周囲の人や自分に対して「もしかして自己完結型?」と感じたことはありませんか。誰にも頼らず、ひとりで淡々と仕事をしたりプライベートを楽しんでいたりする自己完結な人。ときには憧れを抱くこともあるでしょう。また、在宅勤務などを経験して「チームよりも1人で仕事を進めるほうが合っているのでは?」と気づいた人もいるかもしれません。
しかし行き過ぎた自己完結は自分を追い詰めてしまう場合もあります。そうなる前にこの記事で特徴や対処方法などを知って、上手に「自己完結」と付き合ってみてはいかがでしょうか。
自己完結とは?
自己完結とは、何事も自分の中で決めて納得すること。結論に至るまでの段階で誰かに意見を聞くことはせず、すべて自分で考えて決着をつけます。「今日の夕飯は何を食べよう」といった小さなことから、「転職しようかな」などの大きなことまで、自分1人で答えを出そうとします。
自己完結と自己満足の違い
自己完結とよく似た言葉に「自己満足」が挙げられます。自己満足とは、自分の行動や考えに対して自分自身が満足している状態。たとえば成果物が周囲から50点の評価をもらったとしても、「自分の中では100点満点だった」と満足してしまう状況が当てはまります。
(参考:Oggi.jp│「自己完結」してしまう人の特徴とは? 男女別に当てはまる言動や、上手な付き合い方について紹介)
自己完結はポジティブとは限らない
自己完結している人を見て、憧れを抱くこともあるかもしれません。たしかに失恋などつらい出来事に対して自分だけで気持ちを整理できる、自ら考えて行動を起こすことができるなどポジティブな面はたくさんあります。また、裁量が大きく1人でコツコツ進める仕事でも強みを発揮します。
しかし自己完結は場合によってはデメリットを生む可能性も。とくにチームワークが求められる場面では、自己完結が短所になりがちです。
たとえば、本来なら関係者に相談して決めなければならない内容を自分だけで判断してしまうケース。具体的な例として、職場で新入社員歓迎会を企画する場合を考えてみましょう。
出し物の担当者、料理の内容、会場、開催時間など決めなければいけないことは山ほどあります。予算は例年と同じでいいのか、出し物を依頼する人は当日来ることができるのかなど、ほかの人に確認をとってから進めるべき内容も多いでしょう。
こんなとき自己完結な人は「自分が新入社員だった頃はこの会場だったから同じでいいだろう」、「自分は中華料理が好きだからみんなも好きなはずだ」など1人で判断して進めがちです。しかし社員の中には、中華料理が苦手な人や、自宅と会場までの距離が遠すぎて参加を断念する人もいるかもしれません。
さらに、もし周囲から「この会場は安くて料理がおいしいし、アクセスがいいからおすすめ」などのアドバイスをもらったとしても、自己完結な人は「そんなはずはない」と否定しがち。自分の考えに固執しがちなため、ほかの人の意見をあまり重視しません。
また、通常業務をしながら歓迎会の準備を1人で進めることは難しいはず。そんなときも自己完結な人はほかの人を頼ることが苦手なため、1人で仕事を抱えてしまい残業続きになるかもしれません。行き過ぎた自己完結は、周囲だけでなく自分も追い込んでしまうのです。
自己完結な人はプライベートでも「人付き合いが苦手」などのデメリットが見られます。自分と違う意見をわずらわしく感じてしまうため、「1人でいたほうが楽」と思ってしまうのです。意見の違う他人と共同生活を送ることにも魅力を感じないため、結婚願望を持っていない人も多いと考えられています。
(参考:セキララゼクシィ│ポジティブ思考になるには?前向きな人の特徴やメリットも解説)
自己完結な人の特徴
「もしかすると自己完結なのでは……」と知人や自分の姿を思い浮かべている方はいませんか。自己完結な人の特徴として代表的な例を紹介するので、心当たりがないかチェックしてみましょう。
無口や秘密主義
自己完結な人は自分の考えや悩みを人とあまり共有しないため、秘密主義だと思われがちです。自分からプライベートについて打ち明けることも少なく、他人からあれこれ聞かれることも好みません。
オフィスでの雑談や上司との飲み会なども苦手に思っている可能性があります。そのため、在宅勤務やフリーランスなど必要最低限の業務連絡しか求められない環境を心地よく思っているでしょう。
また、物事をじっくりと考える時間が多いため、周囲からは無口だと思われている場合も。考えた末に「ほかの人に言っても仕方ない」と思い、発言をしないケースも見られます。
