ミネラルウォーターと一口に言っても、コンビニからネット販売まで、至る所で様々な水が販売されています。皆さんは、水を購入する際、それぞれの違いについてどのくらいの知識を持って検討していますか?「価格だけで選んでいる」という方も多いのではないでしょうか。今回は、基礎となるpH値の意味や軟水と硬水の違いなどをおさらいし、さらに、用途別のおすすめ製品をご紹介します。
ミネラルウォーターを知る
pH値
ミネラルウォーター選びにおいて、基準の一つとなるpH(ペーハー)。テレビコマーシャル等でもよく耳にするのではないでしょうか。pHは「水素イオン指数」といって、液体などの酸性またはアルカリ性の程度を示す指標です。pHは基本的に0から14までの15段階で示されますが、真ん中の7が中性、7より低いものが酸性、7より高いものがアルカリ性と呼ばれます。
身近なもので説明すると、レモンのpHが2、りんごが3、白米が4、トマトが5、きゅうりが6、牛乳が7、わかめが10、こんにゃくが12に分類されます。ざっくりとした特徴としては、酸性が強くなるほど(つまりpH値が小さいほど)酸味がを感じ、逆にアルカリ性が強いほど(つまりpH値が大きいほど)苦みを感じると言われています。
市販のミネラルウォーターのpH値はおおむね5から9の間になっていますので、弱酸性から弱アルカリ性と言われる範囲におさまっていると言えます。ちなみに、日本では厚生労働省が水道水の水質基準を定めていますが、この中で水道水のpH値は5.8以上8.6以下であると定められています。ミネラルウォーターは水道水より少しpH値の幅が広いのですが、それほど大きな違いはないと言えます。(出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html)
硬度
pHと並んで、主なミネラルウォーター選びの基準となるのが、水の硬度です。「軟水」・「硬水」という言葉は耳馴染みがあると思いますが、硬度とは、水に含まれるミネラル分(カルシウムやマグネシウム)の量を表す指標です。これが多いものが硬水、少ないものが軟水と呼ばれます。
硬度の分類には諸説ありますが、参照されることが多い世界保健機関(WHO)の分類によると、硬度60未満のものを「軟水」、60から120のものを「中程度の硬水」、120から180のものを「硬水」、180を超えるものを「非常な硬水」と呼びます。なお、日本では、単純に硬度が100より低いものを軟水、100より高いものを硬水とする例が多いようです。
日本の水の特徴
日本の水はほとんどが軟水です。そもそも、水に含まれるミネラル分というのは、地中の岩石などの成分が溶け込んだものです。ですから、その土地の地形や地質によって、採取できる水の硬度が変わってきます。
日本の地質は、密度が低い火山性のものが多く、水を通しやすいので、降った雨が地下水として地中を流れる期間が短くなります。さらに、国土も狭い上に傾斜が急な地形なので、川の水もすぐに海に流れ出てしまいます。結果として、地中の成分が水に溶け込みにくくなり、ミネラル分が少ない軟水になるのです。
ヨーロッパの水の特徴
ヨーロッパの地質は、カルシウムを多く含む石灰質のところが多いと言われますが、石灰質の地層は密度が高く、水を通しにくいのが特徴です。さらに、大陸が地続きで土地が広く、傾斜も緩やかなので、雨水や雪解け水、そして川の水は、カルシウムの多く含む地中をゆっくりと流れることになります。その過程で、多くの地中の成分が水に溶け込み、ミネラル分が多い硬水になるのです。
軟水・硬水のメリットとデメリット
軟水のメリット
軟水の特徴は、ミネラル分が少ないので味にクセがないことです。日本では水道水や湧き水もほとんどが軟水なので、日本人にとって飲みやすいのは軟水です。また日本人は、日常的に摂取している軟水に体が慣れているため、軟水なら胃腸にも負担なく摂取することができます。日本人との相性の良さ以外の一般的なメリットとして、軟水は体に吸収されるスピードが速いという点が挙げられます。このため、日常の水分補給に適している他、激しい運動中の水分補給も効果的に行えます。
さらに、飲料目的以外にも、軟水は肌や髪に優しいという特徴があります。例えば、水と石鹸で肌を洗う場合、水の中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分と石鹸の成分が化学反応を起こし、金属石鹸が作られます。金属石鹸は、一般的に「石鹸カス」と呼ばれる、白い粉末のような物です。この石鹸カスが肌や髪に付着するとつっぱり感やきしみ、乾燥などのトラブルを起こすことがあるのです。また、石鹸カスが作られると、石鹸の泡立ちも悪くなってしまいます。
石鹸と反応しやすいミネラル分を多く含む硬水を使用すると、石鹸カスが発生しやすくなるため、硬水を使って洗顔やシャワーを行うと肌が荒れてしまうこともあります。一方、ミネラル分が少ない軟水では、石鹸カスが発生しにくくなります。その結果、石鹸の泡立ちもよくなり、肌や髪を優しく洗浄することができるのです。
軟水のデメリット
