人間関係をスムーズにする「自己開示」という言葉をご存知でしょうか。自己開示は自分の情報を相手に与え、信頼関係を築く手段です。この記事では、自己開示の効果やメリット、苦手な人の特徴、上手に自己開示を行う方法などを紹介します。
「人に心が開けない」「人と距離を縮められない」と悩んでいる方は、それらを解決するヒントになるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。
「自己開示」とは
自己開示とは、相手にありのままの自分を伝えることです。気持ちや考えなど内面のことから、家族構成、出身地、趣味、長所、短所まで、自分の情報や特徴のすべてが当てはまります。
自己開示は自分を良く見せるものではなく、良い面も悪い面も包み隠さずに話すこと。ただし、自分の認識や相手の受け取り方で誤認する可能性もあり、必ずしも自分の気持ちが伝わるとは限りません。
自己開示はお互いを知るための手段の1つであり、円滑な関係を築くために大切なコミュニケーションといえるでしょう。
自己開示の効果・メリット
では、自己開示の効果やメリットにはどのようなものがあるでしょうか。さっそく見ていきましょう。
相手の警戒を解きやすい
人は相手の性格や考えがわからないと警戒心を抱きます。特に、初対面の人や知り合って間もない人と話すときは緊張が生まれやすいでしょう。そのようなときに自己開示をすると、自分が相手を信頼していることが伝わり、相手の警戒心を解きやすくなります。
しかし、多くの人は自己開示をせずに表面的な会話をしがちです。自分に悪い印象を持たれないための自己防御ともいえますが、そうすることでお互いを知ったり、警戒心を解いたりするのに時間がかかる場合も。早く親しくなりたい場合は、積極的に自己開示をするのがおすすめです。
自分に自信が持てる
自己開示をすると相手が共感してくれたり、肯定的に受け止めてくれたりすることが増え、自分に自信が持てるようになります。
相手に認められると、自分が正しいと感じられるため行動力が増します。ただ行動を起こすだけでも、何もしないときより成功体験が増えるのは間違いありません。それを積み重ねていくと良いサイクルを作ることができ、さらに自信が持てるようになるでしょう。
相手も自己開示をしてくれる
自分から自己開示を行うと、相手も自己開示をしてくれる可能性が高くなります。なぜならば、人は返報性の法則に従う習性を持っているからです。
返報性の法則とは、借りができたらお返しをしようと考えること。自己開示でいうと、情報を教えてくれた分、自分のことを話したくなることです。自己開示をすればするほど相手も同じように話してくれるため、さらに親しくなれるでしょう。
自己開示が効果的な場面
自己開示は人と関わる場所で効果を発揮します。ここでは、自己開示が効果的な場面として、ビジネスと恋愛を紹介します。
ビジネス
ビジネスでは、社内と社外の相手に自己開示が効果的です。
仕事を任せる相手を選ぶとき、何を考えているのかわからない相手よりも信頼できる相手を選ぶ場合が多いのではないでしょうか。いくら能力があってもコミュニケーションがうまくとれなければ、予期せぬ出来事に対応できない危険性があるからです。自己開示をすることで、自分の会社での立ち位置がより良いものになる可能性もあります。
自己開示は社外の人にも効果的です。取引先や顧客に自己開示をすれば、仕事がスムーズに進んだり、信頼関係を築けたりするでしょう。
(参考:Mayonez IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン|自己開示が苦手な人の特徴・自己開示のメリット・デメリット)
恋愛
自己開示を行うと恋愛が成功しやすくなります。なぜなら、自己開示はお互いを理解する手段だからです。また社会心理学では、人はよく知っている相手を好きになるという結果が出ているそうです。
相手に嫌われたくないため、自己開示をあまりしない人もいるでしょう。しかし、恋愛は本音を話し合い、絆を強めていくもの。自分について話すと相手もたくさん話してくれるようになるので、より相手のことを理解したり距離を縮めたりできます。
(参考:マイベストプロ大阪 朝日新聞DIGITAL|自己開示が効果抜群!好きな人と信頼関係を浮かめる恋愛心理学)
自己開示が苦手な人の特徴
ここでは自己開示が苦手な人の特徴を5つ紹介します。当てはまるどうか、ぜひチェックしてみてください。
何を開示すればよいか分からない
自分の話をあまりしない人の中には、自分について何を話せばよいか分からない人もいます。
「人が自分の何に興味を持ちそうかな?」と考えすぎていると、ありのままの自己開示ができず、ますます何を話せばよいか分からなくなるでしょう。
また、「相手に不快感を与えると自分の評価が落ちる」などの不安から、何も話せなくなる人もいます。
恥ずかしがり
恥ずかしいとは、人目につきたくない思いや、相手が優れていて気後れしてしまう感情です。他には、自分の短所などを自覚して居心地が悪く感じる状態も指します。恥ずかしがりの人はそういう感情になることが多いため、自分をさらけ出さなくてはならない自己開示が苦手なこともあるでしょう。もともとの性格が関係していることも多いです。
