肩幅が広いために着たい服が似合わないと感じたり、肩幅が狭すぎて顔が大きく見えたり体格が華奢に見えたりして悩む人もいるでしょう。
この記事ではそんな悩みを抱える人のために、肩幅の平均や服の選び方などを詳しく紹介します。肩幅を理想に近づけるための方法も解説するので、参考にしてみてください。
肩幅とは
肩幅とは、一般的に両肩の間の距離を指す言葉です。しかし、服の種類や測定方法によって正確な定義は異なるため、まずは肩幅について理解しておきましょう。
肩幅はどこからどこまで?
襟のない洋服の場合は、右肩の先から左肩の先までの直線距離が「肩幅」とされています。一方で、襟がある場合は定義が異なり、首を前に出したときに飛び出る骨(頸椎点)の中心を通るよう軽くカーブを描き、両肩の縫い目までの幅を肩幅と定めているのです。
また、着物などの和裁の場合は、首の中心(背縫い)から袖の付け根(袖付)までの幅を肩幅と定めており、服の種類によって肩幅の定義も異なっていることがわかります。
服のサイズは身体の大きさよりも少し余裕を持たせた作りになっているため、「製品寸法」や「仕上がり寸法」と呼ばれることもあります。身体そのものの肩幅を知りたいときは、服のタグなどに書かれている「ヌード寸法」を参考にするといいでしょう。ヌード寸法では、襟のある洋服と同じように両肩と頸椎点をつないだ距離が肩幅と定められています。
ヌード寸法における肩幅は、さらに肩峰間隔とバイデルトイド(肩幅間隔)の2つに分けることができます。肩峰間隔とは骨格をもとにした肩幅で、両肩の骨を起点に直線距離を測ったもの。一方、バイデルトイドでは、両腕の三角筋も測定対象範囲になるため、上腕の最も出っ張った部分を直線に結んで肩幅と定めています。そのため、肩峰間隔よりもバイデルトイドの方が大きくなります。
(参考:ベルメゾンネット 商品ガイド│レディースサイズの測り方)
肩幅の測り方
肩幅の測定方法は、大きく分けて2種類あります。
一つ目は、着ている服のサイズを測る方法です。まず、自分の体形にできるだけぴったりな服を用意して床に広げ、右肩か左肩の縫い目にメジャーの0を合わせます。次に、反対側の縫い目までメジャーを直線に伸ばして測った値が肩幅です。誰でも簡単にできる方法ですが、肩パッドが入っているスーツなどを測る場合は、縫い目の位置を間違えないよう注意しましょう。
二つ目は、身体に直接メジャーを当てて肩幅を測る方法です。まず、右肩か左肩の先に0のメモリを合わせ、頸椎点に向かってメジャーを伸ばします。次に、頸椎点の位置で目盛りを押さえ、反対側の肩先へとメジャーを伸ばしましょう。これで肩幅のヌード寸法を測ることができます。
ひとりで測る場合でも、片方の肩先から頸椎点までの距離を測り、2倍すれば肩幅がわかります。また、服を着て測る場合は布が邪魔になって正確に測れないこともあるため、タンクトップなど薄手の下着を身に着けましょう。
肩幅の平均値
自分の肩幅を知ったところで、その幅が広いのか狭いのか気になる人もいるかもしれません。そこで、経済産業省が実施した「人間特性基盤整備事業(size-JPN)」の報告書(平成19年3月版)をもとに、男女別肩幅の平均値を見ていきましょう。
女性の平均
同調査では、平成16年から平成18年の3年間で、20代以上の女性3,144人を対象に肩峰間隔とバイデルトイド(肩幅間隔)の2種類を測定しています。
その結果、女性の肩峰間隔平均は約356mm、バイデルトイドの平均は約405mmという結果に。肩峰間隔は年齢によってそれほど大きな違いは見られなかったものの、バイデルトイドは40~44歳をピークにおおむね減少する傾向にあり、とくに70代以降は減少幅が大きくなるようです。
男性の平均
同調査では、平成16年から平成18年の3年間で、20代以上の男性3,488人を対象に肩幅の測定を行いました。
その結果、男性の肩峰間隔平均は397mm、バイデルトイドの平均は約451mmという結果に。男性の場合、50代以降になると肩峰間隔が減少する傾向にあるようです。また、バイデルトイドは35歳~44歳をピークに小さくなり、とくに55~59歳から60~64歳の間には13mmの減少がみられました。バイデルトイドは三角筋も測定対象に含んでいるため、筋力の減少が肩幅に影響を与えたと考えられます。
(※参考:経済産業省「人間特性基盤整備事業(size-JPN)」報告書(平成19年3月版))
身長別・肩幅の平均値
肩幅と身長はある程度関係すると考えられており、身長から想定される肩幅の平均値は「肩幅=身長×23%前後」で計算される場合があります。年齢別の肩幅平均と比べると小さな値になることがほとんどですが、身体全体のバランスは考慮されているといえるでしょう。「身長×23%」で男女の身長別肩幅平均値を算出した結果は以下の通りです。
女性
・140cmの場合、肩幅平均は約322mmです。
・150cmの場合、肩幅平均は約345mmです。
・160cmの場合、肩幅平均は約368mmです。
・170cmの場合、肩幅平均は約391mmです。
男性
・160cmの場合、肩幅平均は約368mmです。
・170cmの場合、肩幅平均は約391mmです。
・180cmの場合、肩幅平均は約414mmです。
・190cmの場合、肩幅平均は約437mmです。
ただし、肩幅は骨格の影響も受けるため、同じ身長でも個人差が生じる場合があります。メーカーによっても肩幅の表記基準が異なるため、服を選ぶときは試着をしてみるのがおすすめです。
肩幅が広いと言われるのは何センチから?
