失業手当(失業保険)はいつからもらえる?2020年以降の新しい制度も紹介!

著者名SJ
失業手当(失業保険)はいつからもらえる?2020年以降の新しい制度も紹介!

何らかの理由で仕事を辞めた時、あるいは会社の都合で解雇された時、失業手当は生活を支えるための強い味方です。とはいえ、具体的にいつから、いくらくらいの手当を受け取ることができるのか知っている人は多くないでしょう。

この記事では、失業手当を受給するための要件や受給する際の注意点を解説したうえで、失業手当がもらえるタイミングや期間をパターン別に紹介します。また、受給できる金額の計算方法や上限、そして実際の申し込み手続きについても詳しく説明します。近々退職を考えている人や最近失業した人など、失業手当の受給を希望する人は、この機会にしっかりと確認しておきましょう。

失業手当(失業保険)とは?受給要件について

失業手当とは、雇用保険の被保険者が失業した時に、再就職を支援する目的で支給されるものです。もし再就職までに時間がかかってしまった場合でも、失業手当で金銭的に生活を支えていくことができます。焦って就職する必要がなくなるので、自分が希望する仕事をじっくりと探すことができるようになるのが利点です。

ただし、失業保険は誰でも必ずもらえるものではありません。まずは、失業手当を受け取るための要件をきちんと把握しておきましょう。

雇用保険の加入期間

失業保険を受給するための1つ目の要件は、雇用保険の加入期間に関するものです。基本的には、離職の日からさかのぼって2年の間に、雇用保険の被保険者となっていた期間が通算12カ月以上あることが求められます。

ただし、会社が倒産したために職を失った人、会社側から解雇された人、あるいは賃金未払いやハラスメントを理由に退職した人などを含む「特定受給資格者」、または、病気、妊娠、出産、育児、父母の介護、結婚に伴う引っ越しなど、正当な理由で退職した「特定理由離職者」のどちらかに該当する場合は、離職の日からさかのぼって1年の間に、雇用保険の被保険者となっていた期間が通算6カ月以上あればよいとされています。

再就職の意志や行動

2つ目の要件は、本人に再就職の意思と能力があり、そのために行動を起こしていることです。

失業手当の手続きは、厚生労働省が管轄するハローワークで行いますが、ハローワークでは「失業」を「離職し、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にあること」と定義しています。

つまり、単に仕事に就いていないだけでは失業状態とは見なされません。すぐに働ける状態にあり、かつ就職の意思を持って求職活動を行っていてはじめて失業状態にあると認定され、失業手当を受け取ることができるのです。

したがって、病気や怪我で働けない状態の人や、妊娠中や育児中ですぐに働く意思のない人、定年退職した人などは、失業手当を受け取ることができません。なお、求職活動としては、ハローワークで求人への応募や面接への参加を行っている必要があります。

(参考:ハローワーク│よくあるご質問(雇用保険について) A3.

失業手当(失業保険)受給による注意点

上で紹介した2つの要件を満たしていれば失業手当を受け取ることができますが、失業手当を受給する時には注意しておくべきこともあります。

既にお伝えしたように、失業保険を受け取ることができた場合は焦って就職しなくて済むのが利点です。ですが、裏を返せば、失業手当を受け取っていることで安心してしまい、求職期間が長くなる可能性が高まるということにもなりえます。

一般的に、転職市場においては、前職を離職した後の空白期間が短い方が良いとされています。履歴書に目立った空白期間があると、「こんなに長い間何をしていたのだろう」と不審に思われてしまう可能性があるからです。転職活動で不利にならないようにするためにも、失業手当を受給したあとそれに頼ることなく、積極的に仕事探しをするのがよいでしょう。

(参考:ハローワークインターネットサービス│特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

失業手当(失業保険)はいつからもらえるのか

失業手当の受給要件と注意点がわかったところで、失業手当はいつから、どのくらいの期間もらえるものなのかを具体的に見ていきましょう。

受給開始のタイミングは、自己都合による退職か会社都合による退職かで違いますので、ここではこの2パターンに分けて解説します。

自己都合退職

上で解説した「特定受給資格者」と「特定理由離職者」のどちらにも該当しない場合は、自己都合による退職と見なされます。この場合は給付制限期間が設けられており、失業手当を受け取り始めるまでに期間が空きます。

給付制限期間は従来3カ月でしたが、法改正を受けて2020101日から2カ月に短縮されました。ただし、懲戒解雇など、本人の責めに帰すべき重大な理由によって退職したケースでは、給付制限期間は従来どおりの3カ月となります。

また、失業手当は退職する度に受給可能ですが、給付制限期間が2カ月と短くなるのは、5年間のうちに2回までです。すなわち、3回目の離職日からさかのぼって5年の間に2回以上、自己都合による離職を行っている場合は、3回目の給付制限期間は3カ月となります。

(参考:ハローワークインターネットサービス│基本手当について

会社都合退職

会社の都合で退職した「特定受給資格者」、そして正当な理由があって退職した「特定理由離職者」の場合、自己都合退職者と違って給付制限期間はありません。ただし、受給開始までには次のような手続きを踏む必要があるため、実際に失業手当を受け取ることができるのは、退職のおよそ1カ月後となります。

 

1.退職

2.元職場から離職票を受け取る

3.ハローワークに離職票を提出し、求職申し込み(受給資格決定)

4.7日間の待機期間

5.雇用保険受給説明会に出席し、雇用保険受給資格者証を受け取る

6.指定日にハローワークに行って失業認定を受ける

 

なお、これらの手続きについては、この記事の最後で詳しく解説します。

(参考:doda│Q. 会社都合で退職する場合、失業手当(失業給付金)の給付の手続きはどうすればいいですか? 手当がもらえるのはいつから?

