不安やストレスを感じることによって生じる「イライラ」は、誰もが抱く自然な感情です。とは言っても、イライラする状態のまま改善されないと、目の前の仕事や勉強に集中できなくなるばかりか、体調に影響を及ぼしてしまう場合も。
この記事では、イライラしてしまう原因や、有効な対処法などを詳しく紹介します。
イライラの原因
まずは、イライラしてしまう原因について確認しておきましょう。
想定外のハプニング
人間関係や仕事におけるトラブル、環境の変化、家庭内の出来事や金銭問題など、想定していなかったハプニングが起こると、目の前のことで精一杯になって、心に余裕が持てなくなります。すると、無自覚のうちに強いストレスを感じるため、イライラすることが増えてしまうのです。
(参考:Kracie│なぜかイライラする…その原因とケアの方法は?)
相手を許せないという感情
仕事や家庭などにおいて、日常生活の中で関わっている相手が、自分の常識の枠を超えた行動をした場合や、相手に対して価値観や生活習慣の違いを感じた場合などに、ストレスを感じる場合があります。
例えば、友人と待ち合わせをしている時、あなたが「遅刻は5分までが許容範囲」と考えているのに対し、友人が5分以上遅れてきても平然とした態度でいる場合などがこのケースに当てはまるでしょう。
このように、相手と自分の間に認識のギャップがあり、許容できない相手の行動に対してストレスが積み重なっていくことで、イライラしてしまうのです。
(参考:Lotte Medi Palette│イライラが止まらないのはなぜ?原因と簡単にできる解消法9選)
健康上の理由
ホルモンバランスの乱れもイライラしてしまう原因のひとつです。
特に女性の場合、「月経前症候群(PMS)」によって女性ホルモンのバランスが変動するため、精神が不安定になってイライラしてしまう場合があります。また、加齢によりホルモンの分泌が変動しながら低下していくことで引き起こされる「更年期障害」が原因でイライラを感じてしまうことも。
このように、ホルモンは体内のあらゆる機能のバランスを保つ重要な働きがあるため、このバランスが崩れると様々な症状が現れてしまうのです。
イライラと付き合うアンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントとは、「怒りをコントロールするスキル」のことです。人間が抱えるイライラや悲しみの感情を整理して、その状況を客観的に見ることで、カッとなったりした際に出る衝動的な言動や行動をコントロールして、問題解決や円滑なコミュニケーションにつなげることができます。
アンガーマネジメントは1970年代のアメリカで心理教育として発祥し、現在では日本でも教育や企業研修など、多くの場面で取り入れられるようになりました。特に、職場は様々な人と関わる場であるため、怒りの感情と上手に付き合っていくメソッドである、アンガーマネジメントのスキルが必要とされているのです。
イライラしたときの対処法
ここからはイライラした際の対処法を見ていきましょう。簡単にできるものばかりですので、ぜひ実践してみてください。
深呼吸
感情をクールダウンさせて、その場で冷静に対処したい場合は、深呼吸を取り入れてみるのがおすすめです。
イライラしていると、交感神経が優位に働いて身体が緊張状態となるため、呼吸が速く浅くなってしまいがち。深呼吸で緊張状態を緩和させ副交感神経の働きを高めることで、自律神経のバランスをとることができます。深呼吸をする時は、鼻から吸って、ゆっくりと長く口から吐くように意識してみましょう。
ストレスを感じたときは「3回深呼吸する」「ゆっくり息を吐く」など、自分の中で対処法を決めておいて、思い出したらすぐに実行できるようにしておくのがおすすめです。
(参考:Panasonic│深呼吸で気分をコントロール。ストレスと上手に付き合う呼吸法)
6秒カウント
先に紹介したアンガーマネジメントの教えとして、6秒待つことで怒りをコントロールするという方法があります。
人は怒りがこみ上げると興奮状態になりますが、これは神経伝達物質である、ノルアドレナリンが分泌されることによって引き起こされるもので、ノルアドレナリンが体内を循環して気持ちが落ち着くまでにはおよそ6秒かかるとされています。つまり、その間をやり過ごすことができれば、怒りの感情を理性的にコントロールすることができるのです。
そのため、怒りを感じたときには6秒間なにも考えない状態を意識して作り出してみましょう。難しい場合は、頭のなかで数を数え、怒りの感情から意識をそらしてみるのもおすすめです。頭のなかだけでは感情をコントロールしきれないという場合は、手を閉じたり開いたりという単純な動作を6秒間繰り返してみてください。
タッピング
イライラをコントロールする方法のひとつとして「タッピング」も挙げられます。タッピングとは、元々は古代中国の療法で、マイナスな思考を切り替えて、ストレス軽減や不安緩和に活かすテクニックのひとつ。その方法は、イライラの感情を鎮めることに意識を集中しながら、頭部や手のひらのツボをトントンと叩くというものです。