自分の経験だけで判断しがち
自己完結な人は「前回はこの方法でうまくいったから今回も同じ方法でいいはずだ」など、自分の経験をもとに判断する傾向が見られます。このとき他人の考えや経験などには目を向けないため、ひとりよがりな結論を出してしまう可能性が高いです。
周囲に共感を求めないため考えが偏ってしまうこともあります。「~に違いない」と自分のものさしだけで判断し、それ以外の考えを取り入れない人もいるようです。
頑固・協調性にかける
自己完結な人は自分の考えを重視するあまり、頑固になってしまう場合があります。他人から口出しされることを好まないため、アドバイスをもらってもスルーしがち。そのため周囲からはコミュニケーションが苦手だと思われている可能性があります。
また、「自分だけで仕事をしたほうがうまくいく」と、相談せずに進めてしまうこともしばしば。その結果、仕事仲間などから「協調性がない」と思われてしまうのです。
(参考:カオナビ│協調性とは? 必要な理由、協調性がある人の特徴、面接で協調性を探る方法について)
自分1人で抱え込む
悩みを自分だけで抱え込んでしまうのも、自己完結な人の特徴。中には「相談したら迷惑をかける」、「この程度は自分だけで解決しないと」と思い1人でなんとかしようとする人もいるでしょう。
本来ならばほかの人の手を借りたほうがいい仕事を任されても、頼らず自分だけで進めようとしがちです。
責任感が強い
自己完結な人は自分で出した結論に対して強い責任感を持つ傾向があります。そのため失敗したとしても他人のせいにせず、自分で対処しようとするのです。
しかし責任感が強すぎるあまりに、自分を責めてしまう場合も。その結果ストレスをため込んだり、自信をなくしたりしてしまうこともあります。
興味のあることしかしない
こだわりが強く、興味のある分野に精一杯取り組むことが得意な自己完結な人。裏を返せば、興味のないことには極力関わりたくないと思っています。芸術家やエンジニアなど、特定の分野に特化したポジションで力を発揮するといえるでしょう。
仕事などを自己完結させないために
複数人で取り組む仕事では、協調性や人に頼ることを求められる場合があります。つい自己完結をしてしまいがちな人でも、以下の3つを意識すればチームでの仕事を進めやすくなるかもしれません。
周りの意見を聞く
自分の考えだけで結論を出す前に、周りの意見も聞いてみましょう。相手の話には最後まで耳を傾け、途中で遮らないようにすることも大切です。もし納得できない点や疑問に思うことがあれば、素直に聞いてみると相手も答えてくれるでしょう。最終的な結論を出すのは、こうした質疑応答の後でも遅くありません。
人とのコミュニケーションを意識する
意識的に周囲とコミュニケーションをとることで、自分とは違う考え方に気づくはずです。最近あったちょっとした出来事など、小さな話題でもかまわないので雑談をしてみるのもいいでしょう。
また、悩みを誰かに相談することもコミュニケーションのひとつ。人によっては、「頼ってくれて嬉しい」と喜んでくれるかもしれません。相談は恥ずかしいことではないので、周囲を気軽に頼ってみてはいかがでしょうか。
(参考:TOWNWORKマガジン│コミュニケーションが苦手な人の特徴と今すぐできる克服方法│話し方やNG言動も)
興味のないことにも踏み込む
あまり興味を感じないことにも、たまには踏み込んでみましょう。すると、今まで知らなかったおもしろいことや、向いていると感じることに出会えるかもしれません。視野が広がれば、自分が考えるときの材料も増えるはずです。
独学で新しい分野に挑戦する、行ったことのない場所を旅行する、など1人でできることからでもかまいません。慣れてきたら世の中で流行っているものや、人からおすすめしてもらったことなどにも触れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
自分1人で考え、結論を出す自己完結な人。判断力や行動力にすぐれ自立しているようにも見えますが、場合によっては「協調性がない」と思われるかもしれません。また、自己完結であるあまりに周囲に相談できず、悩みを1人で抱え込んでしまう可能性もあります。
もし自己完結な自分を変えたい、と思っているのであれば、まずは人の話をきちんと聞くことから始めてみてはいかがでしょうか。自分にはない考え方や世界に触れることで、視野が広がるかもしれません。