特筆すべきデメリットが無く、日本では大変親しまれている軟水ですが、硬水と比較すれば、ミネラル分があまり含まれていないのがデメリットであると言えます。現代人にとって不足しがちなカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分は、便秘解消やむくみ解消などの体質改善の効果が期待できると言われています。そのため、日頃から一定量摂取する必要があるのですが、軟水では効果的にミネラルを補給することができません。
硬水のメリット
欧米で主流となっている硬水ですが、最大の利点は、ミネラルの補給ができるということです。ミネラルは人間の体内で生成されるものではないので、食事などで摂取する必要があります。硬水のミネラルウォーターには、体で吸収されやすいイオン化されたミネラルが含まれているので、ミネラル補給には効果的なのです。
また、ミネラル分の一種であるマグネシウムには、大便を柔らかくする作用があるため、便秘改善にも効果があるとされています。このような幅広い体質改善効果は、硬水が持つ大きなメリットと言えるでしょう。
硬水のデメリット
硬水を利用する際に注意しなければいけないのは、一部の人には健康面で悪影響が生じうるということです。体内に吸収されたミネラル分は、腎臓で処理されます。健康な人なら問題は無いのですが、腎臓に障害ある人などは、硬水に含まれる豊富なミネラル分をうまくろ過しきれない可能性が出て来ます。これは臓器が未発達な乳児にしても同じことです。このことから、腎臓の機能に不安のある人や赤ちゃんにとって、硬水は不向きとされています。また、メリットの項目で示したように、硬水には大便を柔らかくする作用がありますので、胃腸の弱い人が硬水を大量に摂取すると、下痢をしてしまうことがあるので要注意が必要です。
水の種類
普段、特に意識せず「ミネラルウォーター」という言葉を使っていますが、実は、一般にミネラルウォーターと呼ばれるものは、農林水産省によって4種類に分けられています。ここでは一つ一つ製品例を交えてご紹介します。
ナチュラルウォーター
農林水産省による定義は「特定の水源(執筆者注:水質、水量において安定した地下水の供給が可能な単独水源)から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの」です。
つまり、ナチュラルウォーターは、採水後に最低限の処理しかしていない、自然のままの地下水ということですね。また、含まれているミネラル分が少ないのも特徴です。
製品例:富士山麓のおいしい天然水
pH値:7.8(弱アルカリ性)
硬度:63(中程度の硬水)
Amazonでの販売価格: 530ミリリットル×24本で1,912円(2018年7月20日時点)
採水地:富士山麓(湧き水)
特徴:硬度が低めで飲みやすい。バナジウムの含有量が多いので、血糖値を下げる効果が期待できる。(※血糖降下薬などを使用している場合、必要以上に血糖が下がってしまう場合があるので、過剰摂取には注意が必要。)
ナチュラルミネラルウォーター
農林水産省による定義は「ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水(地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に地層中の無機塩類が溶解した地下水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む)をいう。)を原水としたもの」です。水源や加工の方法についてはナチュラルウォーターと同じですが、ナチュラルミネラルウォーターには地中のミネラル分が多く溶け込んでいます。
製品例:エビアン
pH値:7.2(弱アルカリ性)
硬度:304(非常な硬水)
Amazonでの販売価格: 1.5リットル×12本で1,951円(2018年7月20日時点)
採水地:フランス
特徴:人工的な加工を一切行っていない反面、カルシウムとマグネシウムのバランスがとても良い。硬水に慣れていない日本人でも飲みやすい。
ミネラルウォーター
農林水産省による定義は「ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のためにミネラルの調整、ばっ気(執筆者注:空気を送り込むこと)、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているもの」です。
つまり、ナチュラルミネラルウォーターと同じ水に対して、品質の安定のために加工が施されたものを指します。
製品例: アイスフィールド
pH値:7.0(中性)
硬度:27.5(軟水)
Amazonでの販売価格: 2リットル×6本で1,690円(2018年7月20日時点)
採水地: カナダのバンクーバー島(氷河水)
特徴:2015年のモンドセレクション金賞を受賞するなど、水質と味の良さが世界で高く評価されている。
ボトルドウォーター
農林水産省による定義は「ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもの」です。「飲用水」とも呼ばれ、地下水ではなく、水道水・蒸留水・ピュアウォーターなどが原水です。
製品例: VIVO
pH値:6.8~7.2(中性)
硬度:0(超軟水)
Amazonでの販売価格: 2リットル×6本で3,366円(2018年7月20日時点)
採水地:伊豆天城山
特徴:特殊加工により超浸透力を持つとされています。加工にコストがかかるため、一般的なミネラルウォーターに比べて価格は高めです。
