2024月3月、「写真でつながる。表現を磨く」 をテーマに活動するオンラインサロン「わたなべりょう オンライン写真部『Funauki』」の撮影&交流会が都内にて開催されました。
今回のイベントのお題は「室内での物撮り」。交流会では、果物や飲み物、お菓子などさまざまな被写体を素敵に撮る方法を学びながら、夢中で撮影を楽しむサロンメンバーさんとオーナー・わたなべさんの姿がありました。皆さんが交流会で撮った素敵な写真と共に、イベントの様子をレポートいたします。
東京都生まれ、武蔵野美術大学造形学部卒業。大学卒業後、2011年ごろからストックフォトと家族写真の撮影等を行う。「写真とは結局、何なのか」を自分の撮影を通じて模索する。撮影を続けているうちに、「写真はそこまで難しくないし、最初は誰でも知らないのが当たり前」というシンプルな結論にいたる。
その経験をもとにYouTubeで「誰にでもわかりやすい」写真の撮り方を発信中。写真の撮り方だけでなく、写真を通じて表現の自由と人生を豊かにする方法を伝えている。
迷子続出?写真撮影を120%楽しめる撮影&交流会
写真撮影、企画、写真講師、YouTubeなど、さまざまな活動を重ねてきたわたなべさん。オンラインサロンはお互いに自分の写真を見せ合ったり、気軽に質問・会話ができる空間づくりを大切にしています。
サロン名「Funauki(船浮)」は、「ゆったりした時間の流れで、温かい交流が生まれる場になってほしい」という願いを込めて、西表島の小さな集落から名付けられました。1〜2カ月に1度行われる撮影&交流会は、サロンメンバーさんと街中や公園で集合し、それぞれが好きなものを撮るフォトウォークを楽しみます。
「撮影&交流会は、約3時間と比較的長めに時間を設定しているんですが、メンバーさんはいつも『あっという間に時間が過ぎちゃった!』と言ってくださいます。撮りたいものを撮っている間に、気づいたら誰もいなくなっちゃったというくらい、毎回迷子が続出するんです(笑)」(わたなべさん)
写真は理論より「まずは試してみよう!」が大切
今回の撮影会&交流会のテーマは「室内での物撮り(小物や食品、料理などを撮ること)」。
雰囲気が良いカフェ、レストランの料理をおしゃれに撮りたい。自宅で作った料理をキレイに撮るにはどうすればいいのだろう。そう悩んだ人も多いかと思います。同様にサロンメンバーさんも、食べ物をよりおいしく撮るにはどうすればいいか悩んでいる様子でした。
わたなべさんが用意したお題は、いちごとレモン、炭酸飲料とパンケーキ。照明機材や背景用の布などを使って、これらをどう撮るかのワークショップが開催されました。
最初のお題はいちご。まずは特別な照明を使わず、室内の照明だけでどのような写真になるかを撮っていきました。
これだけでも、十分おいしそうないちごに見えますよね。今度は部屋の照明を消して、わたなべさんが持ってきた照明機材を使うと、どのようにいちごの見え方が変わるのかを試してみます。
わたなべさんは物撮りをするとき、まず被写体の構造を把握することを意識しているそうです。そして、「この角度から光を当てたら面白いかも」と、実際に照明の当て方を工夫して撮っていきました。
「“物撮りは被写体に対して35°の角度で当てたほうがいい”というセオリーもありますが、厳密な決まりは存在しないとわたしは考えています。食べ物といっても、いちごやピザ、パスタなど形はバラバラですから。」
「もっといい写真を撮りたい!と思っている真面目な人ほど、“この被写体には〇〇の角度の照明が最適”と、セオリーを覚えようとしてしまいがちです。セオリーを覚えるんじゃなく、照明を動かしたり自分が立ち位置を変えたりして、写真がどう変わるかを試してみる。この感覚が、写真ではとても大切だと私は思います」(わたなべさん)
自然光やカフェの照明のように、自分で照明を動かせない場合は、被写体を動かしたり自分が立ち位置を変えたりしてみる。自由に照明の位置を変更できるときは、実際に照明を動かしながら被写体の見え方をチェックする…。
