TBSの人気番組「クレイジージャーニー」やYouTube「裏社会ジャーニー」など、世界各地の危険地帯や裏社会の取材を続ける人気ジャーナリスト丸山ゴンザレス(45)が、「丸山ゴンザレス倶楽部」を再始動した。
もともと数年前にもDMMオンラインサロンを運営していたが、今年1月に「丸山ゴンザレス倶楽部」を再開。CANARYでの取材も過去2回実施しているが、再開に伴い改めてインタビューを実施。
新生「丸山ゴンザレス倶楽部」では、YouTubeで流せない動画「裏ビデオ」や限定イベント、参加型の企画会議、草下シンヤの裏社会◯◯情報などを展開するという同氏に、さまざまな話を聞いた。
▼過去記事
オンラインサロン再開の理由…「一番は、みなさんの顔が見てみたかった(笑)」
「丸山ゴンザレス倶楽部」を再開されるにあたって、従前との違いなどは意識されたのでしょうか?
YouTubeの流れが少し変わったこともあり、よりコアなファン層と触れ合いたいなとは思いました。それは他に出したくないという意味ではなくて、よりファンの方々に届けられるコンテンツを僕らも持てるようになったからなんです。そういう方たちとの共犯意識ではないけれど(笑)、そこに向けて何か出していこうと思った時に、前にオンラインサロンをやっていたなと思い出したことが再開したきっかけです。
よりコアなネタも多く出していく予定でしょうか?
そうですね。物議を醸しそう、ヤバそうなネタですね。オンラインサロンは、YouTubeとDMMの組み合わせみたいなところもあり、Naokiman Showさんあたりもやられているので、これはいいのではと思って再開した感じです。よりコアなファンに、よりコアな情報を届けて行こう、それがオンラインサロンに適しているのかなと思いました。
改めて「丸山ゴンザレス倶楽部」の概要を聞いてもよいでしょうか?
「丸山ゴンザレス倶楽部」は、YouTube「丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー」をベースに作っています。内部の主要メンバーは僕と草下シンヤ。先ほども言いましたが、チャンネルではYouTubeでは出せないような動画を出すことがひとつ。それからもうひとつは生配信、生配信イベントとか、僕がみなさんと直接交流するための場ですね。
その2本柱でスタートしていくわけですね。
この2軸は、似ているようで似ていないところもありますが、動画に関してはわかりやすいですよね。様子を見ながら、週に一本ずつ出しているところです。生配信などの直接交流は、僕のスタンスを維持するためにやっているところもあります。僕のコアなファンのみなさんが何を求めているのか、交流しながら常に聞いている場がほしかった。
リサーチ的な意味合いも?
みなさんのニーズを自分の中に落とし込んでいって、自分のこの先の取材活動に活かす、というマーケティング的な要素もあったりはします。でも一番は、みなさんの顔が見てみたかった(笑)。コアに僕を応援してくれている人たちって、どんな人たちなのだろうと思って。そんなことをするためのサロンであり、すべては自分のためです(笑)。
今一番興味がある取材対象は…今後は出せる範囲で今いる海外のエリア情報も出したい
今現在、取材対象として一番興味あるものは何でしょうか?
権力者ですね。興味は常日頃変わるのですが、最近の上位に入って来ているものが権力です。この間スリランカに行っていた時に考えたのですが、あのような小さい国に行って、いわゆる権力を持っている人たち、その近くにいる人たちと触れ合うことが多いんです。元々はいろいろな国の大統領にアプローチしていたのですが、あまりうまくいかなくて、これもひとつの<権力>だなと思ったんです。
と言いますと?
つまり、権力者に辿り着くのもとても大変なことなんです。そんななか、スリランカの権力者に近い方たちに会い、ますます権力って面白いなと思ったんです。目に見えないし、腕力でもない。経済力でもない。単なるコネでもない。では権力って何だろうと。モヤッとした定義はありますよ。そうじゃなくて、取材を通してもっとわかりやすく権力というものを読み解けたら面白いなと思っている途中ですね、今は。
確かにおっしゃるように概念ですよね。
そうですね。僕が今回のようなテーマをオンラインサロンやYouTubeを通して話をすると思いますが、10代の子たちとの違いって、そういうところに取材ができるかどうかだと思うんですよ。
なるほど、取材力ですね。
今僕が「権力者面白いよね」と言って、じゃあ若い子が自分も!と取材を始めた時に、たとえばそれがバイト先の店長だったら「あれ?」と思うじゃないすか。でも彼らが辿り着ける権力者って、それくらいのものだったりするわけですよ。なので、今の僕の立場で辿り着ける権力者の話を聞くということは、僕は若い子たちの市場も荒らさないし、その子たちの邪魔もしない。僕が出来ることをやりたいので、そういう大きな所、無理目な所へ行きたいなとは思っています。また、昔は取材しても記事が売れなければ詰んだのですが、今は昇華することができるじゃないですか。
それを自身のサロンで展開することで、プラスにはなると。
そういう意味では、まだ本格的に初めてはいなくて、模索している段階ではあるんですけどね。ただ、初速が大事なので立ち上げの時に動画は撮りましたけど、あとはやりながら本格流入を目指した動画を撮ろうと思っていて、まだ本当に形っていうのは出来ていないですかね。出来たら本格的に呼びかけようと思っています。今いる方たちは、どんどん意見を言ってくれるので、それを参考に作り上げている段階ですね。
今入会すると、どういう体験ができますか?
