友人、家族、親戚の方々に新たな門出を祝ってもらう結婚式。幸福に包まれたとても心踊るイベントですが、その時に主催側の頭を悩ませるのが「招待をする時のマナー」です。遠方に住む方々へ招待状を送るとき、その交通費・宿泊費をどう配慮すべきなのか。この点をスッキリさせて、開催側も参加側も、気持ちよく挙式を楽しみたいですね。
結婚式に参列してくれるゲストの方々は、新婚夫婦へのご祝儀を用意するだけでなく、式場に向かうまでの交通費や、場合によっては式場近くのホテルに泊まるための宿泊費がかかることもあります。
他の方よりも多くの負担がかかってしまうゲストには、しっかりとおもてなしを返したいところ。そのときに必要なマナーを見てみましょう。
結婚式のお車代とは?
遠方から来てくださったゲストの方々に、「お車代」として交通費などを補填できる額の金銭を贈ることです。
また、式中、仲人や司会、受付、写真撮影などのお手伝いをしてくださった方々には、「お礼」としていくらかの金銭を贈ると良いとされており、この「お礼」も「お車代」という名目で渡すことがあります。
同じお車代と言っても両者は意味合いが異なるので注意しましょう。本記事では、遠方ゲストに交通費・宿泊費の補填としてもらうための「お車代」について解説していきます。
お車代は誰に渡すのか
お車代を渡す相手は、どの程度遠方から来るか、そしてどれくらいの金額がかかるかで判断します。一般的な相場としては、片道5,000円以上かかるゲストにお車代を贈ります。
ホテルなどの宿泊代も
中には、結婚式の参列のためにホテルなどへの宿泊が必要になる方もいるでしょう。基本的にお車代は交通費・宿泊費の両方を含むため、宿泊費を加味したお車代を用意します。
結婚式のお車代の相場とは?
相場
遠方ゲストのお車代は、基本的に全額負担です。
交通費、宿泊費などを補填する「お車代」の金額ですが、感謝の気持ちを表すという意味を考えると、基本的には全額を負担してあげるのが望ましいと言えるでしょう。
ちなみに、ゲストにとっては「結婚式に参列したいけれど、交通費と宿泊費はどうしよう」と悩まれる方も多いので、式の招待状を送る際、事前に費用を全額負担させていただきますという旨を伝えることで、相手の心配を和らげることができます。
全額負担が難しければ「半額」負担にしよう
とはいえ、遠方からくるゲストが多かったり、移動にかなりの費用がかかってしまう人を招待したりする場合、全員の交通費・宿泊費を全額負担するのは大変です。その場合は、全額ではなく半額負担をするようにしましょう。半額負担の場合、方法は「交通費の半分を負担する」「交通費か宿泊費のどちらかを全額負担する」の大きく2つに分けられます。
相手にどの程度の金額がかかるか、直接聞くのは難しいので、代わりにどのような交通手段を取るか、宿泊はどうするかなど、事前に予定を聞いて準備しましょう。
親族へのお車代の相場
親族へのお車代は、それぞれの地域や親戚同士の決まりごとに従うケースが多いです。それによって、新郎側と新婦側への対応方法が変わることがあります。2人が知らないルールが存在する場合もあるので、ご両親に確認を取りながら対応しましょう。
友人へのお車代の相場
ご友人へ交通費を渡す場合、もしも以前、ご友人の結婚式に出席したことがある場合は、その時の負担額(全額〜なし)に合わせるといいでしょう。
また、同じエリアから参列してくれる方々が多い場合、お車代がそれぞれ違うと誤解を招くことがあります。事前の取り決めがない限りは、一律の交通費を負担しましょう。
地域間のお車代の目安
遠方への移動をする際、国内での交通手段として一般的なのは新幹線などの電車と飛行機を使うケースです。遠方ゲストには、どの交通手段を使うかを事前に聞いておきましょう。
遠方ゲストが電車を利用する場合
相手から新幹線を使用すると言われた場合は、事前に正規での交通費を計算し、往復の全額・半額の金額を用意しましょう。
遠方ゲストが飛行機を利用する場合
飛行機の場合も新幹線同様、相手から交通手段を聞いた後に交通費の全額または半額を用意することになりますが、飛行機のチケットは移動日や航空会社によって金額が大きく変わるというネックがあります。そのため、飛行機を利用する場合のお車代の決め方は「最安値のチケットを基準にする」「相手の実費の半分を負担する」など、いくつかの方法に分かれるでしょう。
