近年の健康ブームの影響を受け、自宅で使えるトレーニンググッズの種類もかなり豊富になってきました。中でも、最もメジャーなトレーニンググッズの1つであるバランスボールは、運動初心者でも使いやすく、簡単なエクササイズからハードなトレーニングまで、幅広く活用することができます。
この記事ではそんなバランスボールの効果と、目的別の使い方のポイントをご紹介します!
バランスボールを使うとこんな効果がある!
バランスボールは、他のトレーニンググッズやトレーニングマシンと比べて、比較的安価で安全に使えるだけでなく、普段行なっているトレーニングのバリエーションを増やすこともできます。また、バランスボールを使うことで、次のような効果も期待できます。
ダイエット効果
バランスボールを使ったトレーニングでは土台が不安定になるため、普段の生活では特別意識していないインナーマッスルのほか、外側のアウターマッスルもしっかり鍛えられます。身体の深層から表層まで、幅広い筋肉を刺激することができるため、脂肪燃焼や身体の引き締めなどにもつながる、というわけです。
また、スクワットや腕立て伏せの際に、バランスボールを上手く活用して運動強度を高めるなど、体力や目標に応じて負荷のコントロールも行えます。自分に合った強度に調整することで、ダイエットのための運動も継続しやすくなるでしょう。
体幹トレーニング
バランスボールを使ったトレーニングでは、不安定な土台の上で姿勢保つ必要があるため、肩や背中、お腹、腰、股関節など身体の中心部、いわゆる体幹を鍛える効果が期待できます。体幹が鍛えられることで全身の安定性がアップし、運動中ケガをしにくくなったり、長時間の仕事でも疲れにくくなると言われています。
姿勢・ゆがみの矯正
バランスボールを椅子にした状態で安定して座るには、背筋を伸ばしながら、バランスを保つために体の重心を微調整しなければなりません。そのため、バランスボールを椅子の代わりとして普段使いするだけでも、日常生活で生まれる姿勢のクセや歪みを整える効果が期待できるでしょう。
このことから、一部の企業では、オフィス内で椅子の代わりにバランスボールの使用を許可している場合もあります。
腰痛の改善
一言で腰痛といっても、その原因は様々。特に現代人に多いのは、イスに座っている時間が多くなることで、腹筋・背筋・股関節・太もも・お尻といった姿勢保持に欠かせない筋肉・関節が硬くなっている、というケースです。
バランスボールに座ったり、バランスボールを使ったトレーニングをしたりすると、今まで使っていなかった筋肉をほぐしながら鍛えることができるので、身体本来の動きを取り戻しやすくなります。すると、血行やリンパの流れがよくなり、腰痛が改善されることもあるのです。
【目的別】バランスボールの使い方
バランスボールの使い方は、人によってさまざまです。用途が非常に広いため、「どう使えばいいかわからない」と、迷ってしまう人も少なくないでしょう。ここからは、ダイエットや筋肉強化、腰痛改善など目的別に合わせた、バランスボールの使い方を紹介します!(※紹介しているセット数、頻度はあくまでも目安です。ご自身の体調に合わせ、無理のない運動強度で行うようにしてください。)
ダイエット向け
これからダイエットを始めるという方は、次に紹介するトレーニングを実践してみましょう!また、一緒に紹介するバランスボールストレッチを先に行うことで、安全にトレーニングができるだけでなく、筋肉の可動域が広がることでトレーニングの効果を高めることができます。
(1)バランスボールの反動を利用した腕立て伏せ
①あお向けの姿勢になり、両手・両ひざでバランスボールを持ち、挟むように支える
②身体の真上でバランスボールを保ち、ゆっくりと両手・両ひざでバランスボールを押し込んでいく
③これ以上押せないという状態になったら、元の姿勢に戻す
これを、1セット8回〜12回、3セットのペースで行います。
ポイントは、ボールを押し込むときはお腹にも力を入れることです。こうすることで、太ももや腕、胸だけでなく、腹筋や体幹のインナーマッスルも刺激できます。
(2)バランスボールクランチ
①バランスボールの上に座り、腰から背中がボールに密着するような姿勢で、あお向けになる
②両手は頭の後ろか胸の前で組み、ゆっくり上体を起こす
*頭から順に、背中を丸めるように動かす