生配信に力を入れ始めているところなので、体験というよりは直接僕と交流ができる感じです。みなさんが何かを出来るというよりは、僕が出来ると感じている状態なので、そういう僕を観てもらっているという感じですね(笑)。
それこそ最初に言った、ほかでは観られないようなネタですよね。表には出せない昔のカンボジアの売春宿の話、僕がこの間パリにいる時にひとりで街歩きしていた時の生配信の動画版みたいなもの。この先も海外に行って撮ることもあるとは思いますが、あとは犯罪の現場事後レポート。ほかでは観られないものが多いと思います。あとは僕以外に草下シンヤとも交流が出来ます。草下ファンはよりコアにいるので(笑)。
世の中の見方が変わりそうですね。
そうですね。あとは夜配信しているので、僕の後ろにある作業場の本棚が見えます。意外と本読むんだっていう(笑)。それと出せる範囲で今いる海外のエリア情報も出したいなと思っています。
実は裏社会ジャーナリストと名乗ったことは一度もありません(笑)
改めまして裏社会ジャーナリストと名乗ったのはいつ頃でしょうか?
僕自身は裏社会ジャーナリストと名乗ったことは一度もないんですよ(笑)。危険地帯ジャーナリストもテレビで呼ばれているだけで、僕が名乗ったわけではないんです。もともと、というか今でも裏社会を専門にしているわけではなくて、物書きとしてジャーナリストを名乗り始めたのは3.11の震災の時。それ以前はノンフィクションライター。同じようなことしかやっていないのですが。
記事を執筆するようになったきっかけは何だったのでしょうか?
元々は考古学を専攻していて、その後、時代が平成不況であまり職がなく、文系大学院出はとくに仕事がなかったですね。就職する気もなかったですけど。なので歌舞伎町あたりをウロウロして、日雇いやバイトで喰いつないでいるところ、それを見た出版系の方たちが「書いてみたら?」と勧めてくれた流れですね。それが今に至っている感じです。徐々に書くテーマが大きくなっていったり、媒体が大きくなっていったり、人のつながりで始まったものですね。劇的な変化はないんです。強いて言うなら、辞めなかったことかな。当時いた人は、みんな辞めちゃいましたね。
裏社会や危険地帯という肩書は、テレビの影響が大きいのですね。
あくまでいろいろやっている中での裏社会なんですよね。要は犯罪に関する取材の時のことなのですが、実はそれだけを追っていても広がりがないんですよ。街や制度、スキーム、そこに暮らす人々など、そういうものを取材して始めて成立する。海外でもスラムに限らず、合法じゃないけれど、ちょっとヤバイところにも行きます。つまり、犯罪でもなければ、裏社会でもない、でも面白い、そういう場所があるんです。
確かに国によって合法・違法の事柄も違いますよね。
たとえばアメリカのマリファナ最新事情の場合、向こうでは全部合法なので取材しているんです。僕は大上段から語りたくはないんですよね。先ほども言いましたが、大学出て新宿をウロウロしていたこともあり、ストリートベースのカルチャーを取材するのが好きなんです。だから、自分の中では今も昔もやっていることは変わっていないんです。
そういうカルチャーになぜ惹かれるのでしょうか?
