健康・美容に高い効果が期待できるとされているクエン酸は様々な料理に活用できる優れもの。さらに、最近では重曹と並ぶほどの人気掃除アイテムとしても注目を集めています。この記事では、クエン酸のもつ健康効果やレシピ、掃除アイテムとして活用する際の具体的な使い方について見ていきましょう。
クエン酸とは
レモン、みかんなどの柑橘類や梅干しなどに含まれている酸味成分のひとつが「クエン酸」です。
クエン酸には、体内で糖をエネルギーに変える働きがあるほか、身体の疲労物質を分解して蓄積を防ぐ「キレート作用」と呼ばれる働きもあります。
クエン酸のph
日本ではpH 3以下が酸性、3~6が弱酸性、6~8が中性、8~11未満が弱アルカリ性、11以上がアルカリ性と区分されています。クエン酸のpH値は2~3であり、酸性です。
クエン酸の効果<健康編>
ここからはクエン酸の健康効果について紹介します。
疲労回復
私たちが呼吸によって取り込んだ酸素の一部は「活性酸素」という物質に変わりますが、この活性酸素は、免疫のしくみを支える役割がある半面、DNAやタンパク質などを傷つけてしまう作用があるため、疲労の原因の一つとされています。
クエン酸には、活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用があり、栄養を取り入れて老廃物を排出するという細胞本来の働きが保たれるようになるため、疲労を回復する効果が期待できるでしょう。
(参考:伊藤農園 みかんな図鑑│クエン酸と疲労回復のおはなし)
血液をサラサラにする
私たちの体内では「クエン酸サイクル」と呼ばれるエネルギーサイクルが働いており、このサイクルがスムーズに働くことによって血液中に乳酸がたまるのを防いでいます。また、クエン酸には血液に含まれる中性脂肪を減らし、血小板の結合を防ぐ働きがあるため、血液をサラサラにする効果が期待できるでしょう。
このように、クエン酸は血液の状態を正常に保つ上で欠かせない成分でもあるのです。
(参考:omron│血液をサラサラにするには)
尿路結石の予防
尿路結石は、カルシウムやシュウ酸、リン酸石などが結晶となって尿路に生じる病気ですが、その予防としてクエン酸が役立つとされています。これは、クエン酸に、シュウ酸とカルシウム、リン酸とカルシウムの結合を抑制する働きがあるためです。
さらに、クエン酸には尿中Phを上昇させて酸性尿を促す作用があるため、尿酸結石だけでなくシスチン結石の予防にも効果が期待できるとされています。
美肌
肌が紫外線を浴びて「フリーラジカル」という成分が発生すると、真皮にあるコラーゲンがダメージを受けるため、皺やたるみを引き起こす場合があります。
クエン酸には、フリーラジカルを除去する働きがあるため、美肌効果が期待できると考えられているのです。
肉芽の治療
ピアスホールや爪などにできてしまう肉芽。クエン酸には殺菌作用や代謝の促進作用があるため、肉芽の回復をサポートする作用があるとされています。
とは言え、悪化を防ぐためには、病院での治療が大切です。痛みが続く場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
クエン酸の摂取量目安
クエン酸の摂取量について、WHO(世界保健機関)では特に明確な規定を定めていません。また、日本国内においてもクエン酸は「食品添加物」の扱いとなっており、使用制限等の規制はありません。
クエン酸スティックやドリンク、サプリを購入した際は、商品説明に記載してある用量を守って摂取するのが良いでしょう。
(参考:Pokka sapporo│Q&A)
クエン酸を摂りすぎると
身体が吸収しきれなかったクエン酸は、時間が経つとともに体外へ排出されるため、クエン酸の過剰摂取による悪影響はほとんどないと言えるでしょう。ただし、食品からクエン酸を多く摂取しようとする場合、クエン酸以外の栄養素や添加物を摂取しすぎてしまう場合あります。
また、クエン酸を一度に大量に摂取すると、胃腸にダメージを与えて下痢や吐き気などを引き起こす場合もあるため、注意してください。
クエン酸を摂取するタイミング
クエン酸のもつ効果は、摂取するタイミングによって差があるものではありませんが、クエン酸には疲労を軽減させる効果が期待できるため、起床後や運動する前に摂取しておくことで活動のパフォーマンス向上を促すことができるとされています。
(参考:おいしさと健康 glico│運動中の分岐鎖アミノ酸(BCAA)とクエン酸摂取による疲労軽減効果)
クエン酸を多く含む食べ物
ここでは、クエン酸を多く含んでいる食品を紹介します。日々の食事に取り入れてみましょう。
お酢
お酢は穀物や果実などの糖分を持つ原料でアルコールを作り、それらを醗酵させた酢酸調味料です。お酢にはクエン酸のほか、タンパク質を構成するアミノ酸や酢酸、コハク酸、リンゴ酸、など60種類以上の有機酸が含まれています。
レモン
レモンはクエン酸を含む代表的な食品です。果汁100g当たり約3g(6~7%)のクエン酸を含み、さらにビタミンCやカリウムなどの栄養素も豊富に含まれています。
(参考:食品分析開発センター│レモン類に含まれる健康機能性成分について)
みかん
みかん100g あたりのクエン酸含有量は約1.0g(0.7~1.1%)と、柑橘類の中では多い方ではありませんが、おやつやスイーツ、飲み物など、手軽に食事に取り入れやすいというメリットがあります。
