シックスパックやくびれたウエスト…理想の身体づくりには避けて通れない腹筋の筋トレですが、そもそも腹筋はひとつの筋肉ではありません。正確には「腹筋群」と呼ばれ、お腹周りにあるさまざまな筋肉の総称なのです。
今回は腹筋群の種類や役割、そしてそれぞれの筋肉に適したトレーニング方法を紹介します!
腹筋群の名称と解説
腹筋群は大きく「腹直筋」「腹横筋」「腹斜筋」の3種類に分けられますが、腹斜筋はさらに2種類に分けることができるため、トータルでは4種類の筋肉が存在します。まずはそれぞれの腹筋の特徴を理解しておきましょう。
腹直筋
お腹の正面にある腹筋で、肋骨の下あたりから股下まで、非常に細長い形で伸びているのが特徴です。体幹を屈曲させる動作で作用するほか、背中の筋肉と拮抗して姿勢を保持する役割を果たしています。
腹直筋は左右2つの筋肉で構成されており、真ん中を走る「白線」と呼ばれる腱が腹直筋を左右に分けています。横の線は「腱画」と呼ばれる短い腱で、腹直筋の上を通るように走っていますが、筋肉を分断しているわけではありません。また、腹直筋は決して厚みのある筋肉ではないため、シックスパックを作る場合は「体脂肪を減らして腱画が目立つようにする」「腹直筋を肥大化させる」という、二つのアプローチが必要となります。
腹横筋
腹横筋は、腹部全体をコルセットのように覆っているインナーマッスルです。非常に薄く、腹筋群ではもっとも深い場所にるため、強い力を発揮することはできません。しかし、腹横筋には「体感内部の圧(腹圧)を高めて、姿勢を安定させる」という非常に重要な役割があります。
また、腹横筋は呼吸で使われる筋肉でもあります。そのため、腹横筋を鍛えることで呼吸がしやすくなり、リラックスや集中力を高める効果も期待できるでしょう。
腹斜筋
腹斜筋は、いわゆる脇腹にある筋肉で、その名前のとおり斜め方向に走っているのが特徴です。筋肉の位置や方向によって外腹斜筋と内腹斜筋に分けられ、体感をひねる動作では、この二つの筋肉が協力して作用しています。
・腹斜筋
外腹斜筋は、比較的表層部に位置する筋肉で、肋骨から足の付根あたりに向かって「斜め下」に走っているのが特徴です。
・内腹斜筋
内腹斜筋は、骨盤から肋骨の外側に向かって走っている筋肉で、外腹斜筋よりも深層部に位置しています。内腹斜筋は外腹斜筋とは逆に、足の付根にあたりからお腹の中心部に向かって、「斜め上」に走っているのが特徴です。
腹筋の種類ごとに鍛え方を変えよう
一般的に、筋肉は「収縮させる動作」と「伸びる動作(正確には、伸びようとする動作に耐える力)」の組み合わせによって鍛えられます。そのため、大きさも方向も様々な筋肉から構成される腹筋を鍛える際は、それぞれの筋肉の走る方向を意識しながら鍛えましょう。ここでは、腹筋を鍛えるときに抑えておきたいポイントを解説していきます。
・腹直筋
腹直筋は、お腹をつぶすように身体を丸める動作(体幹の屈曲)によって鍛えられます。腹直筋は縦に細長い形をしているため、「上部」「下部」の2つに分けて鍛えることも多いようです。腹直筋を鍛えることで、横からみたときのポッコリお腹解消や、割れた腹筋をつくることができます。
・腹横筋
インナーマッスルである腹横筋には、大きな動きよりもお腹にしっかり力を入れて耐える動作や、深呼吸をうまく活用したトレーニングが有効です。腹横筋はウエストのシェイプアップに欠かせないだけでなく、腰痛の改善・予防にも効果があると考えられています。
・腹斜筋
腹斜筋は、身体を真横に倒す・左右にひねるといった動作で鍛えることができます。いわゆる脇腹の「浮き輪」の解消には、腹斜筋を鍛えるのが有効だとされています。
(参考:大塚製薬│三日坊主にならない!続けられる腹筋の鍛え方)
腹筋の種類別メニュー【自重編】
ここからは、種類別の腹筋を鍛えるメニューを紹介します!
