過去5000年以上の間、口伝のみで伝えられてきた幻の陰陽活殺術 『訃幻流』の正統継承導士・米澤浩さん。古武術を「人を活かす手段」としてアレンジした独自の手技「らせん零」で、のべ15万人以上の人々の健康の悩みを解決してきました。現在は東京を本拠地に、日本全国はもちろん海外から多くの人が集まります。
YouTubeにて情報発信する他、「らせん零」の技を伝える実践道場「静龍道場」を主催。また、自身が運営するオンラインサロン「米澤浩のオンライン整体塾〜自分の身体は自分でなおせ!~」では、セルフケアの方法や自身の考えを伝えています。
特にYouTubeでは、米澤さんの施す通称「激痛整体」によって、長年抱えていた激痛が改善したり、歩けなかった人が歩けるようになったりと驚きの結果が報告されています。
とはいえ、彼のプロフィール・動画を見て、「彼の技は本当に効果があるのか」と疑問に思う人も多いでしょう。そこで今回はDMMスタッフ・北島が、実際に米澤さんの技を体験してきました!
力は込めないけど激痛。古武術から生まれた整体術の基本
――米澤さんは北海道の出身で、2002年に整体療院を開院した後、2015年頃から東京を拠点に活動しているそうですね。
米澤さん
そうです。北海道にいた頃は1日平均15名くらいの患者さんを見ていて、道内全域を回っていました。自動車の年間走行距離が、多い時で22万kmを超えていたと思います。
米澤さん
その頃は、1年で車が廃車になっていました。ステップワゴンの車軸が折れちゃった時もあって、整備士さんに「こんなの見たことがないですよ」と言われたのを覚えています(笑)。
――それはすごい…。現在はYouTubeで積極的に動画を配信していますが、動画投稿を始めたのは東京に来てからですか?
米澤さん
そうですね。具体的には約3年前から動画投稿をはじめました。
「米澤浩」という存在のうさんくささは、ゴッドハンドを名乗る施術者がはびこるこの業界でも、群を抜いていると思います(笑)。実際、僕の施術が「よく分からない」という方は多いです。
動画では、80代の高齢者の患者さんがものすごく痛がる施術を行っているでしょう?
あれが日常の施術風景ですが、僕はほとんど力を込めていません。本当に全力を込めて施術を行っていたら、骨が弱くなっているお客様は大ケガをしてしまいます。
15分の施術後はほぼすべてのお客様が、さっきまでの激痛がウソだったかのように、それまでの痛みや症状が和らいだとおっしゃいます。一生懸命力を込めて施術を行っているわけではないので、後日もみ返しが起こることもありません。
動画だけでは、僕が何をしているのか、患者さんの身に何が起こったのかはほとんど分かりません。それでも、僕のことを知ってもらいたいというのと、教え子に勉強してほしいという想いから、動画投稿を続けています。
――施術や整体と聞くと、一定の力で患部や矯正すべき場所を押す=力を加えるという印象を持っていました。今の話は、非常に興味深いとともに混乱します。
米澤さん
確かに、僕の施術は「力を加えて矯正する」という考え方とはまったく異なります。重要なのは、「その症状は身体のキャパシティをオーバーするから発生している」という観点です。要は、身体の異変が収まりきらないから、痛みとして表れているということです。
ここに対して力を加えても、身体の負担が増してより深くダメージを負ってしまいます。だから、僕は力を加えるのではなく「力を抜く」ことを意識して施術を行っているんです。動画や写真では思いきり患部に手を押し込んでいるように見えて、実は「引っ張る」という力を加えているんですよ。
――押すのではなく引く。
米澤さん
僕が開いている静龍道場では、私の技術の源流である陰陽活殺術 『訃幻流』に基づく力学を実践でお伝えしています。門下生には武道の指導員さんもいますが、「これまで習った技が通用しない」と、頭を抱えてしまうことが多いです。
例えば、柔道の投げ技の多くは、相手よりも低い位置にもぐりこむ動作が多いですよね。重心を低くして力を使うことで、相手を投げます。
ですが、『訃幻流』の基本は自然体です。すっと立ったまま、力を抜いています。この状態で、柔道の投げ技を受けても倒れないし、相手の姿勢を崩すのも容易です。これと同じことを、整体でも行っています。施術を介して、患者さんに「力の抜き方」を教えているんです。
嘘だー!と思った筆者(柔道歴10年)は、さっそく米澤さんに技をかけてみたのですが、まったく動かない。逆に、米澤さんがこちらの姿勢を崩そうとすると、まったく耐えることができずに倒されてしまいました。
――不思議な感覚ですね。精一杯倒れないように抵抗しているのに、米澤さんの力にまったく抵抗できずに倒されてしまいました。
米澤さん
オンラインサロンでは、ここまでお話しした技術の根底にある、思考法や基本的な知識をお伝えしています。
――なぜオンラインサロンを始めようと思ったのでしょうか?