これ以外には、「こちらで航空券を用意する」という方法もあります。これなら相手が航空券を予約する手間も省け、お車代負担の金額も読みやすくなります。しかし、相手が多忙な場合はスケジュールを固定することになってしまうので、相手の都合に合わせて取るべき手段であると言えます。
東京 ⇔ 大阪間の相場
では、遠方のゲストを結婚式に呼ぶとどれくらいのお車代が必要になるのかを見てみます。
東京~大阪間のお車代の相場は以下を目安に考えると良いでしょう。
電車利用の場合:30,000円(全額負担)、15,000円(半額負担)
東京駅~新大阪間の新幹線 普通指定席料金
(片道)14,720円 / (往復)29,440円
飛行機利用の場合:48,000円(全額負担)、24,000円(半額負担)
羽田空港~伊丹空港の飛行機 大人普通運賃
(片道)23,850円 /(往復)47,700円
※1ヶ月後の運賃を検索
※上記は往復割引を適用したもの
ただし、飛行機に関しては早期予約割引が用意されていることが多く、たとえばJALで1ヶ月後の運賃を検索し先得割引を適用すると、羽田~大阪間の片道運賃が9,750円となります。
注意点としては、早期予約割引はキャンセルができなかったりなど制約がある場合が多いのでどの運賃タイプの航空券を購入するかよく検討したり、ゲストと相談する必要があります。
東京 ⇔ 福岡間の相場
東京~福岡間のお車代の相場は以下を目安に考えると良いでしょう。
電車利用の場合:47,000円(全額負担)、24,000円(半額負担)
東京駅~博多間の新幹線 普通指定席料金
(片道)23,390円 / (往復)46,780円
飛行機利用の場合:77,000円(全額負担)、39,000円(半額負担)
羽田空港~伊丹空港の飛行機 大人普通運賃
(片道)38,290円 /(往復)76,580円
※1ヶ月後の運賃を検索
※往復運賃は、往復割引が適用されたもの
東京 ⇔ 仙台(宮城)間の相場
東京~仙台間のお車代の相場は以下を目安に考えると良いでしょう。
電車利用の場合:23,000円(全額負担)、12,000円(半額負担)
東京駅~仙台間の新幹線 普通指定席料金
(片道)11,410円 / (往復)22,820円
お車代はキリのいい数字で渡すので、東京~大阪間の場合は端数を除いた「30,000円(全額負担)」や「15,000円(半額負担)」をお車代として渡すことになるでしょう。
ちなみに、お車代はご祝儀と考え方が違うので、「20,000円」「40,000円」など偶数になっても問題ありません。
お車代なしってアリ?
どうしても払えない場合
式を挙げる上で、予算上どうしてもお車代を出すのが難しいケースもあります。その際は、ゲストへ事前に交通費・宿泊費の負担ができない旨を伝え、それでも出席してほしいことを素直に伝えましょう。
こうした事情以外にも、交通費を負担しないというケースはあります。例えば、交通手段・宿泊先をこちらで用意していたり、相手同士でお車代は出し合わないと決めたりしている場合などです。他にも、事前に「お車代はいらないよ」と相手から申告を受けることもあります。その際は、相手の荷物にならないサイズでプレゼントを用意しておくと良いでしょう。
地域によってはお車代の文化がない場所も
地域によって結婚式の形式は様々なので、お車代に関する習慣も当然地域によって異なります。たとえば北海道や東北の一部などでよく見られる「会費制結婚式」では、新郎新婦はゲストからご祝儀ではなく会費(参加費)をいただくという特徴があります。この会費制結婚式の特徴からお車代を渡すという習慣はあまり見られません。もちろんゲストへのお気持ちとして交通費を贈ることはあります。
結婚式のお車代 封筒選び・書き方
お車代の封筒の選び方
お車代の渡し方ですが、金額によって袋を変えてください。金額ごとに用意すべき封筒の種類をこれから解説します。
1万円以上の金額を包む場合は「ご祝儀袋」
例えば2万円の金額を包む場合は、水引きとのしのついた袋を用意します。この時、水引きは「あわじ結び」「結び切り」をチョイスしましょう。
1万円程度の金額を包む場合は「略式のご祝儀袋」
例えば1万円の金額を包む場合は、水引きとのしが印刷された略式のご祝儀袋を用意します。1万円以上包むときに使用するご祝儀袋を使うと、中身の金額と袋が釣り合わなくなってしまうので避けましょう。