だって面白いじゃないですか。みんなそうだと思いますよ。夕方夜のニュース、5分くらいしかない枠の最初のニュース、殺人事件が多くないですか。それって、みんなが興味あるからだと思うんですよ。でなければ為替とか流すと思うんです。みんなが興味あるから、メディアは扱うんです。あとは喰えない時代、事件モノを扱うと記事が売れたんですよ。何だかんだ言ってみんなが興味あるだろうといった根拠は、その実体験にもありますね。いい悪い、礼賛ではなく、興味はみんな持っているだろうと。それをチョイスしたら、今も続いているというだけです。
銃撃されても平気な感覚、恐怖を感じる瞬間は「日常」
これまで取材中の一番危なかったエピソードを教えてください。
よく言われますけど、実はあんまりないんですよ。それが起きたら終わりじゃないですか(笑)。僕は専門家として現地に行っているのに、僕がやばいなと思う時は本当に終わる時です。許容範囲内で動いているので。たとえばテレビのロケでも同行しているディレクターには家族がいるわけで、危ない目には遭わせないようにしています。飛行機乗り遅れるかも!くらいですね、実際のところは。
ただ、予測がつかないことはあります。ヒキが強いほうなので、二択あれば絶対面白いほうを引いています。あと価値基準がバグっているので、トラブル的なことが起きても面白いと思ってしまい、そもそも危険だと思っていない所はあります。僕の許容範囲では、特に危険とは思っていないというか。ただ、リアクションがズレていると言われたことはあります。ビビってないで笑っていると(笑)。
恐怖のあまり笑ってしまう? ということではなく?
引きつって笑っているのではなく、マジで面白がって笑っているんですよね。銃撃された時に「撃たれた! 撃たれた!」って笑っていたことがあって。でもそれは防弾車で15発まで耐えられる丈夫な設計だから、冷静に判断しているわけですよね。いわゆるリアクション芸人ではないので、冷静な判断で危なくないと思っているわけです。
たとえば死体とか怖くはないですか?
怖いですか? 動かないですよ。怖くないですよ、フィギアと同じ感覚です。実は人間がリアルに感じるのは、作り物のほうなんですよ。本物が転がっていても、あまり怖く感じない。あと銃の音も意外に軽かったりするし、怖くて偉そうな人がただじっとこっちを見ているほうが怖いです。人間は、その人によってリアリティーに感じる設定やシチュエーションがあるから、人によるんですよね。僕にとってのリアルではないんです。
たとえば今ここで銃撃が起きたら「逃げなくちゃ」という判断になるので、あまり怖いという感情が生まれないかもしれないです。その場その場で対処することを考えるので、恐怖心は生まれないと思う。支払い用の現金がないことのほうがよっぽど怖いですね。締切を忘れていたとか、日常の些細なことのほうが怖いです。乗り換え時間が間に合わないとか。ただまあ、俺ってズレているのかなあと今思いましたけど(笑)。
今後はアイテム製作も視野に。いずれはフェスも!?
今後「丸山ゴンザレス倶楽部」でやってみたいことは?
アイテムを作りたいと思っているんです。そのための参考意見をみんなに募っているところはあります。参加してくれる人たちと話し合って作りたい、そういう場としても設定しています。今まで出版の世界に長くいましたが、本ではなく、モノを作ってみたいなと。Tシャツなどのアパレルやグッズ、それはもう僕の会社、丸山製作所で始めています。
でもそこで僕だけの意見でやっても面白くなくて、僕が作りたいと言った時に「いいよね」だけでなく「それは…」とか、いろいろな意見を言ってほしいんです。それだけじゃなく、「こういうのどう?」とも言ってほしいじゃないですか。そういう場としての発展性も見込んでのオンラインサロンですね。
具体的には、何か計画されていますか?
グッズにこだわっているのではなく、何かの気付き、自分の身内以外のところから何か意見を求めたり、そういうアイデアがほしいなと思った時、そういう場としていいなと思っています。たとえばデザイナーや、何かを作っている人たちから直接の意見をもらえるので、3本目の柱にしようとしていたのですが、これが意外とよかったりしています。
お話をうかがっていると、コミュニティー的な色合いも濃いわけですね。
大きな意味で<仲間>と言えるグループを作りたいんですよ。ほかのオンラインサロンでもやっているのかもしれませんが、僕たちの人的資源は限られているので大それたことはできないのですが、大きな仕掛けをしたい。そういう時に一緒にやってくれる人がいるといいなと思って。
大きな仕掛けとは何でしょうか?
フェスをやりたいんですよね(笑)。
フェス? 音楽の?
そこもひねりたいわけですよね。古き良き海の家みたいな感じのもので、パッと見、反社っぽい人たちがぼったくりの「体」でやるみたいな。そこに裏社会っぽい人たちを集めて、フェスをやりたいんです。それを今の僕の会社の規模でやると無理なので、みんなで楽しめたらいいなと思って「丸山ゴンザレス倶楽部」を運営しておこうと思っています。
そのほか入会の特典などはありますでしょうか?
僕は苦手なのでやらないかもですが、草下主導でオフ会はあるかも知れませんね。講演会やトークショーはできるのですが、苦手なオフ会を、これを機に修行しようかなと思っております(笑)。