キルト作家・島田桃子さんのオンラインサロン「ハワイアンキルトサロンMana」。オンラインレッスンや毎月東京・名古屋・新潟で行うレッスンのほか、DMMオンラインサロンアワードでは、毎年ユニークなプロジェクトを発表するなど積極的に活動をしています。
今回は、東京でのレッスンに私たちも参加。中学生以来、ほとんど裁縫に触っていないというDMMオンラインサロンのスタッフが、島田さん指導のもとハワイアンキルトに初挑戦しました。
1974年生まれ、新潟県在住。大妻女子大学短期大学部家政科服飾文化コース卒業。
本場ハワイのキルターよりキルトを学び、2002年よりハワイアンキルトサロンManaを主宰。雑誌「キルトジャパン」のカレンダーに作品が取り上げられるなど、注目を集める。コンテストにも精力的に出品し、受賞歴多数。
おおらかさ、カラフルさが魅力のハワイアンキルト
ーーまず、島田さんはどのようにしてハワイアンキルトと出会ったのですか?
大学時代から、友達と夏休みや春休みに必ず、ハワイへ遊びに行っていました。そこで毎回お土産として、クッションやポーチなど、ハワイアンキルトをコレクションしていたんです。
当時はまだ、ハワイアンキルトに関するものは「作るもの」ではなく「買い集めるもの」でした。
しかしある日、書店に足を運んだら日本のハワイアンキルトの第一人者・キャシー中島さんの本を見つけました。そこではじめて、「ハワイアンキルトって自分で作れるの!?」と知ったんです。
ですが…私は当時、縫い物がまったくできませんでした。
ーー大学が服飾関係だとお聞きしていたので、当時から裁縫は得意だと思っていました…
もともと料理が好きだったんですが、当時大学の家政科の選択コースは大学側が決めるシステムで、一番苦手な服飾文化のコースに進みました(笑)。最初は初歩的なこともできなかったので、家庭科の先生だった母に教えてもらってたんです。
ハワイアンキルトも、最初はなにもできなくて。それでもとにかく本場にこだわるタイプなので、「ハワイでハワイアンキルトを学びたい!」と思い現地へ飛び立っていきました。
そこで意外だったのが、私の先生になってくれた方が男性だったことです。それ以外にも、本場ならではの発見や驚きがありましたので、いい経験になったと思います。
ーーすごい行動力ですね。
そして、ハワイアンキルトを習おうと決めたときから、なぜか「絶対教える側になる」というのを自分のなかで決めたんです。母もちょうど定年を迎えるので、2人でやれるなって(笑)。
もとから教える立場になるつもりでハワイに行ったので、必死にリサーチして勉強しました。
ーー決断力もすごいです。そもそもハワイアンキルトは、どんな特徴があるのですか?
カラフルなデザインが特徴的ですね。あとはヤシの木、パイナップル、ハイビスカスなど、ハワイにちなんだモチーフなのでハワイ好きの方には人気です。一部のキルトでは、「1mmでもズレたらダメ!」とすごく厳しいものもありますが、ハワイアンキルトでは、「少しぐらいズレても大丈夫」とおおらかなのが魅力だと思いますね。
なかには巨大な作品も!思い思いの作品が作れるレッスン
ーーそこから、どのようにしてオンラインサロンを開設したのでしょうか?
「ハワイアンキルトサロンMana」を開設する前は、ブログで通信講座をしていました。ハワイに旅行していた時に、友人から動画サイトでライブ配信してみることを勧められたんです。
ライブなら、現地の生地屋さんの様子や、現地のホテルに飾られている作品を紹介できるじゃないですか。その場で生地の買い付けもできますしね。
帰国後、すぐに動画サイトを調べていたんですが、今度はまた違う友人から「今はオンラインサロンだ!」と紹介されて。改めて調べて、行きついたのがDMMオンラインサロンだったんです。
DMMオンラインサロンなら、ライブ機能も利用できるしイベントブースも借りられる。私のやりたいことにぴったりだと思い、サロンを開設しました。
ーーご友人もすごいですが、とにかくすぐはじめる島田さんもすごいです。
まあ、結局ハワイからのライブ配信は1回しかできず、すぐコロナ禍に入ってしまったんですけどね(笑)。
とはいえ、オンラインレッスンができたり、月1回のレッスンができたりと、やれることはたくさんあるので、コロナ禍のタイミングでオンラインサロンに移行できたのはすごく幸運だったと思います。
月1回のレッスンも、多いときは20名くらい参加してくれます。その様子を配信することで、どうしてもオフラインで参加できない方もすごく喜んでくれますね。
ーーオフライン、オンラインどちらも温かい交流があるんですね。オフラインの教室では、どんなものを作っているのでしょうか?
今日作っているのはベッドカバーです。これはセミダブルなので、200cm×250cmの大きさですね。参加されている方にフラガールさんがいるので、フラ楽器をモチーフにデザインしているんですよ。
ーーすごく大きいですね!机いっぱいに広がっています!