数千円程度の金額を包む場合は「ポチ袋」
例えば5千円の金額を包む場合は、ポチ袋で問題ありません。ご祝儀袋よりも一回り小さな封筒のポチ袋を選びます。ポチ袋は前述のご祝儀袋と違ってお札は三つ折りにして入れます。
お車代の封筒の書き方
お車代を包む封筒を準備したら、次は封筒に表書きをします。書くときは筆ペンか毛筆を使います。
①お車代の封筒の表には「御車代」「御車料」などを真ん中に書きます。
②贈り主の名前を書きます。新郎側のゲストには新郎の名字を記入し、新婦側のゲストには新新婦の旧姓の名字を記入します。入籍後であっても旧姓の名字を記入する点に注意。
③新郎と新婦の共通のゲストに贈る場合は、新郎と新婦の両家の名字を記入します。
お車代の渡し方
受付で渡す
お車代の渡し方ですが、最も一般的なのは受付でのお渡しです。スムーズに対応できるように事前に準備しておきましょう。
ただし、親族や親しい間柄のご友人に対しては新郎新婦のご両親が直接渡すこともあります。この点は、事前に受付を担当してくれる方や、ご両親と話し合っておきましょう。
結婚式までにやっておきたい、遠方ゲストへの準備
結婚式の日取り、式場が決定した後は、いよいよ本格的な下準備が始まります。それと同時に、遠方ゲストへの招待状やお車代のことも考え始めなければなりません。
ここでは実際のスケジュールなどを参考に、結婚式当日までに進めていきたい各種準備をまとめて解説します!
ゲストへの招待状と交通費等への配慮
ゲストへ送る招待状は、一般的に3ヶ月前までには送るようにします。招待状にはゲストが迷わないように、会場へのアクセスや住所など場所を明記する他、会場周辺の宿泊施設も合わせて記載しておくといいでしょう。
また、このタイミングで遠方のゲストに対しては、交通費・宿泊費の負担をどうするかを事前に決めて相談し、心理的な負担を軽減することも忘れないようにしましょう。
遠方ゲストへの意思確認と、費用のチェック
結婚式への参加の意思を表明してくれた遠方ゲストには、事前に当日「どのような交通手段を利用するか」「ホテルなどの宿泊を予定しているか」を確認しておきましょう。交通手段・宿泊先などがわかれば、事前に費用を計算し、それに応じたお車代を準備しておきます。
航空チケット、ホテルなどの事前購入・予約
航空券やホテルのチケットなどに関しては、移動日・宿泊日で大きく変動します。ゲストのスケジュールがある程度決まっているようであれば、こちらで事前に用意し、渡すというのも有効です。
その際も、チケットの用意などはこちらでしてもよいか、事前にゲストに確認しておきましょう。
ご祝儀の配慮は、なるべくお車代で対応しよう
遠方からやって来てくれるゲストに対して、「ご祝儀はいりません」と事前に辞退の意向を伝えることもあります。ゲストの負担が減るというメリットはありますが、実はゲストにとって、言葉通りに受け取っていいものか、とても悩ましいセリフでもあるのです。
せっかくのお祝いの場に、手ぶらでいくことの気まずさを覚えてしまう方もいます。こうしたストレスを避けるためにも、例えば、ご祝儀はいただいて、交通費・宿泊費は全額負担するなど、お車代として調整した方が、お互いにとって気持ちのいい結婚式にできます。
式場へのアクセスが複雑な場合、マイクロバスを用意するのも有効
結婚式の会場が、駅前5分など非常にアクセスの良い場所であれば問題ないのですが、やや遠方の会場を使用する場合、ゲストごとに移動手段を任せるのは大変です。
こうした式場では、主要駅から送迎用のマイクロバスを活用するのがおすすめです。知り合い同士はもちろん、式へ参加する方々の会話のきっかけにもなるなど、様々なメリットがあります。マイクロバスは式場のオプションサービスとして用意されているほか、自分たちでバス会社を比較検討することもできるので、ご予算に合わせた選択が可能です。
結婚式は会場選びからゲストへの招待状、交通費・宿泊費の負担などやることがたくさんあり、非常に慌ただしい時間を過ごすことになるかもしれません。その分、当日は目一杯に楽しい時間を過ごしましょう。そして、そんな晴れの舞台に遠方から来てくれたゲストに対して、心からの感謝の気持ちを忘れずに伝えてあげてくださいね。