こうした試行錯誤で得られる変化を、肌身で感じて写真を撮ることを楽しんでほしいと、わたなべさんは話します。実際、照明の角度がひとつ変わるだけで、いちごはまったく違う表情を見せます。サロンメンバーさんも、その変化を楽しみながら夢中でシャッターを押していました。
被写体を観察するときは「光」と「物」を見る
次の被写体は、レモンと炭酸飲料を組み合わせた炭酸レモン水。立体感や被写体のサイズ感など、いちごとの違いをどう理解して、どうグラスを撮ればいいのかサロンメンバーさんも悪戦苦闘していました。その様子を見て、わたなべさんは「被写体への観察不足」を指摘します。
写真を撮るときのポイントは、カメラを構える前に被写体をちゃんと見ること。特に被写体を観察するときは、照明など「光を見る視点」と、「物(被写体を見る視点)」の両方を見る意識が大切だといいます。
「夢中に撮影していると、ついつい被写体ばかりに目がいってしまいます。一度被写体から離れて、光を見るようにすると、違う発見があるかもしれません」(わたなべさん)
撮影中、わたなべさんがサロンメンバーにさまざまなアドバイスをします。
「アングルはもっと上からでもいいですね」
「余白が多すぎるかも?」
「もう少し明るい設定にしてみましょう」
「写真の中の主役を決めて、奥行きを出したり横一列に被写体を並べたりしてみましょう。どっちつかずの中途半端な構図だと、写真全体のバランスが悪くなってしまうのでダメですよ」
交流会では、わたなべさんがただアドバイスするだけでなく、サロンメンバーさん同士で写真を見せ合いつつ、アングルや設定を相談する様子も見られました。黙々と撮ったり写真の撮り方について楽しく語り合ったりしているうちに、サロンメンバーさんは物撮りの楽しさにのめり込んでいくように感じます。
もっといい写真を撮りたい!という人のための場所
最後のテーマはパンケーキ。光沢感のあるおしゃれなお皿の上に重ねて、そこにフルーツを添えていきます。その様子を見て、「私の家にはキャラクターもののお皿しかないんですが、どうすればいいですか?」というサロンメンバーが…。
確かに、家にあるお皿が必ずおしゃれとは限りません。そんな疑問に、わたなべさんは「そのお皿を活かして、生活感を見せる写真にしてみるのはどうですか?」と提案します。あるものを上手に使って、そのお皿だから出せる味わいを追究する。これも、わたなべさんが話す「まずは試してみる」「被写体をじっくり観察する」という考え方につながります。
そんなアドバイスを受けつつ、光のあたり具合を調整しながら、おいしそうなパンケーキの写真が完成しました。
最後に、わたなべさんにコミュニティ内で大切にしていることをお聞きしました。
「私は、『Funauki』を“もっといい写真を撮りたい”と行き詰まっている人のための場所にしたいと考えています。写真は一人でも十分に楽しめますが、作品づくりに行き詰まったとき、広い視野で自分の写真に向き合うことがとても大切です。」
「『Funauki』では定期的に、同じテーマで撮影した写真をオンラインで共有してもらっています。そこで、サロンメンバーさんは『私はこういう写真を撮ったけれど、こんなアイディアもあったんだ!』という発見を得られるんです。そうやって、お互いが刺激を得ながら、写真を学べる場所が『Funauki』の特徴だと思います。」
わたなべさんはオンラインサロンを通じて、どのような撮影環境や被写体であっても、自分にとって納得感のある写真を撮れるようになってほしいと考えています。
カメラを買ってみたけれど、いまいち自分の写真が素敵だと思えない。
「こういう写真を撮りたい!」という理想に近づきたい。
そう考えている皆さんは、ぜひ一度「わたなべりょう オンライン写真部『Funauki』」に参加してみてください!きっと、自分の写真をブラッシュアップするヒントが見つかります。