そうでしょう?制作しながらみんなで「将来、自分の棺桶カバーにもなる」なんて冗談を言いつつ、真剣に作っています(笑)。
ーー会話の内容から、和気あいあいとした制作の雰囲気が伝わってきますね(笑)
ハワイアンキルトは、代々受け継がれていくものです。親から子へ、子から孫へ。それくらい大切なものなので、皆さん張り切って作ります。
ちなみに、これだけのサイズをハワイで買おうとしたら、現地の方が制作したものだと1枚100万円くらいします。
ーー100万円!それだけ価値あるものを自分の手で作れたら、とても大切なものになりますね。
参加するメンバーさんも、「仕上がりが上手じゃないものでも、すごく愛着がわく」と言ってくれます。いつかDMM本社でベッドカバーのような大きな作品を並べて、作品展を開きたいですね。そのときには、サロンメンバーさんだけではなく一般の方にも開放して、ハワイアンキルトをたくさんの方に見てほしいです。
裁縫素人がハワイアンキルト初体験!約1時間でできた作品の出来は…!?
ーーさてここからは、DMMオンラインサロンスタッフの鳥越が、ハワイアンキルトに初挑戦します!
DMMスタッフ 鳥越:よろしくお願いします!裁縫なんてボタンを付けるくらいしかできませんが大丈夫でしょうか?
島田さん:大丈夫ですよ!簡単なので初心者の方も安心してください!
ハワイアンキルトは、通常アップリケしたところにキルティング(2枚の布地の間に詰め物を入れ、刺し縫いすること)していきます。
今日は短くできるバージョンとして、すでに用意しているデザインに生地を乗せ、キルティングして作品を作っていきましょう。
今回用意したデザインは「サンライズシェル」という、ハワイでしか取れない貝をモチーフにしたものです。これを身につけると、幸せになれるという言い伝えがあるんですよ。
ーーカラフルでかわいいデザインですね。
島田さん:まず、貝を布地に貼り付けましょう。貼り付けたら、白い布と綿を下に重ねます。そして、布地の縁を1周、ぐるりと縫っていきましょう。縫い目の細かさなどは気にせず、アバウトでも大丈夫ですよ!
鳥越:分かりました!やってみます!
島田さん:ひと通り縫ったら、今度は貝の縁を縫います。ここは2mm間隔くらいの細かさで、ぐし縫いしていきましょう。時間は気にせず、親指で押さえながら縫ってください。
鳥越:これ、黙々とやってしまいますね(笑)。
島田さん:すごく上手!ハワイアンキルトは無心にやれるのも魅力なんです。なにもかも忘れて取り組めて、ものすごくリラックスした気分を味わえます。
鳥越:縫う作業に慣れてくると、自分の成長も感じられて楽しいです。
島田さん:あっという間に終わりましたね。それでは、貝にペンで模様を入れましょう。今度はこの線に沿って縫ってください。裏面は最終的に見えなくなるので、気にしないで大丈夫ですよ。
(※今回は体験なのでキルトフープを使わずに、ぐし縫いで体験しています。)
ーー先ほど、ハワイアンキルトはハワイがモチーフのデザインが多いと話していましたよね。逆に、デザインとして「これは使ってはいけない」というものはあるんですか?
島田さん:人や四足歩行の動物はNGとされています。デザインに魂が宿り、夜中に動き出すという言い伝えがあるんです。それと、黒い布は「死」を連想させるため、使ってはいけないとされています。
ーーなるほど。歴史とかを知ると、ますます興味がわきます。
鳥越:縫い終わりました!なんだかすごく集中しちゃいました(笑)。
島田さん:お疲れ様です。ではまず、霧吹きを使ってこのペン跡を消してしまいましょう。
鳥越:水を吹きかけるだけで消えるんですね。ペンの模様がなくなってすごくキレイになりました。
島田さん:あとはこれを額縁に入れて、デコレートしていきましょう。
鳥越:ハワイアンな装飾がたくさんありますね!なにをどこにつけようか悩んじゃいます。
島田さん:好きな飾りを選んで、接着剤でつけたらできあがりです。
ーー鳥越さん、お疲れ様でした。こちらが完成した作品です!すごくハワイアンな作品が完成しましたね。
島田さん:ハワイアンキルトは初めて、さらに裁縫自体も初心者でこれは優秀です!とっても綺麗に縫えてますね!
鳥越:良かったです!確かにこれは愛着がわきますね。家に持ち帰って飾りたいと思います!
若い世代に、針を持つ楽しみを知ってほしい
ーーこんなに早くできるなんて、思いもよりませんでした。
そう。ハワイアンキルトはすごく簡単で、誰でもすぐに始められます。先ほどのベッドカバーも、まだハワイアンキルトをはじめて1年経っていないメンバーさんの作品なんですよ。
40代や50代、あるいはそれより若い世代にも、針を持つ楽しみをもっと知ってほしいですね。特に男性!私の先生も男性でしたが、実は男性の方が手先の細かい作業が丁寧な人って多いんですよ。
ハワイアンキルトを作る楽しみ、カラフルで素敵なデザインを知ってほしいです。そして、ハワイアンキルトを通じて心を癒してほしいなと思います。
ハワイアンキルトを体験したDMMオンラインサロンスタッフのように、学生時代以来、あまり裁縫に触れてこなかったという方は多いと思います。そんな方こそ、ハワイアンキルトというおおらかな縫い物の世界を知ることで、普段の生活に新しい癒しが生まれるかもしれません。
そして、もっとハワイアンキルトの魅力に触れたい方は、オンラインサロンアワードを受賞した長岡花火キルトに、プロジェクションマッピングを映したイベントの様子もぜひチェックしてみてください!