腹直筋を鍛える自重トレーニング
・クランチ
1.仰向けになり、手は耳の後ろに軽く添えます。この時、膝は軽く曲げておきましょう。
2.頭から首、背中にかけて、背骨を1つ1つ丸めるようにしてゆっくりと頭を起こします。
3.目線がヘソの上に来たら、ゆっくりと手順2の姿勢に戻ります。
4.肩甲骨が床につかないようにしながら、手順2と3の動作を繰り返します。
この動作を10〜15回で1セットとし、3セットを目安に行います。クランチは主に腹直筋の上部にアプローチしやすいトレーニングです。
・レッグレイズ
1.あお向けの姿勢になります。腰を反って痛めないように、手はお尻の下に敷きましょう。
2.腰が反らないようにしながら、両足をまっすぐ天井へ向けるように持ち上げます。
3.ゆっくりと手順1の姿勢に戻ります。この時、脚を浮かせた状態を維持することで、負荷を高めることができます。
この動作を10回〜15回で1セットとし、3セット行いましょう。レッグレイズは腹直筋下部を鍛えやすいことに加え、歩く動作や走る動作を楽にしてくれる「腸腰筋」というインナーマッスルも同時に鍛えることができます。
(参考:MORINAGA かんたん、わかる!プロテインの教科書│【筋トレ初心者向け】自宅でできる筋トレメニューを紹介!)
腹横筋を鍛える自重トレーニング
・ドローイン
1.立ち姿勢あるいは座り姿勢になります。
2.深呼吸の要領で、3秒かけて大きく息を吸います。
3.7秒かけて息を吐きながら、限界までお腹を凹ませてください。
4.もう一度、3秒かけて息を吸います。この時、お腹が膨らまないように気をつけましょう。
5.先ほどよりもお腹を凹ませるようにして、7秒かけて息を吐きます。
「3秒吸って7秒吐く」を1セットとして、まずは3回からはじめ、慣れてきたら5回、10回と回数を増やしていきましょう。慣れない内はお腹・背中に手をあてながら行うと、腹筋の動きを意識しやすくなります。
腹斜筋を鍛える自重トレーニング
2つの腹斜筋のうち、外腹斜筋は外側の筋肉で、内腹斜筋はインナーマッスルであるという違いがあります。自重トレーニングはインナーマッスルのトレーニングに有効とされている
ため、それぞれを分けてトレーニングしていきましょう。
外腹斜筋 自重トレーニング
・バイシクルクランチ
1.仰向けになり、膝を曲げて軽く両脚を持ち上げます。
2.両手は頭の後ろに回すか胸の前で組み、頭と肩を床から浮かせましょう。
3.右膝を胸方向に引きつけつつ、左足をまっすぐ伸ばします。それと同時に、お腹をひねって左ひじを右膝に近づけましょう。
4.手順2の姿勢に戻り、今度は逆方向の手足を近づけるようにお腹をひねります。
この動作を、左右交互に10〜15回ずつ2〜3セット行いましょう。
内腹斜筋 自重トレーニング
・サイドレッグアップ
1.床に横たわります。
2.下になった腕のひじは、肩の真下の位置で床につきます。上からみたとき、上半身〜つま先までが一直線になるように姿勢を整えましょう。
3.上になっている方の足を持ち上げます。この時、思いきり足をあげると腰が引いて内腹斜筋を刺激することができません。足をあげる角度は30〜45°くらいで十分なので、ゆっくり動作を行うようにしましょう
左右それぞれ20〜30回ずつ、3セットを目安に行います。
腹筋の種類別メニュー【マシントレーニング】
マシンを使ったトレーニングを行えば、自重トレーニング以上に高い負荷をかけることができます。
なお、腹横筋や内腹斜筋といったインナーマッスルは、アウターマッスル(表層部にある筋肉)を使うことで同時に鍛えることができます。マシントレーニングはアウターマッスルを鍛えるのに向いているため、ここでは腹直筋、腹斜筋にフォーカスしておすすめのトレーニングを見ていきましょう。
腹直筋を鍛えるマシントレーニング
・アブドミナルクランチ
ジムにある「アブドミナルマシン」と呼ばれるトレーニングマシンを使い、高い負荷でクランチを行なうトレーニングです。
1.アブドミナルマシンに深く腰掛けます。動作がしやすいよう、シートの高さなども調整しましょう。
2.頭上に設置されたハンドルを、両手で握ます。
3.おへそをのぞき込むようにして、腹筋を屈曲させてマシンを動かしましょう。
4.ゆっくり元の姿勢に戻り、動作を繰り返します。
8〜12回をなんとかできる重さで設定し、3セット行いましょう。
腹斜筋を鍛えるマシントレーニング
・トーソローテーション
トーソローテーションは、上半身を固定した状態で下半身をひねるような動作を行うことで、腹斜筋を鍛えることができます。動作がシンプルな分、初心者の方も行いやすいのが特徴です。
1.マシンの重量を設定し、膝立ちの姿勢で座ります。
