「期限がまだ先だから、あとでやろう」と課題や仕事を先延ばしにして、あとから大変な思いをしたという経験はありませんか?後々困ることはわかっているのに、ついついやってしまう「先延ばし癖」。そこでこの記事では、先延ばし癖のデメリットや先延ばし癖に陥りやすい人の特徴について解説した上で、おすすめの克服方法を7つ紹介します。
先延ばし癖とは?
先延ばし癖とは、PCN症候群とも言われており、何らかの原因によって課題や仕事への取りかかりや完了を遅らせる行動をとってしまうことです。具体的には、仕事で取引先への対応を後回しにしてしまったり、公的な手続きを先延ばしてしまったりといった行動例が挙げられます。
このように、先延ばし癖により行動を遅らせることが常習化してしまうと、社会生活に支障をきたしてしまう場合もあるのです。
(参考:医療法人 平成医会│先延ばしする人の特徴とその改善方法)
先延ばしによるデメリット
ここでは先延ばし癖のデメリットについて詳しく見ていきましょう。
ストレスが溜まる
先延ばし癖のデメリットとして、もっとも代表的なものがストレスの増加です。先延ばし癖により、やらなければいけないことが手を付けていない状態のまま積もっていくため、不安と「タスクが溜まっている」というストレスを感じるようになります。
そこに、「溜まったタスクを片付けられない自分自身」へのストレスが重なるため、結果としてさらなるストレスの増加につながるという、負のループに陥ってしまうのです。
生産性・パフォーマンスの低下
なにか別の作業をしていても、後回しにしたタスクのことがつい気になってしまうため、結果的に今進めている作業のパフォーマンスが低下してしまうという点も、先延ばし癖のデメリットのひとつです。
また、後回しにすることでそのタスクに本来割けたはずの時間が削られてしまうため、その分生産性も落ちてしまいます。
成長機会を逃す
締め切り直前までタスクを放置してしまったり、面倒な仕事を後回しにしてしまったりと、先延ばし癖が習慣化すると時間に余裕を持てなくなり、新しい仕事や課題に挑戦するチャンスを逃してしまうこともあります。
それだけでなく、先延ばしによりタスクの完成度が低くなったり、締め切りの期日を過ぎてしまったりということを繰り返すと、周囲からの信用も失ってしまうため、成長するチャンスを得ること自体が難しくなってしまうのです。
自信がなくなる
先延ばし癖がある人に多いのが、自信を持って取り組めるタスクや簡単なタスクはすぐに取りかかることができても、自分にとって嫌なタスクや面倒なタスクなど、やりたくないことを後回しにしてしまうケースです。
失敗することを恐れて、難しいとわかっている仕事を後回しにしてしまうと、十分な準備ができなくなるため、失敗してさらに自信をなくす悪循環に陥ってしまうこともあります。
先延ばし癖のある人の特徴
先延ばし癖があるのはどのような人なのでしょうか?ここではその特徴を3つ紹介します。
楽観的な人
物事を楽観的に捉える人は、つい目の前の楽しいことや興味のあることばかりに目が行ってしまう面があるため、やらなければいけないタスクを後回しにしてしまいがちです。
また、楽観的な人は根本的に、これまでの人生の中で大きな失敗をした経験がなかったり、タスクを先延ばしにしても周囲が助けてくれたりした経験があることから、ギリギリになったら誰かが協力してくれるだろうとつい他力本願になってしまう面があるといえます。
恐怖心が強い人
恐怖心が強い人も、苦手なタスクや面倒なタスクへの恐怖心に向き合うことができず、何かほかのことを行ったり逃避したりすることで恐怖心から離れ、嫌な気持ちを取り去ろうとする傾向があることから、物事を先延ばしにしてしまいがちです。
また、恐怖心がタスクに対する思考を停止させることで、まだ大丈夫だろうと自己完結して、結果的にタスクを後回しにしてしまう場合もあります。
完璧主義な人
完璧主義な人はタスクをしっかりとやり遂げて人の期待に応えることができる能力を持っていますが、その一方で、完璧にこなそうとするあまり、やらなければいけないことを想像した時点でストレスを感じて疲れてしまうことがあります。
また、完璧主義な人はスピードよりも質に重きを置く傾向があるとされるため、ひとつのタスクで消耗する力や時間も大きくなるもの。その結果、下準備に時間がかかりすぎて本題に取りかかることができず、結果的にタスクが後回しになってしまう場合があるのです。
パーキンソンの法則について
先延ばし癖を見直す上でヒントになるのが、イギリスの歴史学者シリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した「パーキンソンの法則」です。
