度な塩分をとる、袋のサラダで手軽に野菜を摂取するなど、まずはできる範囲で始めてみましょう。義務感で食べるのではなく、楽しく食べることで心の疲れが軽減されていくはずです。
趣味に打ち込む
帰宅後や休日は好きなことにとことん打ち込んでみましょう。オンとオフのメリハリをつけることで、心の負担が軽くなります。
趣味が思いつかない人は、映画を見たり本を読んだり、さまざまなことに挑戦してみるのがおすすめ。ひとつのことに打ち込まなくても、気分を紛らわせることができるはずです。
つらい気持ちや疲れている理由を書き出してみる
心が疲れているとき、原因がわからないために不安を感じる人もいるでしょう。そんなときは紙に心当たりのある原因を書き出してみてはいかがでしょうか。この時、正解かどうかは気にする必要はありません。漠然としたものを紙に書いて具体的にしてみると、「こんなことで悩んでいたのか」と気が楽になることもあります。
恋人や親友と過ごす
職場での人間関係をストレスに感じるときは、職場以外の人間関係に頼ってみましょう。休日は友だちや恋人と出かける、家でのんびり話して過ごすなど、仕事から離れた環境に身を置くことも大切です。
友人やカウンセラーに相談する
ひとりで思い悩んでしまう場合は、身近な人に相談してみましょう。話を聞いてもらうだけで気が楽になるときもあるからです。
「友人や家族に話すなんて……」と思っている人は、心療内科などを訪れてみても良いでしょう。カウンセラーに話を聞いてもらううちに、心が疲れていた理由に気づけるかもしれません。
SNSから離れてみる
つい癖でSNSをチェックしてしまう人は、思い切ってSNSから距離を置いてみてください。常に情報をインプットし続けたり他人と比較したりしていると、心に疲労がたまってしまうからです。また、寝る直前までスマートフォンやパソコンの画面を見ていると、睡眠の質に影響するとも考えられていますから、スマートフォンやPCの使用時間が減ることで、睡眠の質も改善されるでしょう。
心が疲れたときには、まず自分の疲れを認めてあげることも大切。「こんなことで疲れてしまうなんて……」と責めるのではなく、「そんなこともあるさ」と開き直ってみると、案外気楽になるはずです。対処方法を実践するときも義務感を抱かず、「ちょっとやってみようかな」と軽い気持ちで取り組んでみてはいかがでしょうか。