用途別おすすめミネラルウォーター
ミネラルウォーターと一言で言っても、4つの種類があり、さらにpH値や硬度によって味わいや効果も様々だということがわかりましたね。ここから先は、5つの用途別に選んだおすすめミネラルウォーターをご紹介します。
料理におすすめのミネラルウォーター
出汁を利かせた日本料理に合うのはやはり軟水。お米を炊くのにも、ミネラル分が少ない軟水が適しています。一方、硬水には肉の臭みを取る効果があるので、肉を使った煮込み料理には、硬水がおすすめです。また、ピラフやパエリアを作る際は、硬水で炊くとお米がパラッと仕上がりますよ。
日本のみなさんは白米をそのまま食べることも多いですよね。炊飯をはじめとして日本料理におすすめなのは、海外製品ながら硬度38で軟水にあたるクリスタルガイザー。1ガロン(約3.78リットル)の大容量ボトルもありますので、キッチンにストックしておくにはもってこいです。さらに、この製品には添加物が一切入っていないので、普段の料理にも安心して使えるのがいいですね。
製品名:クリスタルガイザー(分類:ナチュラルミネラルウォーター)
pH値:7.6(弱アルカリ性)
硬度:38(軟水)
Amazonでの販売価格: 1ガロン1本で424円(2018年7月20日時点)
採水地:アメリカのカリフォルニア州シャスタ山(湧き水)
赤ちゃんにおすすめのミネラルウォーター
赤ちゃんは内臓が未発達で硬水に含まれるミネラル分を十分に処理できないので、できるだけ硬度の低い軟水が安心です。白神山地の水は、硬度0.2と日本でも珍しいほどの超軟水。赤ちゃんのミルクや食事にも躊躇せずに使えます。また、この製品には水そのものをおいしくする酸素が多く含まれているため、クセがなくまろやかな口当たりが特徴です。
製品名:白神山地の水(分類:ナチュラルウォーター)
pH値:6.6(弱酸性)
硬度:0.2(超軟水)
Amazonでの販売価格: 2リットル×6本で1,620円(2018年7月20日時点)
採水地:白神山地(湧き水)
健康におすすめのミネラルウォーター
ダイエット中の女性などによく利用されているのが、ミネラルが豊富でなんと500ミリリットルに牛乳瓶1本分のカルシウムとアーモンド約9粒分のマグネシウムを含むという超硬水、コントレックス。独特の味わいと口当たりが特徴ですが、よく冷やすと飲みやすくなるようです。豊富なミネラル分によって体質改善効果が期待できるため、健康維持におすすめです。(※日本市場向け専用品「コントレックス」は、フランス国内での生産が終了に伴い、日本国内での販売を終了しました。現在、ネット通販などでは購入が可能です。2018年7月時点)
製品名:コントレックス(分類:ナチュラルミネラルウォーター)
pH値:7.4(弱アルカリ性)
硬度:1,468(非常な硬水)
Amazonでの販売価格: 1.5リットル×12本で2,365円(2018年7月20日時点)
採水地:フランス
持ち歩きにおすすめのミネラルウォーター(500ミリリットル)
アラブ首長国連邦(UAE)で38年連続シェアNo.1を誇理、高級ホテルやレストランなどでも愛飲されているというマサフィー。日本人の口に合う軟水で、カルシウムとマグネシウムの比率も2:1と、理想的なバランスです。また、クラスターと呼ばれる水分子の大きさが、68ヘルツと小さいため、素早く体に吸収されるという特徴があります。味わいは、後味がすっきりしていて常温でもおいしいとされていますので、お出かけ先での水分補給にぴったりですね。
製品名:マサフィー(分類:ナチュラルミネラルウォーター)
pH値:7.1(中性~弱アルカリ性)
硬度:39(軟水)
Amazonでの販売価格: 500ミリリットル×24本で4,320円(2018年7月20日)
採水地:UAEのラスアルハイマの山岳地帯(地下水脈)
自宅におすすめのミネラルウォーター(2リットル)
日本ではおなじみの南アルプスの天然水。ミネラル分が少ない軟水で、体にもやさしいので、飲料水としてだけでなく、料理、薬を飲む時、あるいは赤ちゃんのミルク用にも安心して使えます。幅広い用途に使用できる上に低価格で購入できるので、家にストックしておくにはぴったりです。ボトルやキャップも無菌状態を維持できるよう設計されているので、いつでも安心して頂けます。
製品名:南アルプスの天然水(分類:ナチュラルミネラルウォーター)
pH値:7.0(中性)
硬度:30(軟水)
Amazonでの販売価格: 2リットル×3本で210円(2018年7月20日時点)
採水地:山梨県北杜市白州町
今回は、ミネラルウォーターの基礎知識をおさらいし、用途別のおすすめミネラルウォーターをご紹介しました。みなさん、気になる製品は見つかりましたか?これからの暑い季節にはこまめな水分補給が欠かせません。ここで紹介した以外にもたくさんのミネラルウォーターが販売されていますので、是非、自分に合ったミネラルウォーターを見つけてみてください。
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(※記事内容については、CANARY編集部、及びライターが独自に調査、執筆したものです。ご紹介しているオンラインサロンのオーナー様、及びその関係者からの監修を受けたものではありません。)