2.パットにしっかり胸をあて、上半身を固定しましょう。
3.グリップを握り、体をひねります。
4.ゆっくり元の姿勢にもどり、動作を繰り返します。反対側も同様に行いましょう。
このトレーニングを左右8~12回ずつ、3セット行ってください。アブドミナルクランチと同じで、重量は「8〜12回をなんとかこなせる」という負荷で設定すると、よりトレーニング効果を高めることができます。
腹筋の種類別メニュー【グッズトレーニング】
現在はさまざまな筋トレグッズが販売されているため、うまく活用すれば大掛かりなマシンを使わなくても効率よく腹筋を鍛えることができます。ここでは多彩な筋トレグッズを使った、おすすめの「グッズトレーニング」をまとめました。
腹直筋を鍛えるグッズトレーニング
・腹筋ローラー「膝コロ」
腹直筋を鍛えるグッズトレーニングの王道が、腹筋ローラーです。腹直筋以外にも、腹斜筋、上腕三頭筋、広背筋、脊柱起立筋など多くの筋肉を鍛えることができます。ただし、腹筋ローラーは意外とハードなトレーニングなので、最初は床に膝をついて行う「膝コロ」で、徐々に負荷に慣れていきましょう。
1.腹筋ローラーを床に置いた状態で、膝を床につきます。膝は肩幅よりもやや狭め開きましょう。
2.膝をついたまま、腹筋ローラーをゆっくりと前に転がし、身体を伸ばします。
3.ローラーを転がしきったら、腹筋の力を使って手順1のポジションまでゆっくり戻しましょう。
この動作を、10回で1セットとし、3セットを目標にしてみてください。
腹筋ローラーを使ったトレーニング方法について、さらに詳しく知りたいという方はこちらを参考にしてみてください。
腹斜筋を鍛えるグッズトレーニング
・ダンベルロシアンツイスト
ダンベルを使った腹斜筋のトレーニングです。ゆっくりと丁寧に動作することで、脇腹へ集中的に負荷をかけることができます。
1.膝を立てて座り、上半身を起こした状態で胸の前でダンベルを持ちます。ダンベルは両手でしっかり握りましょう。
3.腕の角度や向きは変えないまま、上半身を左にひねります。
4.ゆっくり元の姿勢に戻り、今度は右へひねります。
左右交互にひねる動作を、左右各10〜12回ずつ3セット行いましょう。自宅にダンベルがない方は、500ml〜2Lのペットボトルに水を入れて代用することも可能です。
女性にオススメの腹筋の種類別トレーニング
ここからは、筋トレ初心者でまだ体力に自信がない女性むけに、手軽にできるおすすめ腹筋トレーニングを2つ紹介します!
・トランクカール(腹直筋のトレーニング)
1.あお向けになり、膝を立てます。
2.腕はまっすぐ伸ばし、手のひらを下に向けた状態で床につけましょう。
3.顔は天井に向けたまま、息を吐きつつ上半身を起こします。この時、腰は浮かせず、肩と腕が床から少し離れる程度をイメージして動作してください。また、頭だけを動かさないように注意しましょう。
4.ゆっくりと元の姿勢に戻ります。完全にあお向けにならず、頭や肩が床から離れた状態を維持すると、より負荷を高めることができます。
この動作を8〜10回で1セットとし、3セットを目標に行いましょう。慣れてきたら、少しずつ手を床から離して行うのがおすすめです。
・プランク(腹横筋)
1.うつ伏せの姿勢になります。ひじを曲げて肩の真下にくるよう床につけ、上半身を支えてください。
2.足は軽く開き、つま先を床につけます。
3.つまさきとひじで、身体を支えた状態で、背筋がまっすぐになるよう姿勢をキープします。このとき、呼吸は止めないように注意しましょう。
この状態を30秒維持し、短い休憩を挟んで3セット行いましょう。慣れてきたら1分、2分と時間を伸ばしてみてください。プランクは、短時間で腹横筋、腹直筋、腹斜筋と腹筋群全体を刺激できるため、なかなか時間が取れない方は、とりあえずプランクだけを行うのもおすすめです。
・サイドクランチ(腹斜筋)
1.床に横たわり、膝と股関節を軽く曲げます。
2.体の上側の手は耳に、下側の手は脇腹にそれぞれ添えます。
3.頭〜肩までが床から離れるように、わき腹を締めて横向きのまま上半身を起こします。
4.ゆっくりと元の位置に戻ります。
この動作を左右それぞれ10〜15回、3セットを目安に行いましょう。上半身を起こす時は、しっかりと脇腹を締める感覚を意識してください。
(参考:RENAISSANCE│腹筋女子が教える、自宅でできる「美腹筋」づくりの簡単メソッド)
腹直筋、腹横筋、腹斜筋(外腹斜筋・内腹斜筋)の機能や特徴、それぞれを鍛えるのにおすすめのトレーニングを解説しました。ひねる動作やかがむ動作、耐える動作など、腹筋群の鍛え方はさまざまです。理想のウエストラインを手に入れるため、全ての腹筋をまんべんなく鍛えていきましょう!