自分に自信がない
自分に自信がない人は、自己開示するのが苦痛になります。どんな人も否定されるのは嫌ですが、自信がない人は立ち直るまでに時間がかかりやすく、失敗をしたくない気持ちが強いため勇気が出ないのです。
さらに、自信がない人はネガティブ思考に陥りやすく、疑心暗鬼になりやすい特徴があります。そのため相手を信頼するのが難しく、自己開示したくない人もいます。
他人に対する警戒心が強い
自己開示は自分の情報を相手に与えることなので、警戒心が強い人は苦手意識を持つ可能性があります。特に、相手に不信感を持っている場合は自分のことは話したくないもの。信頼を築けるまでは、あえて自己開示をしない人もいます。
また、「自分をさらけ出したら嫌われるかもしれない」と考える心配性の人も自己開示をしない傾向にあります。
過去のトラウマ
自己開示することで恐怖やショックを受けたトラウマがある場合、その影響で自己開示が苦手になる場合があります。たとえば、秘密にしたかったことを人に話されてしまった、たくさんの人の前で笑われた、いじめを受けたなどが考えられます。
上手に自己開示を行うための方法
ここでは、自己開示を行うための方法を解説します。ぜひ試してみてください。
自己肯定感を高める
自己肯定感とは、自分の価値や存在意義を肯定できる感情です。自己肯定感が高いと自分を積極的に評価でき、自分について素直に伝えられるため、自己開示もしやすくなるでしょう。
自己肯定感を高めるには、以下の方法を実践してみましょう。
- 肯定的に考える
- 失敗を否定しない
- 自分を大切にする
自己肯定感が低い人は物事を否定的に考えがちです。何かにチャレンジするときに「できるわけない」と考えるのではなく「きっとできる」と肯定的に考えるだけでも、ずいぶん前向きになれるでしょう。
また、失敗をしたときは自分がダメな人間に思えるかもしれませんが、失敗は誰もが経験することです。反省は必要ですが、必要以上に落ち込まないようにしましょう。
自己肯定感を高めるためには、自分を大切にしなければなりません。自己肯定感が低い人は人が自分をどう思っているかなど、他人軸で行動する傾向にあります。しかし、他人軸で行動していると自分の気持ちを後回しにすることになります。幸せになるためには、自分の気持ちを優先することも必要。そのため、自己肯定感を高めたいなら、自分を思いやるようにしましょう。
(参考:Rakutenお金の総合案内 美人マネ活|自己肯定感を高めると人生うまくいく!?低い人の特徴と高める方法)
思ったことを口に出してみる
自分について話すことに慣れていない場合、何をどのように話していいかわからないかもしれません。そんなときは思ったことをそのまま口に出すことから始めましょう。
自己開示は、誰も知らない秘密の内容を話さなければいけないのではありません。自分がよく聴いている音楽は何か、最近観た映画は何か、行きたい国はどこかなども立派な自己開示です。話好きな人が身近にいる場合は、その人がどんなことを話しているかをチェックして、真似してみるのもおすすめです。
プライベートな質問をしてみる
自己開示をしても中には相手が自己開示してくれないケースもあります。そんなときは、一歩踏みこんで「あなたはどう思う?」と聞いてみるとよいでしょう。ただし、自分から自己開示をせずに質問ばかりするのは相手が不信感を持つ危険性があるためNGです。最初から深すぎる話をするのではなく、趣味や笑える話などから始めましょう。
「ジョハリの窓」を自己開示に役立てよう
ジョハリの窓とは、コミュニケーションを円滑に行うための心理学モデルであり、自己分析ツールです。ジョハリの窓を用いると、自分と他人の認識のズレを理解できます。
ジョハリの窓では、自分の性質を以下の4つの窓に分類します。
- 開放の窓……自分も他人も知っている自分の性質や状態
- 盲点の窓……自分は知らないが、他人は知っている自分の性質や状態
- 秘密の窓……自分は知っているが、他人は知らない自分の性質や状態
- 未知の窓……自分も他人も知らない自分の性質や状態
ジョハリの窓を活用する方法は以下の通りです。
- 自分で自分のイメージ書き出す
- 他人から見た自分のイメージを書き出す
- イメージを各窓に分類する
- 自己分析を行う
他人から見た自分のイメージを書き出すためには、家族や友人、同僚に協力してもらう必要があります。多くの意見を集めると、より客観性の高い結果が得られるでしょう。
すべてのイメージを各窓に分類したあと、自己分析を行います。秘密の窓、つまり自分は知っているが他人は知らないことが多い場合、自己開示があまりできていない可能性があります。秘密の窓にある内容を開示することで、今よりも多く自己開示できるようになるでしょう。
(参考:indeedキャリアガイド|ジョハリの窓のやり方とは?4つの窓と適切な手順を解説)
まとめ
自己開示をすると相手も自己開示をしてくれることが多いため、お互いを理解することができ、信頼関係を築きやすくなります。自己開示はコミュニケーションの手段としてぜひとも活用したいもの。自己開示が苦手な人はこの記事を参考に特徴を把握し、自己開示をする方法をぜひ試してみてください。