運動の効果をより実感する為には、食事から改善していく必要があります。この記事では、運動前後に必要な栄養素、食事のタイミング、コンビニで買えるオススメの食事等を皆さまにご紹介していきます!
運動前に摂取した方が良い栄養素
糖質
一般的に運動をする前のエネルギー補給には糖質が良いと言われています。なぜかというと、糖質は筋肉運動などのエネルギー源として素早く利用可能な栄養素だからです。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)
アミノ酸は、肌や髪、筋肉や内臓などを作るたんぱく質の原料となるものです。私たちの体は、20%がたんぱく質でできていますので、アミノ酸は生命の維持に欠かせないものであると言えます。
20種類のアミノ酸の中でも、運動時のコンディションを維持するために必要なものを、BCAA(Branched Chain Amino Acid;分岐鎖アミノ酸)といい、具体的には、バリン、ロイシン、イソロイシンのことを指します。
BCAAは、体内で必要な量を合成することができない必須アミノ酸の一種ですので、食事などによって体外から摂取する必要があります。しかし、食事を通してアミノ酸を摂取する場合、たんぱく質を内臓が消化・分解することで、アミノ酸が生成・吸収されますので、アミノ酸が体内に吸収されるまでには時間がかかります。
そのため、スポーツドリンクや、サプリメントなどでアミノ酸を摂取すれば、体内に素早くアミノ酸を吸収させることができるでしょう。特にドリンクタイプは運動中に摂取する事もでき、お手軽でオススメです。
(参考:アミノ酸大百科|味の素株式会社)
(参考:江崎グリコ株式会社|健康科学研究所|研究&実験アーカイブ BCAAについて)
運動前の脂質摂取はNG!?
運動前に脂質を摂取すると、パフォーマンスが低下するという言葉を耳にしたことはないでしょうか。確かに、脂質は消化吸収の過程で胃腸に負担をかけやすく、そのほかの栄養素の消化吸収も遅らせてしまうと言われています。
しかし、最近の研究によって、運動前に糖質のみを含む食品を摂取した場合と、糖質に脂質を加えた食品を摂取した場合とで、持久性運動のパフォーマンスに差がないということが明らかになりました。また、中強度の 2 時間程度の持久性運動においては、糖質に加えて脂質を含む食品を摂取することが好ましいようです。
そのため、一概に運動前に脂質を摂取してはいけないという訳ではなく、運動の種類や時間によって、摂るべき栄養素が変化することを覚えておきましょう。
(参考:松島 佳子(2017)『糖質および脂質を含む食品の運動前の摂取が持久性運動能力とエネルギー代謝に及ぼす影響』(東海学園大学紀要 第 21 号)pp.35-48, 東海学園大学)
運動前の食事タイミング
運動の10分前
胃に入ってからすぐに消化吸収できるように、スポーツドリンクや、ゼリー状の栄養機能食品がおすすめです。また、東京慈恵会医科大学・鈴木政登教授の研究では、運動前にカフェインを適量摂取すると、より効率よくエネルギーが消費されるという実験データが示されています。ですから、ダイエット目的で運動を行われる場合は、コーヒーなどでカフェインも摂取しておくと良いでしょう。但し、空腹時に多量のカフェインを摂取してしまうと、胃痛や吐き気、下痢などの症状が出る場合がありますので、あくまで適量を心掛けて下さい。
(参考:全日本コーヒー協会)
運動の30分前
腹四分目以下の量で、糖質を中心に摂りましょう。消化吸収を良くするためにも、柔らかい食品がおすすめです。中でも、バナナやメロン、アボカド等は、糖質と共に筋肉の収縮を正常に保つ「カリウム」も多く含まれているため、特に運動直前の食事に適しています。
運動の1時間前
具入りのおにぎりや野菜が入ったサンドイッチ、そばやうどん、といった糖質中心のメニューで、適量の食事を摂りましょう。しかし、油分や脂肪分が多いものは消化に時間がかかるため、長時間の運動を行う場合以外は避けておいた方が良いでしょう。
運動の2時間以上前
カロリーに気をつけながら、炭水化物、たんぱく質、ビタミンやミネラル等の含まれたバランスの良い食事を摂りましょう。ただし、満腹まで食べてしまうと、消化にたくさんのエネルギーが必要になり、運動前に疲労や眠気が起きることもあります。そのため、腹八分目を心がけましょう。
コンビニで買える!運動前のオススメ商品
コンビニは店舗によって品揃えが異なりますが、ここでは比較的どこのコンビニでも入手しやすいおすすめ商品をピックアップし、それぞれの商品の特徴も記載しました。
ポカリスエット/大塚製薬株式会社