また、温州みかんや晩柑の皮を煮出して作る「みかん水」はクエン酸水溶液として、掃除にも活用することができます。
梅
ご飯のお供や和え物など、和食に欠かせない存在である梅干しには、一粒約10gあたり約0.7g、100gに換算しておよそ4g(1.6~4%)のクエン酸が含まれています。
カリウムや食物繊維を豊富み、様々な健康効果が期待できる一方、塩分も多く含むため、食べ過ぎには十分注意しましょう。
グレープフルーツ
ジャムやスイーツなどの甘味としてはもちろん、サラダなどの料理にも活用できるグレープフルーツ。100gあたりには1.1g(0.9~1.1%)のクエン酸が含まれています。
そのほか、苦味の元であるポリフェノールの一種ナリンギンや、赤血球を作り出す葉酸なども豊富に含まれているのがグレープフルーツの特徴です。
クエン酸ドリンクのレシピ
ここでは、疲労軽減や運動パフォーマンスの向上など、様々な嬉しい効果が期待できる、クエン酸ドリンクのレシピを紹介します。自宅で簡単に作れるので、せひ試してみてください。
〈材料〉
水 1リットル
クエン酸 3g(小さじ1)
塩 小さじ1/2
グラニュー糖 50g
〈レシピ〉
1.材料をすべて混ぜ合わせて溶かします。
2.冷蔵庫でよく冷やしてから飲みましょう。
(参考:共立食品株式会社│スポーツドリンク)
クエン酸の効果<掃除編>
クエン酸は、重曹などと同じく、ナチュラルクリーニングの成分としても人気があります。ここからは、クエン酸で落とせる汚れやその効果、具体的な掃除方法について見ていきましょう。
水垢を落とせる
シンクや洗面所付着する水垢は、水道水に含まれているカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが結晶となって固まったもの。水垢はアルカリ性であるため、酸性のクエン酸に10分ほど浸しておくことで中和されて簡単に落とすことができるのです。
クエン酸を水に溶いて作ったクエン酸水をスプレーボトルに常備しておきましょう。
水垢の落とし方について、より詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
除菌効果
クエン酸には除菌効果があるため、食品が直接触れるまな板などの汚れ落としと除菌に最適です。クエン酸が直接皮膚に触れると荒れてしまう場合があるため、手指の消毒や除菌には専用に販売されているものを使いましょう。
クエン酸での掃除が有効な場面
最後にクエン酸を使用して掃除するのに有効的な場面をいくつか紹介します。
加湿器の掃除
加湿器はシンクやお風呂と違って作りが細かい部品が多いため、クエン酸でつけ置きしておくのがおすすめです。
フィルターなどの部品ごとに分解して水道水で軽く洗ってから、ぬるま湯3リットルに対してクエン酸20gを混ぜたクエン酸水に浸しましょう。30分~1時間ほど置いてみてから、使い終わった歯ブラシや雑巾などを使って細部の汚れを擦って落とします。最後は各部品を水ですすぎ、タオルなどで水気を拭き取りましょう。
ただし、加湿器の種類によっては、フィルターや本体の水洗いが禁止されている製品もあるため、事前に説明書の注意事項をよく読んでください。
電気ポットの掃除
電気ポットの内側に付着した白い汚れは、水道水がに含まれるミネラル分が結晶化したものであるため、クエン酸の力で溶かして落とすことができます。
電気ポットに水を満水まで入れ、クエン酸30〜50gを入れてよく混ぜて沸騰させましょう。1〜2時間ほど放置したらお湯を捨てて水ですすいで完了です。落ちなかった細かい汚れなどはスポンジや歯ブラシなどを使ってこすり落としてください。
お風呂掃除
浴槽の湯垢を酸性のクエン酸だけで掃除しても汚れを落としきれない場合がありますが、これは、浴槽の水垢の主成分であるマグネシウムに石鹸かすなどが混ざりあって化学反応を起こし、もともとのアルカリ性から反対の酸性に変化しているためです。そこで、浴槽の掃除には、酸性のクエン酸とアルカリ性の重曹を併用するようにしましょう。
水200mlとクエン酸小さじ1を混ぜたクエン酸スプレーを湯垢のついた箇所に吹きかけ、重曹の粉末を降りかけたスポンジで上から軽くこすります。ただし、重曹には研磨作用があり、場合によっては浴槽などの表面に傷をつけてしまう恐れがあるため、こする時には力を入れすぎないように注意してください。
トイレ掃除
トイレの床や壁、便器の表面に付着しがちな水垢・尿石などの汚れやアンモニア臭はアルカリ性であるため、酸性のクエン酸が有効です。クエン酸スプレーを吹きかけて磨き、最後に水拭きをしましょう。
ただし、アルミや鉄、真ちゅうなどの貴金属、大理石、プラスチック、タイルなどでできた床や壁は、酸に反応して傷んでしまうことがあるため、クエン酸の使用は控えてください。また、便器の内側の汚れも気になるところですが、便器の中の黒ずみや赤っぽい汚れは水垢ではなく、雑菌が繁殖したものであるため、専用の洗剤を使って落としましょう。
健康や美容効果が期待できるだけでなく、身近な掃除アイテムとしても便利なクエン酸。様々な食品から手軽に取り入れることができます。日々の食事やこまめな掃除にクエン酸を活用して心身ともにリフレッシュさせましょう。