米澤さん
村中さんという、オンラインサロンの運営メンバーさんで、フィットネス関係で働いている方に誘われました。彼に技術を披露したら「米澤さんの技術は素晴らしいが、技術や知識が難解すぎます。もっと米澤さんの考えを伝えられる場所を作りましょう」と言われたんです。
僕も、YouTubeだけでなくさまざまな接点で、多くの人に伝えられればと思いました。
――現在は、ZOOMなどのライブ配信で米澤さんの行動原理・思考法などを伝えているそうですね。
米澤さん
村中さんに、僕に対して疑問に思っていることをピックアップしてもらい、そこから配信テーマを決めています。「力を抜くとはどういう状態か」「静龍道場ではどんなことを学べるのか」という感じで。
僕は栄養に関する相談も受けているので、「低糖質食の有用性」や「腸と食事の関係」といったテーマも紹介しています。
患者が「なぜ痛みを抱えているのか」という根本原因を考える
――米澤さんは施術において、大切にしている考え方はありますか?
米澤さん
現在の痛みや症状が起きた原因に、しっかりフォーカスすることです。当たり前な話に聞こえますが、これができている人は意外と少なくて、対症療法に陥りがちです。
例えば、ある患者さんは右の股関節に痛みを覚えていました。その原因は、股関節を形成する臼蓋(骨盤の外側にある寛骨の中央部にあるくぼみ。ここと太ももの骨の上端部で股関節を形成する)の形成不全でした。
形成外科的なアプローチとしては、手術をして人工関節にしましょうという話になります。ですが、そもそも「なぜ右の股関節だけ痛いのか」という原因が判明されていません。
このまま人工関節にしても、今度は骨盤が削れてしまうリスクがあります。人工関節の耐久性は約10年と言われているので、10年後にまた手術が必要です。
――原因にフォーカスしないと、股関節のトラブルはそのままずっと続くわけですね。
米澤さん
僕が受け持ったお客様で、先天性股関節変形症に悩んでいる方がいました。彼女は30歳を迎えたタイミングで「手術をしないと歩けなくなるかも」と言われていたんです。彼女はヨガが大好きですが、ある時を境にしゃがむのも辛いくらいの激痛が起こるようになりました。
そんな彼女を私がケアをしたら、翌日にはしゃがめるようになり、3日後には走れるようになったんです。彼女は泣きながら、僕に電話でその喜びを報告してくれました。この施術で、骨の形成不全は治せていません。形成不全を抱えていても、原因が分かれば痛みを和らげることはできるんです。
ある80代のお客様は、肩が上がらない・首が回らないという悩みを抱えていて、手術するしかないと言われていました。別のお客様は、五十肩で腕にしびれを感じていました。どちらのケースも、血流障害が原因だと考え施術をしたところ、症状が大きく改善されました。
お客様にはセルフケアの方法も教えるので、施術後もケアを怠らなければ、痛みのない状態をできるかぎり長く維持できます。
――痛みの根本的な原因について考える時、米澤さんはどのような点に注目していますか?
米澤さん
お客様の現時点におけるバランスが、どうなっているかに着目します。例えば、DMMスタッフさんは猫背気味な姿勢ですが、右の股関節にも違和感があるのではないでしょうか?
DMM北島
え、そうです。痛みはないですが、とにかく股関節周りが硬いんです。
米澤さん
おそらくライターさんは左側の首が硬くて、女性のスタッフさんは膝・足首・腰あたりが痛いと思います。
DMM佐山
はい。慢性的に腰痛があります。
――私もズバリです。どうしてわかったんですか?
