2022年2月22日、会員制コミュニティ「Beauty Jam」を運営する鈴木勝裕さんが、DMM本社のイベントブースにて出版イベントを開催しました!
美容室経営をはじめ30年以上のキャリアを持ち、カリスマ美容師ブームのパイオニアでもある鈴木さん。彼は現在、埼玉・東京にある美容室Beautissimo(ビューティシモ)の代表を務めています。
そんな彼が、今回髪書房で出版したのが『50年美容師を続けるための新ベーシック~体に負担がかからないカット・カラー・パーマ技術〜』です。本書の出版を記念して開かれたイベントでは、「美容師という職業を、ずっと続けられるように」という、鈴木さんの思いが詰まったデモンストレーションが行われました。
技術者が疲れず、お客様が喜ぶ“新”ベーシック
鈴木さんは24歳で独立し、現在に至るまで技術を磨いてきました。そのなかで、鈴木さんは美容師業界を取り巻くさまざまな課題に直面しました。
ひとつは、「技術教育」です。美容師の方々は、カットやパーマ、カラーリングといった基礎技術「ベーシック」を学びます。美容師の教育現場には、昔ながらの「見て学ぶ」という徒弟制度的な状況が少なくありません。鈴木さんも、独立する過程でそうした現場を体験したひとりです。
一方、鈴木さんはカットスクールに通うことで、短期間で集中的に一流の技術を学ぶという、アカデミーシステムの素晴らしさを体験しました。その経験をもとに、Beautissimoの5店舗目を出す段階で、アカデミーも併設し技術教育の体系化を進めていきました。
もうひとつの課題は、「美容師の負担軽減」です。美容師は一日中、立ちっぱなしでカットやブローといった作業が伴う、過酷な労働です。手首や腰を痛めてしまった、重労働で美容師を辞めてしまったという人を、鈴木さんも多く目にしてきました。
そこで、鈴木さんは従来のベーシックをさらに進化させ、技術者が疲れずお客様の満足度も高い、新ベーシックを開発。その技術が凝縮されまとめられたのが、『50年美容師を続けるための新ベーシック』です。
「美容師もお客様も輝ける」を実現したい
イベントでは、鈴木さんとBeautissimo川越店副店長の落合彩香さん、同店舗トップスタイリストの永井優衣さんの3名による、デモンストレーションが行われました。
鈴木さんは、今回の出版に合わせて、新ベーシックがちゃんと現場で効果を発揮するのか検証が必要と考えました。そこで、約8ヶ月かけて落合さん、永井さんに新ベーシックを改めて指導。
その結果、2人は川越店での売上がトップにまで成長しました。これまでと異なる価値観を学ぶというのは、大きな効果を生むと実感したそうです。実際に、この新ベーシックを学んだ2人の感想や、鈴木さんの話を聞かせていただきました。
落合彩香さん(Beautissimo川越店 副店長):
新ベーシックを学んだことで、カットがスピーディにできるようになりました。これまでの技術と最終的なゴールは同じですが、それまでの過程がまったく違うことに、驚きました。
新ベーシックでは、パーマとカラーが同時進行でできるよう体系化されています。実際にやってみると当たり前にできるんですが、逆になぜ今までできなかったのかと、不思議に思ったほどです。
教わることすべてが新しくて、刺激的で、成長につながる一歩になったなと思います。
それに新ベーシックでは、オリジナルのメニューを提案することの大切さも学びました。毛先だけグラデーションをかけたり、一部にインナーカラーを入れたり。お客様に合わせて、その人に合った技術を提供することで、単価を上げることができました。
それと…これは研修でフランスの美容室に行ったときのことですが、現地では美容師の健康がとても重視されているんです。長く美容師を続けるには、自分の身体を大切にすることが欠かせないんだと、改めて痛感しました。
その上で、楽しみながら働きたいなと思わされました。
永井優衣さん(Beautissimo川越店 トップスタイリスト):
新ベーシックには、これまで習っていなかった方法も多く、手を慣らせるのに苦労したこともありました。ですが、新ベーシックが身につくと、繊細なカットの仕方や大胆なカラーリング、パーマの方法を、時短で提供できるようになりました。
その技術が、お客様の満足度向上にもつながっていると思います。
鈴木さん:
「きれいに1mmも狂わず切れる」のは、練習では非常に重要ですが、美容師が目指すのはその先にある、お客様にパーソナライズしたサービス提案です。
情報を収集してカスタマイズし、その人だけのデザインを提案する。このプロセスは、患者さんに最適な治療を模索する、お医者さんに近い発想かもしれません。
僕たちは、お客様の感情に寄り添える職種です。日々少しでもそれを感じ取りながら、新ベーシックを通じて「こっちのほうがかわいいよね」と、会話・提案ができるレベルまで若い世代を引っ張り上げたいなと考えています。
僕がカットしているモデルのユキさんは、もう10年以上のお付き合いがあります。こうした間柄になるには、技術はもちろん、美容師さん自身が楽しく仕事をしていることも大切だと思うんです。
こうした美容師像を提案できればと思い、新ベーシックを作り上げました。
美容師という楽しい仕事を、一緒にずっと続けられるように
鈴木さんは、美容師はヘアスタイルの提案を通じて、ライフスタイルにも影響を与えているとも考えています。ユキさんと、永井さんが担当するモデルさんはご夫婦なのです。
実は、鈴木さんはユキさんに、結婚前に相談を受けたそうです。ユキさんは、「信頼のおける、大人の意見が聞きたかったんです」と話します。
鈴木さん:
美しいヘアスタイルを作ることは、もちろん美容師にとって大切な要素です。ただ、僕はお客様とそれ以上の関係を築くことも大切だと思うんです。
美容師という楽しい仕事に関わりながら、辞めてしまう人もたくさんいます。しかし、人口減少や少子高齢化が進む日本において、若い世代だけでなく50歳以上の美容師も存在することとなるでしょう。
そんな美容師業界において、何を見直さなければならないか。この本でそれを提案し、業界に新しい価値観を広められれば、すごくありがたい話だと思います。
美容師の身体にもメンタルにも優しい技術が詰まった、『50年美容師を続けるための新ベーシック』。本書には豊富な画像だけでなく、ページ内のQRコードで鈴木さんたちの勉強会を実際に見ることもできます。新しい価値観から生まれた技術を学びたい。そんな方はぜひ本書をチェックです!
そして、「もっと新ベーシックを知ってみたい!」と興味を持った方は書籍だけでなく、鈴木さんが運営する「Beauty Jam」も覗いてみてください。