パーキンソンは著書「パーキンソンの法則:進歩の追求」の中で、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」と述べています。これは簡潔に言うと、「人間は時間を与えられると、それを全部使い切ってしまう」ということであり、本来はもっと短い時間で完遂できるタスクであっても、与えられた時間をすべて使って遂行する習性があるということ。
では、このパーキンソンの法則から抜け出し、タスクを効率的にこなすにはどのようにしたらいいのでしょうか。次の項目で詳しく解説します。
先延ばし癖を克服する方法7選
先延ばし癖を改善するための方法を7つピックアップしました。簡単に始められるものばかりですので、ぜひ今日から取り入れてみてください。
ToDoリストに書き出す
タスクの量を把握するためにも “今日やること”と“明日やること”を明確に分けて、ToDoリストに書き出すことを習慣化するのがおすすめです。タスクの量や期限を視覚化することができれば、優先順位をつけて取りかかることができるでしょう。
(参考:日刊SPA!│仕事は締め切りギリギリまで手を付けられない…サボリ癖から抜け出す方法)
やることを細かく区切る
タスクの詳細が曖昧だと、どこから手をつけてよいか分からなくなってしまう上、工数を把握していないことで時間的に余裕があるように感じてしまい、つい後回しにしてしまう場合もあります。そのため、1日のタスクを書き出したら、そのタスクを作業ごとに区切ってさらに細分化させ、順番に終わらせていくようにしましょう。
例えば、営業資料を作成するタスクの場合は「受け手を分析する」「必要なデータを集める」「レイアウトを考える」などに分解してみてください。タスクを細かく区切ることで、それぞれの作業に取り組むハードルが下がると同時に、タスク全体の完了状況も把握しやすくなります。
とりあえずやってみる
とりあえずやってみるというのも先延ばし癖を克服する方法として有効です。どうしてもやる気がでなかったり、様々なリスクを考えてしまったりして、タスクをつい後回しにしてしまうという方もいるかもしれませんが、そんなときは考える前にまずやってみて、問題点があればタスクを進める中でその都度対処していくと良いでしょう。
とりあえずやってみることにより、勢いがつきスムーズに終わらせることができる場合もあるのです。
簡単なことから始める
やらなければいけないことが複数あるというだけで、タスクに取りかかる意欲がなくなってしまうという方もいるでしょう。そういった場合は、簡単にできるタスクから始めるのがおすすめです。
すぐに達成できるようなものから取り組むことにより、「ひとつタスクを終わらせた」という成功体験を味わうことができるため、より次のタスクへの勢いをつけることができるのです。
完璧を求めすぎない
完璧主義な人は先延ばし癖に陥りやすいと紹介しましたが、先延ばし癖を改善したいのであれば「完璧を目指しすぎない」ということを意識することも重要です。
自分に厳しく完璧な仕上がりを追求するというマインドは、称賛されるべきものですが、あまりにも過剰になってしまうと、タスクが思うように進まず逆効果になってしまう場合があるのです。
まずは余裕をもって簡単なレベルから始めてみて、時間に余裕があれば、より良い仕上がりになるようにブラッシュアップさせる、という風に取り組んでみてください。ひとつひとつのタスクの完成度も重要ですが、全体のバランスも同じくらい意識して取り組みましょう。
集中できる環境を作る
先延ばし癖の原因のひとつとして「周りの物事がつい気になって気が散ってしまう」というものが挙げられます。心当たりのある方は、タスクに関係のないものや集中力が途切れる原因となるものをあらかじめ遠ざけておくなど、タスクだけに集中できる環境作りを意識してみてください。
やるべきことだけに集中できるよう環境を整えることでモチベーションが高まり、迅速にタスクを終わらせることができるでしょう。
2段階で締め切りを設定
パーキンソンの法則について紹介しましたが、人は時間が多く設けられていればいるほど、タスクに時間をかけてしまう傾向があります。このように、「まだ締め切りまで時間があるから」と考えてタスクを後回しにしてしまう場合は、自分の中で締め切りをふたつに分けるという方法をとってみましょう。
締め切りまでに全部の作業を完成させるという考え方ではなく、本来の締め切りの前に自分の中での締め切りを設定し、その期日までに仕上げなければならない段階をあらかじめ決めておくことで、計画的にタスクを進めることができます。
ついやってしまいがちなタスクの先延ばしも、それが習慣化してしまうと、様々なデメリットがあります。初めてで不安だったタスクや面倒に思っていたタスクでも、余裕をもって始めてみると、予想以上に短時間で終わったり、思ったより難易度が低いと感じたりと嬉しい発見があるかもしれません。今回紹介した克服方法を参考にして、タスクの進め方を見直してみましょう。