自分の気持ちや考えを伝え、感情を表す自己表現力。自由自在に自己表現できる人が魅力的に見えてしまい、自分がうまく自己表現できないことに悩んでいる人もいる人もいるでしょう。この記事では自己表現とは何か、やり方、高め方を紹介します。
自己表現とは?
実用日本語表現辞書によると、自己表現は「自分の内にあるものを別の形にして外部化すること」と記されています。また、言葉で伝えることはもちろん、自分の感情を反映させた作品を作ることも含まれていると記載されています。
ここでは、自己表現に似た言葉である自己主張との違いを紹介し、アサーティブとノン・アサーティブという言葉についても解説します。
(参考:weblio辞書|自己表現)
自己表現と同様に挙げられる自己実現については以下の記事を参考にしてみてくださいね。
自己表現と自己主張の使い分け
自己主張は、自分の考えや欲求などを強く訴えることです。自己表現は自分の感情を発信するものですが、自己主張は自分の意見を曲げない強さを含んでいるため、反発を招いたりトラブルになったりすることもあります。
だからといって、自己主張が悪いというわけではありません。自己主張は、意見を言わないと不利益を被るような場合にはしっかり使いたいもの。一方で、自己表現は他者に理解してもらいやすいため、応援してほしいときなどに使うのがおすすめです。
(参考:CanCam|自己主張とは。強い人とできない人の特徴、上手く自分の意見を伝えるには?)
アサーティブとノン・アサーティブ
アサーティブという言葉を知っていますか。アサーティブとは、相手の気持ちを尊重しながら自分の意見を適切に伝えることです。言葉では理解していても、実際に実践するのは簡単ではないでしょう。アサーティブを実践するには、次の4つがポイントになります。
- 状況に合わせて適切な表現を使う
- 相手の意見や気持ちを受け入れる
- 自分の考えや意見をしっかり主張する
- 意見が対立しても、お互いが満足する結論を探す
一方で、ノン・アサーティブは相手の気持ちのみを尊重して、自分の意見を伝えず、受け身になってしまうこと。自己表現せずに自分の感情を心に押し留めてしまい、ストレスや不安を抱えてしまうこともあります。相手とのトラブルを避けられたとしても、相手から軽んじられたり、誤解を生んだりする可能性があります。
(参考:TMJ|アサーティブコミュニケーションとは?4つの実践ポイントと具体例)
自己表現ができない理由
自己表現ができない理由には「自分に自信がない」「恥ずかしがり屋」「不信感が強い」の3つが考えられます。
自分に自信がない
自分に自信がないと「間違っているかもしれない」「自分の意見を受け入れてもらえないかも……」とマイナスに考えてしまい、自己表現できなくなります。誰でも自分の気持ちを否定されるのはつらいもの。自信があれば否定されても早く立ち直れますが、自信がないと「やっぱり自分は間違っていた」と感じ、ますます自己主張できなくなるでしょう。
恥ずかしがり屋
他人と関わるときに緊張したり、人付き合いが苦手だったりする恥ずかしがり屋さんにも、自己表現ができない人が多いです。周りの視線を過剰に気にしてしまう、本心を明かしたくない、トラウマがあるなど、恥ずかしがり屋の理由はさまざま。しかし、その気持ちがある間は自己表現をするのはむずかしいでしょう。
不信感が強い
自己表現するにはありのままの自分をさらけだす必要があるため、不信感が強くて他人を信用できない人も自己表現が苦手です。他人に否定されたり、軽んじられたりしたトラウマから不信感を抱きやすくなっているケースもあります。自己表現をするには、他人を信用できるようになる必要があるでしょう。
(参考:mentally|自己表現が苦手な人の特徴は?個性や感情を上手に伝える5つのコツ)
自己表現ができることによる効果
ここからは、自己表現ができることによる効果を2つ紹介します。
自分の感情に向き合いやすくなる
自己表現ができるようになると自分の気持ちを再認識できるため、自然と自分の感情と向き合えるようになります。相手を尊重するばかりで自分の気持ちを押し殺していると他人軸で生き続けることになり、自分の感情がわからなくなることも。自己表現をすることによって、自分の感情を把握し、ありのままの自分で生きることができるのです。
コミュニケーション力がつく
コミュニケーション力は訓練すれば身に付くスキルです。自分の気持ちを相手に伝え、相手の意見を受け取ることで、コミュニケーション力が培われていきます。最初は自分の心を開くことに抵抗を感じるかもしれませんが、何度も繰り返すことで慣れていくでしょう。
(参考:MAKE STYLE|自己表現力を磨くには?自己表現が苦手な人の心理や自己表現をするメリット)
コミュニケーション力については以下の記事を参考にしてみてくださいね。
自己表現の伝え方はいろいろ!