皮膚刺激は、マイナスな思考を生み出す脳内の「扁桃体」に作用するため、この動作を繰り返すことで心を鎮めるのに効果が期待できるとされています。
客観視
自分が置かれている環境を客観視することも、イライラを緩和させるのに有効的な方法のひとつです。「怒りを感じたのはこの言葉」「この態度をとられるとイライラする」など、自分がどのような言葉や態度にストレスを感じたのか、どう思ったのかなど、感情や思考を客観的に捉えられていれば、イライラした際に衝動的にならず、気持ちをコントロールして冷静に対処することができるでしょう。イライラした際は、自分自身が置かれている状況を正しく理解し、振り返ることで自分を客観視してみてください。
また、どんな出来事があり、それに対してどのようにイライラしたのか、怒りの強さは10段階でどのくらいかなど、客観視した結果をノートやスマホのメモに書き出すというのもイライラを緩和させるのにおすすめの方法です。
イライラを抑えるために普段から心がけたいこと
ここからは、イライラを抑えるために日常生活の中でできることを紹介します。手軽に取り入れられるものばかりですのでぜひ実践してみましょう。
うまく割り切る
職場や学校といった外的環境において、他者と関わる中でストレスにさらされたときは、「自分と他人は違う」と心の中で折り合いをつけ、自分の思う常識の枠に相手を当てはめ過ぎないようにしてみましょう。
そして、帰宅した際は「職場以外では仕事のことは考えない」と割り切ることも、怒りの感情と付き合う上で大切なことです。
(参考:リクナビNEXTジャーナル│【精神科医に聞く】あなたにピッタリなストレス解消法はどれ?上手なストレスとの付き合い方は?)
自分の中に溜め込まない
ネガティブな感情のままでいると、イライラは収まるばかりか逆に大きくなってしまいます。そんな時は、信頼できる身近な人への相談や、電話やオンラインの相談窓口などに連絡してみるなど、悩みを一人で溜め込まない方法を探してみてください。
また、リラックスできる音楽を聞いたり、アロマオイルの香りで落ち着いたりと、小さなイライラを感じた時にできる、お気に入りの習慣を作るのもおすすめです。
(参考:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会JAICO│怒りの感情と上手に付き合うためのアンガーマネジメント)
定期的に運動する
運動は健康的な身体づくりに役立ちますが、それ以外に、気分の落ち込みの発散や心身のリラックス、睡眠習慣の改善など、精神面にも良い影響を与えることができます。
運動の中でも特にイライラの緩和に適しているのは、ウォーキングやランニング、サイクリング、ダンスといった身体に空気を取り込みながら行う有酸素運動です。
イライラの緩和を目的とし運動に取り組む際は、呼吸が楽にでき、会話をする余裕がある程度の適度な負荷を意識しましょう。
(参考:日本成人病予防協会│健康管理情報)
ストレッチでリラックスする
イライラして精神に負担がかかると、身体も縮こまって緊張状態になってしまう可能性があります。そんな時は、ストレッチで適度に体を動かしてみましょう。
ストレッチによって感覚刺激が中枢神経に伝達され、凝り固まっていた交感神経優位の身体から、リラックスした副交感神経優位の身体へと変化させることができます。
手軽にできる3つのストレッチを紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。
太ももの裏を伸ばすストレッチ
1.地面に座った状態で足を前に伸ばし、両手で爪先を握ります。身体が硬くて手が届かないという場合は膝を曲げて行いましょう。
2.この状態を20秒キープしてください。
3.足を開いて、両手で右足の爪先を握ります。
4.この動作を左右の足で20秒ずつ行いましょう。
(参考:Yakult stretch magazine│もやもやストレスを吹き飛ばせ!3分でできるストレッチですっきり解消)
腰とお尻を伸ばすストレッチ
1.仰向けに寝転びます。
2.右足の膝を胸に近付けるようにして抱え込んで、お尻と腰を伸ばしましょう。
3.この動作を左右30秒ずつ行ってください。
首回し
1.椅子に腰かけて、肩の力を抜きます。
2.ゆっくりと呼吸して心身をリラックスさせながら、首を前方向に傾けます。このとき、目は軽くとじておきましょう。
3.前から後ろの順に首をゆっくり回してください。1周したら逆方向に回します。
まとめ
イライラしたり不安を感じたりしたら、放置せずにケアをすることが大切です。自分がイライラした原因は何なのか客観的に探したり、他人は他人と割り切ったりと、自分に合った対処法でこまめに解消することを心がけてみましょう。
一方、ホルモンバランスの崩れや、健康上の理由が原因でイライラが治まらない場合もあるため、身体や心の不調が続く場合は、早めに医療機関に相談してください。