もらえる期間について

失業手当をもらえる期間(給付日数)は、雇用保険の被保険者であった期間によって変わります。

自己都合退職の場合は、雇用保険の被保険者であった期間に従って、給付日数が以下のように定められています。

会社都合退職、すなわち「特定受給資格者」や「特定理由離職者」に該当する場合、さらに離職時の本人の年齢も加味され、給付日数は次のようになります。 

ただし、失業手当を受給できるのは離職の翌日から1年間とされています。手続きが遅れると給付日数分の手当を満額受給できなくなる場合があるため、雇用保険の被保険者期間が長い人は特に注意が必要です。 

(参考:Smart HR│失業等給付の給付制限期間が3ヶ月→2ヶ月に短縮。雇用保険法改正・制度変更等のポイントは?

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失業手当(失業保険)の金額や計算方法

失業手当として受け取る金額は、離職前の給与の額から算出されます。ここでは、その計算方法や上限を詳しく見ていきましょう。

はじめに、離職までの6カ月の間に支払われた給与の額を合計し、180で割ることで「賃金日額」を計算します。計算に使う給与には役職手当や通勤手当などの各種手当を含みますが、ボーナスは含みません。

この賃金日額を、次の表のとおり年齢別に定められている上限と照らし合わせて、上限を超えている場合は上限額を、これ以降の計算に使います。また、年齢にかかわらず下限は2,577円と設定されているため、算出した賃金日額がこれに満たない場合は、この下限額を使います。

失業手当の日額(基本手当日額)は、賃金日額に給付率を掛けて算出します。給付率は賃金日額が低いほど高く設定されています。年齢によって計算方法に差があるため、ここで全ては紹介しませんが、賃金日額が4,970円未満の場合は80%、12,240円以上の場合は50%(ただし離職時に60歳以上の場合は別で、最低45%となる)とされており、この間で賃金日額に従って段階的に変動します。 

基本手当日額の上限額は次のようになっています。これは、上記の賃金日額の上限に、それぞれに対応する給付率を掛けて計算した場合の数字です。下限は一律で2,061円です。

このようにして求めた基本手当日額に、上で紹介した給付日数を掛ければ、受給できる失業手当の総額がわかります。 

失業手当を実際に申し込む流れ

最後に、失業手当を申し込む時の流れを、順を追って確認しておきましょう。

前職から離職証明書をもらう

失業手当を受け取るための手続きには、「雇用保険被保険者離職票」が必要です。これは、会社からの届け出に従ってハローワークが発行するものです。通常は退職後2週間ほどで、退職した会社から送られてきます。

ハローワークで求職の申請

続いて離職票を持って住所地を管轄するハローワークへ行き、求職の申し込みが必要です。この際にハローワークの職員と面談を行い、失業手当の受給要件を満たしているかが確認されます。要件を満たしている場合は、ここで受給資格が決定します。

待機期間

自己都合退職の場合も会社都合退職の場合も、一律で7日間の待機期間が設けられています。この期間は失業手当を受け取ることができません。待機期間が終わったら「雇用保険受給者説明会」に出席して、「雇用保険受給資格者証」を受け取ります。

失業認定日(4週間ごと)

「雇用保険受給資格者証」を受け取った後は、4週間ごとに設定される指定日に資格者証を持ってハローワークに行き、失業認定を受ける必要があります。これは、転職活動の状況やアルバイトの状況を申告し、受給要件を満たしていることを認定してもらうためのものです。

失業手当は、失業認定を受けた約1週間後に、認定までの4週間のうち待機期間や給付制限期間を除いた日数分が振り込まれます。

(参考:ZUU online│ずばり!失業保険における待機期間とは?受給までの流れや申請時の注意点を解説

まとめ

この記事では、失業手当の受給要件、もらえる時期や期間、金額などを詳しく解説しました。

失業保険を受け取るためには、雇用保険に加入していた期間が一定以上であることや、就職の意思と能力があって求職活動を行うことなど条件があり、必ずもらえるわけではないことに注意が必要です。また、もらえる失業手当の額や期間は、前職での給与額や年齢などによって差がありますので、自分の場合はどうなるか一度計算してみるとよいでしょう。

さらに、退職理由次第で、手当を受け取り始める時期には大きく差が出ます。手続きが遅れると満額を受給できなくなる可能性もあるため、退職後はすみやかに手続きを進めることをおすすめします。

山中康司(金融コンサルティング会社アセンダント取締役) - 山中康司の「勝つためのFX」 - DMM オンラインサロン
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