幸せホルモンという言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。幸せホルモンとは、気持ちが落ち込んだときや疲れたとき、ストレスを抱えたときなどに、心をすっきり軽くしてくれるホルモンのこと。この記事で紹介するノルアドレナリンは、その幸せホルモンの一つだと言われています。
今回はノルアドレナリンとアドレナリンの違いや効果をわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
ノルアドレナリンとは?
ノルアドレナリンはストレスに打ち勝つために働く物質であり、三大神経伝達物質の一つです。また、副腎髄質から分泌されるホルモンの一つでもあります。ノルアドレナリンは闘争と逃走をつかさどる物質とも言われており、分泌されるのは激しい感情やストレスを感じたとき。しかし、ストレスを感じたときだけではなく、楽しさを感じたときに分泌される場合もあります。
ここからは、より詳しくノルアドレナリンを理解するために、混同しやすい物質との違いやその特徴について見ていきましょう。
(参考:e-ヘルスネット|ノルアドレナリン/ノエルエピネフリン)
ノルアドレナリンとアドレナリンの違い
ノルアドレナリンとアドレナリンは、どちらもストレスによって分泌される物質であり、人を興奮状態にさせる点が類似しているとされています。両者のわかりやすい違いは、ノルアドレナリンは心に、アドレナリンは身体に効くということ。ノルアドレナリンが分泌されると、感覚がするどくなったり、注意力が上がったりします。一方で、アドレナリンが分泌されると緊張したり、胸がドキドキしたりするのです。
また、物質的にはさまざまな違いがあり、それはノルアドレナリンとアドレナリンの生成過程や生成場所、作用場所などです。
生成過程・生成場所
ノルアドレナリンが先に生成され、その後にアドレナリンが生成されます。主な生成場所は、ノルアドレナリンが中枢神経系、アドレナリンが副腎髄質です。
作用場所
ノルアドレナリンは自律神経系に作用し、アドレナリンは末梢神経系に作用します。
また、ノルアドレナリンは血圧を上昇させる、アドレナリンは心拍数を上げて血糖値を上げるなど、体内での働き方にも違いがあります。そのため、医療現場で投与する際には、使用方法が異なります。
(参考:言葉のギモンを解決するサイト『スッキリ』|「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」の4つの違いとは?)
三大神経伝達物質について
自律神経に欠かせない三大神経伝達物質は、ノルアドレナリンとドーパミン、セロトニンの3つです。
ノルアドレナリン
ノルアドレナリンはストレスに打ち勝とうとするときに分泌される物質で、緊張や不安、集中力、積極性をもたらします。過剰になると攻撃的になる可能性があります。
ドーパミン
ドーパミンは喜びや快楽、意欲をもたらす物資で、過剰になると過食やアルコール依存になる可能性があります。
セロトニン
セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンが過不足になったときに、暴走しないよう調整する物質です。
ノルアドレナリンはストレスがかかることで分泌され、人が活動しやすい状態を作り出します。そして、その状況を乗り越えたときに達成感や喜びをもたらすのがドーパミンです。しかし、この2つが過不足になると心身に悪影響をもたらす可能性があるため、分泌をコントールするセロトニンが必要になります。この3つには深い関わりがあり、バランス良く存在することが大切なのです。
(参考:大原薬品工業 けんこう名探偵|第1回疲れ、だるさのおなやみに。セロトニンのヒミツを探る!)
日常におけるノルアドレナリン効果
ここからは、日常生活におけるノルアドレナリンの効果を3つ紹介します。
身体能力向上
ノルアドレナリンは危機的状況などでストレスを感じたときに分泌され、ただちに行動できるような状態を生み出します。そのため、身体能力が向上し、よりよいパファーマンスが期待できます。たとえば、突然現れた自動車を避けるために、身体がパッと反応して動くのはノルアドレナリンのおかげと言えるでしょう。
また、緊張したときに食欲がないと感じたことはありませんか。これは闘争や逃走に不要な消化器官の働きを制御するために起こると考えられています。
脳の活性化
ノルアドレナリンの分泌は身体能力を向上させるだけではなく、脳の活性化にも影響します。ノルアドレナリンの分泌によって脳が覚醒し、活発になるためです。また、脳の前のほうにある前頭前野を活性化する効果もあります。前頭前野が活発になると、必要な情報をワークキングメモリ(情報を一時的に記憶する場所)に記憶しやすくなるため、情報処理能力の向上が期待できます。
さらに、脳が危機的状況で学習しようとするため、記憶力が高まるとも言われています。これらは仕事や勉強で大きな成果を上げることにつながるでしょう。
集中力アップ
ノルアドレナリンが分泌されると、人は緊張を感じます。緊張というと悪いイメージを持つかもしれませんが、程よい緊張感には良い面もあります。たとえば、人前で何かを披露するときに適度な緊張を感じることで集中し、いつも以上のパフォーマンスができた経験がある人もいるのではないでしょうか。適度な緊張感があると驚くほどの集中力を発揮したりすることがあるためです。集中力がアップすると、仕事や勉強がはかどるなどのメリットもあります。
(参考:STUDY HACKER|ノルアドレナリンの効果をビジネスパーソン向けにまとめてみた)
ノルアドレナリンが過不足になってしまうと?
ノルアドレナリンが過不足になると、身体にはさまざまな不調が出現します。ここでは、ノルアドレナリンが多すぎるときと少なすぎるときに、どのようなことが起こるのかを見ていきましょう。
ノルアドレナリンが多すぎる
ノルアドレナリンが多すぎるとストレス過多になり、脳の働きが悪くなります。また、不安や恐怖、焦燥が現れ、取り乱す状態になることも。その後、アドレナリンが増えることで、冷や汗が出るなど不安や焦燥が助長される可能性があります。
ノルアドレナリンが少なすぎる
ノルアドレナリンが少なすぎると緊張感がなくなり、脳の働きが低下します。脳の覚醒度が低下して、睡眠障害が生じる場合も。眠りはノンレム睡眠から始まり、すぐに深い眠りに入りますが、ノルアドレナリンが少なすぎると入眠直後にレム睡眠になってしまい、熟睡できなくなります。
ノルアドレナリンが適度に分泌されていると意欲や向上心が芽生えますが、少なすぎるとやる気が低下して無気力になる可能性があります。また、心の病につながるケースもあるため注意が必要です。
集中力を高める方法についてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
(参考:横浜障害年金申請相談室|脳内の神経伝達物質について)
まとめ
ノルアドレナリンとアドレナリンは、どちらもストレスや危険を察知して分泌される物質です。しかし、ノルアドレナリンは主に心に、アドレナリンは身体に作用するという違いがあります。
どちらも適度に分泌されることで、身体能力向上や脳の活性化、集中力向上が期待できます。一方で、ノルアドレナリンが過不足すると心や身体に不調が出てくる恐れがあるため、睡眠障害やイライラする症状が出た場合は注意しましょう。