前述した値を総合すると、20代以上の日本人男女平均肩幅は肩峰間隔で約376.5mm、バイデルトイドの場合は約428mm。電車のロングシートではこの日本人の肩幅平均を考慮して1人あたりの座席幅を43cm~46cmに設定しているため、座席幅よりも大柄な人は肩幅が広いと思われる可能性があるでしょう。
しかし、肩幅のとらえかたには個人差があるため、一概に「何センチ以上は肩幅が広い」と基準を定めることは難しいとも言えます。例えば、年齢別平均と比べて肩幅が広い場合でも、身体全体のバランスが整っていればそれほど気にならないこともありますし、逆に身長が低い場合は平均と同じ肩幅でも、肩が目立って見えてしまうこともあるでしょう。そのため、一つの目安として、身長別平均と照らし合わせて値が大きい人は肩幅が広いと捉えるのが良いかもしれません。
肩幅にあった服を選ぼう
服選びの際に、「自分で着てみたらイメージと違った」という経験はないでしょうか。その原因の一つに、「自分の肩幅に合った服を選べていない」というものがあります。肩幅に合わせた服の選び方について、種類別に見ていきましょう。
肩幅が広い人に合う服
肩幅が広い人には、デコルテを露出させた服が似合うといわれています。横にゆるやかな広がりを見せるボートネックや、スッキリとした印象を与えてくれる浅めのVネックなどがおすすめです。
反対に、肩にボリュームが出るフリルワンピースなどは肩幅の広い人には向かないといわれています。しかし、着物のように服の前面が重なっているカシュクールタイプであれば、視線が首元に向かうため、肩が強調されにくいでしょう。
肩幅が狭い人に合う服
肩幅が狭い人には、小さめの襟や肩にボリュームのある服が似合うといわれています。
ただし、デコルテを出しすぎると貧相な印象を与えてしまう可能性があるため、ポロシャツのような襟の小さい服や、クルーネックのように首元を隠す服がおすすめです。
また、肩にフリルやリボンのついている服はボリューム感をプラスすると、全体のシルエットを整えてくれます。
肩幅を狭く見せる服
肩幅を狭く見せたい場合は、大きめの襟や落ち感のある服がおすすめ。これは、襟の専有面積が大きくなると、肩幅の広さが目立ちにくくなるためです。また、ドロップショルダーのように本来の肩幅より下に縫い目のある服は、やわらかい印象を与えてくれるでしょう。
さらに、オーバーサイズの服を羽織ることによって肩幅を隠すテクニックも効果的と言えます。
(参考:通販 ベルーナ│体型に合った服を選んで、シルエット美人を目指そう!コーディネートの攻略法を教えます!)
肩幅を広くする方法を紹介
肩幅のうち肩峰間隔は骨格に依存するため、変化させるのはなかなか難しいもの。しかし、三角筋を含むバイデルトイド(肩幅間隔)であれば、筋トレによって広くすることができます。前部・中部・後部の3つに分けられる三角筋ですが、肩幅を広くするためにはこの3つをバランスよく鍛えることが大切です。
前部の三角筋を鍛えたい場合は、肩の力を使ってダンベルを上下に動かすショルダープレスや、ひじを曲げずに下からダンベルをすくい上げるフロントレイズを試してみましょう。
中部の三角筋は、ダンベルやバーベルを足元から胸元まで持ち上げるアップライトロウや、腕が水平になるようダンベルを横に持ち上げるサイドレイズなどで鍛えることができます。
後部の三角筋を鍛えるときは、背すじを伸ばした状態で上半身を前傾させダンベルを持ち上げるベントオーバーラテラルレイズなどがおすすめです。
筋トレをするときは背すじが曲がらないようフォームに注意し、ケガのないようにしましょう。
肩幅を狭くする方法を紹介
肩幅を狭くするためには、生活習慣や姿勢を見直すことが大切。前かがみの姿勢が続くと腕が前に出て肩甲骨が広がってしまうため、肩幅が広くなってしまうおそれがあるのです。デスクワークが多い人は、知らず知らずのうちに前かがみの姿勢になってしまうこともあるため、特に注意しましょう。
また、筋肉をほぐしたり、血行をよくしたりすることでむくみを解消することができるため、肩甲骨をほぐすストレッチやリンパマッサージを行うことによって、肩幅が狭くなる場合もあります。
肩甲骨をほぐすときは、両手の指先を肩に乗せ、前まわしに10回、後ろ回しに10回動かしてみましょう。肩甲骨を意識して、肩の付け根から回すことがポイントです。
リンパマッサージは自宅でも行うことができます。耳の下から鎖骨、肩の先までリンパの通っている場所を指で軽く押していきましょう。入浴後など血行のいいタイミングで行うと、より高い効果が期待できるといわれています。
肩幅の平均値はあるものの、どのように受け取るかは人それぞれ。身体全体のバランスを見て今の肩幅が気になる方は、服装などでカバーするのもおすすめです。さらに、筋トレや猫背の解消、マッサージなど、理想の肩幅に近づける方法もたくさんあります。記事で紹介した内容を参考に、工夫してみましょう。