③ボールから肩甲骨が離れるくらいまで上がったら、ゆっくり元の姿勢に戻す
これを1セット10回〜15回、3セットのペースで行います。
腹筋の代表トレーニングであるクランチですが、バランスボールを使うことで、床で行うよりもさらに腹筋を動かす範囲が広がります。そのため、猫背や座りっぱなしの姿勢では収縮したままになってしまう腹筋を、ほどよく伸ばすことができます。
(3)バックブリッジ
①あお向けになり、両脚をバランスボールに乗せる
②腰を浮かせて、ひざを90度まで曲げながら、バランスボールを身体へと惹きつける
③ゆっくりボールを元の位置に戻す。このとき、腰は浮いたままの姿勢を維持すること
綺麗なヒップラインや美脚を目指した女性におすすめのトレーニングです。普段意識していないお尻や、ハムストリングスと呼ばれる裏ももの筋肉、さらには背中の筋肉も刺激することができます。
(参考:Tarzan)
筋肉を鍛えたい人向け
ダイエット向けのメニューではなく、より本格的にトレーニングをして筋肉を鍛えたい方は、次のメニューを取り入れてみましょう。
(1)バランスボール・プッシュアップ
①両手を肩幅よりやや広くして、ひじを伸ばしたままボールにつく
②つま先から背筋まで一直線の姿勢で、ゆっくり腕立て伏せを行う
*肩甲骨を寄せて行うことで、胸の筋肉を意識してトレーニングできる
最初は1セット5回、3セットからはじめ、慣れてきたら徐々に1セットあたりの回数を増やしていきましょう。
バランスボールによって、腕立て伏せの負荷を高めるトレーニングです。土台がかなり不安定になるので、姿勢保持のために腕や胸だけでなく、肩、体幹の筋肉も鍛えることができます。
(2)フロントブリッジ
①腕立て伏せの姿勢になり、バランスボールの上にすねの部分を乗せる
②身体はまっすぐ、ひじをのばしたまま股関節を曲げ、お尻をあげつつボールを胸に引き寄せる
③につま先がボールの上になるまで引き寄せたら、逆の動作で元の姿勢に戻る
これを1セット10回、3セットを目安にやってみましょう。
バランスを取るだけでも難しいため、中級者〜上級者の方におすすめのトレーニングです。体幹はもちろん、股関節や太ももなど、下半身のトレーニングにも適しています。
(3)ウォールスクワット
①壁と腰でボールをはさみ、両手は前に伸ばすか、胸の前で組む
②両脚は肩幅よりやや広くして、バランスボールに体重を預けながら腰を落とす
③ももと床が水平になったら、元の姿勢に戻る
1セット10回、3セットを目安に行なって見ましょう。
ボールに体重を預けて行うことで、よりフォーム維持を意識したトレーニングができます。普通のスクワットよりも強度は下がりますが、片足で行うことで体幹を鍛えつつ、下半身への刺激をさらに高めることができます。
(参考:日本パワーリフティング協会)
ゆがみ・姿勢(猫背)を正したい人向け
バランスボールを姿勢改善に役立てたいという方は、次に紹介する簡単なエクササイズに取り組んでみてください。
(1)腰を左右に動かすエクササイズ
①ボールの中心に座る。足は肩幅よりやや広めが目安
②両手は腰にそえて、頭、上半身、足が動かないように腰を横にずらす
左右それぞれ、1セット10回、3セットを目安にやってみましょう。
このエクササイズでは、骨盤周りをストレッチしつつ、インナーマッスルを刺激することができます。
(2)腰を前後に動かすエクササイズ
こちらは、(1)と同じ要領で、腰を前後に動かすエクササイズです。ゆっくり大きく腰を動かすことで、ストレッチとインナーマッスルトレーニングの効果を同時に高めることができます。
腰痛に悩んでいる人向け
腰痛に悩まされている人には、ゆがみ・姿勢改善で紹介したエクササイズが有効です。それ以外にも、次に紹介する2つのストレッチを使うことで、普段使っていない筋肉・関節が刺激され、腰痛の改善につながることがあります。
(1)股関節のストレッチ
①たった姿勢で両足を前後に大きく開き、ボールをはさみこむ
*背筋はしっかりと伸ばしておくこと
②軽く膝を曲げ、少し腰を落とす
③前後に開いた脚でボールを強く挟み込み、20秒キープする
④前後の脚を反対にして、同じように行う
左右それぞれ、2回ずつ行いましょう。
股関節は、下半身を大きく動かす上で欠かせない関節ですが、座りっぱなしで長時間過ごすとで、硬くなりやすい部位でもあります。そのため、股関節をストレッチすることで、腰の負担を減らすことができます。