米澤さん
立ち方や座り方で気づきました。
僕たちは常に、「重力」という万人に平等の負荷を受けています。この重力を受け止めるのにもっとも楽な姿勢を、僕たちは自然と選択しているんです。北島さんが猫背なのは、猫背の姿勢が現状一番楽だからなんです。まずは、この点を理解することが重要です。
とはいえ、猫背の状態では、背骨が通常よりも丸くなります。頭や上半身が前方に傾く分、重心が安定しません。猫背のまま重力を受け止めるために、身体のさまざまな部分に余計な力を入れ続けることになります。
力を入れ続けた状態が継続されると、あるタイミングで身体への負荷が過剰になり、痛みが生まれます。そこに「普段の食生活の乱れ」が加わると、状態はさらに悪化してしまうんです。
激痛整体を体験。激痛だけど一瞬で身体が楽になりました
――北島さんの状態を改善するために、施術でどのようなアプローチを行うのでしょうか?
DMM北島
子供の頃からずっと猫背なので、この機会に改善できれば嬉しいです…!
米澤さん
先ほどお話しした通り、猫背では重心が不安定なので、ちょっと後ろに力を加えるだけでバランスを崩してしまいます。この状態で身体はバランスを取ろうと頑張っているので、肩周りがかなり硬くなっています。
米澤さん
ちなみに北島さん、今腰痛はありますか?
DMM北島
腰痛はないです。
米澤さん
そうですか。ちょっと腰を押してみますよ。
DMM北島
いでででで!痛いです!
米澤さん
普段は自覚がないですが、少し触れただけでこんなに痛みが生じるということは、それだけ腰に負担がかかっていると分かります。肩周りもやわらかいように見えますが、実際に触ると痛みがあると思います。
DMM北島
いだだだだだ!
米澤さん
肩周りが非常に硬くなっているので、そこが治ってくれば猫背はだいぶ改善されると思います。今度は仰向けになりましょう。
米澤さん
脚が若干外側に開いています。あと北島さんは痩せていますが、下腹部周辺に盛り上がりがあります。あお向けになれば筋肉はリラックスするのに、緊張したままです。
股関節周りが硬いと、股関節が後傾して脚は外を向き、背骨も丸くなる。つまり、より猫背の状態になりやすいということです。ここから施術して、身体がどう変わるのか見ていきましょう。
…ということで、今回は北島の施術の様子を動画がYouTubeにてアップされました!激痛に悶え苦しみ、本気の絶叫を繰り返す北島の様子をぜひご覧ください。
北島の感想:
腰回りがすごくラクになりました。背筋がすっと伸びていると感じます。視点も高くなった気がします!
本当は北島ひとりが施術を受ける予定だったのですが、著者とDMM・佐山も、米澤さんの施術を受けることになりました。
著者の感想:
施術を終えて立ち上がった瞬間、腰にまったく負担がないのを感じました。首周りもスッキリしていて爽快です。あんなに施術中は激痛が走っていたのに、翌日にもみ返しがこないことにも驚きました。
DMM佐山の感想:
施術していただいた後の数日間、お腹の調子がとてもよかったです!あと、顔が左右で若干歪んでいたのが気になっていたのですが、それも改善されていてびっくりしました!
知識を得て興味を持ったら、次はこの不思議を体験してほしい
――3人を施術していただき、ありがとうございました。今はすごく身体が楽です。
米澤さん
それはよかった。ヘルスケアの世界では、健康にまつわる多くの情報が飛び交っています。今後もオンラインサロンでは、健康についてより正確な情報を届けていきたいですね。
今後は整形外科や脳科学のお医者さんともコラボして、より科学的に僕の考えを伝えていければと考え中です。飽食の国でもある日本で、健康的な食生活を送るための栄養学についても、もっと伝えていきたいです。
とはいえ、僕の整体や力学を理解するには、一度施術を受けてみたり静龍道場に足を運んで頂くのが一番だと思っています。実際、オンラインサロンに入会後、道場に参加する方が少しずつ増えています。オンラインだけでなく、オフラインで僕と会員さん、あるいは会員さん同士が交流できるイベントも開催したいですね。
――オンラインサロンで情報を知り、道場や治療院でその技術を体感していく。そういう流れがさらに増えれば、米澤さんの考えが広がりやすくなりますね。
「1億総半病人時代」なんて言葉もあるくらい、日本人はなんらかの痛みや悩みを抱えています。そこに対して、どんなことをすればいいのかを考えられるよう、僕からさまざまな提案ができれば嬉しいです。