自己表現は言葉で伝えるものと思っていませんか。もちろん言葉で伝えるのも自己表現ですが、実は他にも伝え方はあります。ここからは具体的な自己表現のやり方を4つ紹介します。
言葉にする
最初に思いつく自己表現のやり方は言葉にすることでしょう。自己表現が苦手な人は言葉数も少ない傾向があるため、自分の気持ちを言葉にすることに少しずつ慣れていくことが大切です。いきなり大勢の前で言葉にするのが大変な場合は、少数の前で発言してみましょう。
文字で伝える
直接話すのはハードルが高い人におすすめなのが、文字で伝えること。メールや手紙なら、じっくりと考える時間が取れるのもポイントです。上手な文章にしよう、失敗してはいけないなどと考えず、短い文章から気軽に作ってみましょう。相手にどう思われるか不安な場合は、知り合いのいないSNSから始めてみるのもおすすめです。
行動で示す
言葉や文字にするのがむずかしい場合は、行動で示してみましょう。うれしいときに満面の笑み見せるのも自己表現と言えます。また、会いたい人に会いに行ったり、疲れている人にお茶を入れてあげたりするなど、自分がしたいことをするのも一つの方法です。
クリエイティブな活動
芸術が好きな人は、クリエイティブな活動で自己表現してみましょう。絵を描く、ものを創る、写真を撮るなど、自分が好きなことで表現ができるのも魅力です。芸術というとむずかしく感じるかもしれませんが、毎日作る料理など、何気ない活動も自己表現につながります。
(参考:Oggi.jp|どうしても「自己表現」が苦手な人の特徴とは? おすすめの自己表現方法や、表現力がアップする方法を紹介)
自己表現の高め方
自己表現は、やり方がわかったとしてもすぐに実践できるとは限りません。自己表現を高め、土台を作っておく必要があるためです。ここからは、自己表現を高めるためのポイントを4つ紹介します。
自分の感情に向き合う
自己表現をしようと思っても、自分の感情を把握していないとできません。まずは自分の感情と向き合い、自分がどう思い、どう感じ、どうしたいのかを考えることが大切です。感じたことは忘れないうちにメモをして、あとから読み返してみましょう。振り返ることで、自分の考えを客観的に見たり、自分の思考の癖に気づいたりできます。
人前での発表経験を積む
いくら自己表現ができるようになりたくても、人前で発表する機会がなければできません。最初はうまくいかなくても、人前で自己表現をしていれば、いずれ慣れる日がきます。まずは親しい人から始めて、慣れてきたらイベントやセミナーに参加するのもおすすめ。人前での発表といっても、舞台の前で話す必要はありません。周りの反応を感じながら、自己表現の経験を積むことが大切です。
伝え方はシンプルに分かりやすく
自己表現を高めるには、上手な伝え方を心がける必要があります。上手な伝え方とは、シンプルで分かりやすく話すこと。まずは伝えたいことを自分の中で明確にし、余分な肉付けをせずに簡潔に伝えるようにしましょう。一から十まで全部伝えようとし、不要な点まで話すと、言いたいことが伝わらない可能性があります。
本や映像作品からインプットする
自分の気持ちを詳しく伝えたいときに、曖昧な言葉しか知らないとうまく伝わらずにもどかしい気持ちになるかもしれません。自己表現をするには、豊富な語彙や表現のテクニックが必要です。そのようなときにおすすめなのが、本や映像作品にたくさん触れてインプットすること。その後、自己表現をしながらアウトプットすれば、より自分の中に表現力が定着するでしょう。
(参考:ESTEM|自己表現力を高めるには)
まとめ
自己表現は自己主張とは異なり、相手を尊重しながらも自分の気持ちや意見を伝えることです。自己表現には言葉にする以外に、文字で伝える、行動で示す、クリエイティブな活動で表現するなど、さまざまな方法があります。また、自分の感情に向き合ったり、人前での発表経験を積んだりすれば、自己表現が苦手な人でも克服することが可能。ぜひ自己表現力をアップさせ、毎日の生活をよりよいものにしましょう。