(2)体幹全体のストレッチ
①ボールの上に背中を乗せ、あお向けになる
②両手はばんざいの姿勢で、体重をボールに預ける
③ボールが腰の位置になるまで転がし、20秒キープする
体幹はもちろん、背骨のなかでも胸の裏側に位置する「胸郭」をほぐすことで、腰に負担をかけずに正しい姿勢を維持しやすくなります。仕事中や作業中に姿勢が前のめりになってしまいがちな人ほど、非常に高い効果が期待できるでしょう。
高齢者向け
最初のうちは無理をせず、ゆがみ・姿勢矯正の項目で紹介した腰を動かすエクササイズで、徐々にバランスボールに慣れていきましょう。慣れてきたら、座ったままの姿勢で腰を時計回りや反時計回りに動かしてみたり、片足をあげてバランスが取れるかチャレンジしてみてください。
高齢者の方にとって、筋力は身体のバランスを保つ上でとても大切です。日常的なトレーニングを心がけましょう。
(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット)
子供向け
子ども向けのバランスボールトレーニングは、筋力を高めるというよりはバランス感覚を養うためのもの。養われたバランス感覚は、さまざまなスポーツに活かすことができます。
まずは、バランスボールに座った状態で、腰を回したり片足を上げたり、腕を振ったりしてもバランスを取れるようになりましょう。バランスを取ることに慣れてきたら、バランスボールの上にあお向けになり、両手・両足を床につけブリッジの姿勢をとってみてください。この時、身体が左右に転がらないようにすることで、バランス感覚の他に、柔軟性を養うこともできます。
バランスボールの選び方
自分に適したバランスボールの選び方は、おもに「サイズ」「耐荷重」の2つに分けられます。それぞれ解説していくので、自分にぴったりのバランスボールを見つける際の参考にしてください。
サイズ
バランスボールのサイズは、次の一覧を目安に、自分の身長に合った大きさを選びましょう。
・165cm以下:直径55cm
・165cm〜185cm:直径65cm
・185cm以上:直径75cm
耐荷重
耐荷重は、自身の体重とトレーニング目的によって選びましょう。座ったエクササイズやストレッチ、乗ったまま行うトレーニングがメインであれば、耐荷重100kg以内でも問題ありません。跳ねたり反動を利用したりと、ハードなトレーニングに使いたい方は、耐荷重200kg〜300kgの、頑丈な商品を選びましょう。
オススメのバランスボール+体感トレーニンググッズ
バランスボールは一見同じに見えて、メーカーごとに品質はかなり異なります。ここからは、おすすめのバランスボールメーカーや体幹を鍛えられる便利なトレーニンググッズを紹介します!
信頼の品質が人気のバランスボールメーカー「アルインコ(ALINCO)」
アルインコは日本に本社があり、さまざまなフィットネスマシンを手がけています。耐荷重300kgのモデルも取り扱うほか、バランスボールにはマニュアルが付属しているため、初心者〜上級者まで幅広く使いやすい商品です。
最近注目のフィットネスメーカー「SIXPAD」のバランスボール
クリスティアーノ・ロナウド選手のCMなどで話題のEMSや、フィットネス用品を手がけているSIXPADの商品。耐荷重は100kgで、スタイリッシュなデザインが多いことが特徴です。
シンプルデザインで場所を取らない「バランスボード」
バランスボードは、半円型の形をしたトレーニング器具です。上にのってスクワットや腹筋トレーニングをすることで、体幹を刺激することができます。バランスボールと比べて場所を取らないだけでなく、バランスを崩したときも、より安全な形状になっています。
アスリートにもおすすめ!「スライドボード」
スライドボードは非常にすべりやすいシートの上で、さまざまな動きができるトレーニング器具です。有酸素運動にも向いていているため、体幹を鍛えながらアスリートのようなトレーニングも楽しめます。
自宅で椅子代わりに使ったり、テレビを見ている時のスキマ時間で運動をしたり、本格トレーニングに使えたり。バランスボールはライフスタイルに合わせて、自由な使い方ができるトレーニンググッズです。
最近運動不足で腰痛に悩んでいる方や、ダイエットを始めたい方。家トレのバリエーションを増やしたい方は、ぜひバランスボールを使ってみてください!