1980年に発売された日本におけるスポーツドリンクの元祖。ヒトの体液に近い組成と浸透圧の生理食塩水(リンゲル液)が発汗で失われた水分を補給する為に効率的である事に着目し、「飲む点滴」をコンセプトにして開発されました。苦味を和らげる為に5%未満の果汁が使用されています。
アクエリアス/日本コカ・コーラ株式会社
1983年にポカリスエットに対抗するべく打ち出された商品。薬に例えるのであれば、ジェネリック医薬品のような存在で、先発品であるポカリスエットに比べて値段が安いのが特徴です。甘みよりも酸味が強く、さっぱりとした味です。
ボディメンテ/大塚製薬株式会社
2018年に発売されたばかりの新しいスポーツドリンク。アスリート向けに特化して開発されたもので、常温保存可能、低カロリー、電解質に加えて植物由来乳酸菌入りという点が主な特徴です。味はすっきりとしたグリーンシトラス風味。
ザバス/明治株式会社
ザバスの歴史は意外と古く、実は1980年からアスリート向けのプロテイン食品として発売されていました。2015年には、ザバスミルクが発売され、その口当たりの良さと栄養バランスの良さからコンビニ等でも急速に普及しました。よく見かける味はすっきりフルーティ味とココア味とベリーミックス味の三種類です。スポーツドリンクではなく、プロテイン飲料に近い乳飲料で、1パック(430ml)中にミルクプロテインが15g、ビタミンBが60.5mg、クエン酸が2500mg配合と、高い栄養素にも関わらずなんと脂肪は0。要冷蔵ですが、200mlの飲み切りサイズは常温保存可能と表示されています。
inゼリー/森永製菓株式会社
森永製菓が1994年に発売開始した、栄養バランスの良いゼリー飲料。発売からしばらくの間は、米国のボディビル・ニュートリションを手掛けるウィダー社と提携していた為に「ウイダーinゼリー」という商品名で販売されていました。しかし、ウィダー社との提携解消を期に、2018年3月から商品名からウイダーが外されました。
エネルギー、マルチビタミン、マルチミネラルなど、栄養成分別に様々なタイプが売られていますが、エネルギー/マスカット味が人気なようです。
バナナ
コンビニやスーパーなどで、いつでも気軽に買えるバナナ。食物繊維やカリウム、ビタミンB6など、健康を維持するために必要な成分を豊富に含み、柔らかく、胃に負担をかけにくいため、運動前と運動後、どちらの栄養補給にも適しています。
運動後に摂取した方が良い栄養素
体を疲弊したままの状態にすると、筋肉の痙攣などを引き起こしやすくなったり、疲れが体に残ってしまったりします。運動後にも栄養をしっかりと補給しましょう。
タンパク質
タンパク質はアミノ酸がつながってできたもので、筋肉や内臓、皮膚、血液などの材料となります。運動直後は内臓も疲労しているため、消化しやすい食品で補給すると良いでしょう。すぐに食べられる高タンパクのオススメ食品例としては、豆乳飲料、プロテイン飲料、ヨーグルト、ちくわ、チーズ、サラダチキン等があります。
炭水化物(糖質)
体内に摂取された炭水化物(糖質)はグリコーゲンに分解され、筋肉や肝臓に蓄積されます。グリコーゲンは運動のエネルギー源として使われるので、運動後には消耗したグリコーゲンを速やかに回復させる必要があります。特に持久系の運動後は、グリコーゲンが多く消費される為、消化のいい食品で糖質を早めに摂取するようにしましょう。パン、おにぎり、麺類、バナナ、干し芋、甘酒などが手軽でオススメです。また、炭水化物(糖質)は、タンパク質と組み合わせて摂取することで筋合成を促進する作用があります。
(参考:厚生労働省e-ヘルスネット)
電解質
電解質とは、水に溶けると電気を通す物質のことで、主な電解質には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあります。電解質は筋細胞や神経細胞の働きに深く関わっており、体内に電解質が少なすぎても、多すぎても命に関わることがあります。
電解質は、発汗により体外へ排出されてしまうため、この状態で水分のみを補給すると大変危険です。そのため、運動後には水分とともに、電解質も補給するようにしましょう。最もお手軽な電解質の補給方法はスポーツドリンクです。運動後だけではなく、運動中の水分補給や、真夏の暑い日にも積極的に摂取すると良いでしょう。
(参考:大塚製薬株式会社|電解質(イオン)とは)
適度な運動と適切な食事で、健康な体を手に入れよう!
健康になるために、適度な運動を心がけている方は多いかと思いますが、トレーニングメニューなどに気を取られ、基本となる食事を後回しになりがち。しかし、効果的に運動するためには、運動前後に体が必要としている栄養素をしっかり摂取することが大切なのです。
記事内でもご紹介したように、コンビニなどでも手軽に運動に適した食品が手に入ります。運動の目的やタイミング別に適切な栄養補給を心がけ、健康な体を手に入れましょう!