パスタを食べると太りそう、と思っている方は多いはずませんか。とくに糖質制限ダイエットに挑戦している人は、パスタを食べないようにしているかもしれません。
糖質を多く含んでいるイメージのあるパスタですが、ほかの麺類と比較するとどのくらい差があるどうなっているのでしょうか。この記事ではパスタに含まれる糖質や、「実は太りにくい!」といわれている理由を紹介します。
パスタ(スパゲッティ)の栄養素や糖質
まずはパスタに含まれる栄養素をチェックしてみましょう。
文部科学省の食品成分データベースによると、ゆでたマカロニやスパゲッティに含まれる主な栄養素は以下のようになっています。
マカロニ・スパゲッティ(ゆで)100gあたりの栄養素
炭水化物:32.2g
たんぱく質:5.8g
脂質:0.9g
カルシウム:8mg
鉄:0.7mg
食物繊維総量:3.0g
エネルギー:150kcal
(参考:文部科学省「食品成分データベース」)
上記からもわかるように、パスタは炭水化物やたんぱく質を豊富に含んでいます。また、100gあたりの炊いたご飯と比較すると、カルシウムの含有量は約3倍。鉄や食物繊維も多く、栄養に富んだ食材だといえるでしょう。
さらにパスタの主な原料であるデュラムセモリナはご飯よりも血糖値の上昇スピードがゆるやかです。デュラムセモリナとは、デュラムという品種の小麦を粗く挽いたもの。通常の小麦と比べて粒が固く、消化や吸収に時間がかかる点が特徴です。消化吸収に時間がかかる食品は、血糖値が上昇する速度も比較的ゆっくりだといわれています。
原料のほとんどがデュラムセモリナであるパスタも、血糖値の上昇がゆるやかな「低GI食品」。GIとは食後に血糖値が上昇していく度合いを示した数値で、値が高いほど血糖値が急上昇します。血糖値が急に高まるとインスリンが過剰に分泌され、脂肪が蓄積されやすくなる傾向が。血糖値と脂肪の詳しい関係については記事末尾をご覧ください。
乾麺と生麺による違いは?
パスタは乾麺か生麺かで栄養素に大きな差が出ます。生パスタと乾燥マカロニ・スパゲッティで比較してみましょう。
生パスタ100gあたりの栄養素
炭水化物:46.9g
たんぱく質:7.8g
脂質:1.9g
カルシウム:12mg
鉄:0.5mg
食物繊維総量:1.5g
エネルギー:232kcal
マカロニ・スパゲッティ(乾)100gあたりの栄養素
炭水化物:73.1g
たんぱく質:12.9g
脂質:1.8g
カルシウム:18mg
鉄:1.4mg
食物繊維総量:3.0g
エネルギー:347kcal
(参考:文部科学省「食品成分データベース」)
一見すると生パスタのほうがカロリーが低く、ダイエットに向いていると思えるかもしれません。しかし血糖値の上昇スピードは乾燥パスタのほうがゆるやか。これは、水分の多い生パスタに比べて断面のすき間が少なくなっており、消化吸収に時間がかかるからです。
低糖質パスタや糖質オフパスタとの違い
近年では「低糖質」や「糖質オフ」という文言がパッケージに記載されたパスタも販売されています。低糖質パスタはデュラムセモリナの量を減らし、糖質が少ない材料を加えて作られた製品です。通常のパスタと比べて栄養素に違いはあるのでしょうか。
はごろもフーズの「Carboff ロングパスタ」の場合、100gあたりに含まれる栄養素は以下の通りです。
炭水化物:72.8g
たんぱく質:13.9g
脂質:1.7g
食物繊維総量:45.5g
エネルギー:271kcal
炭水化物の量は乾燥パスタとあまり変わらないように見えますが、食物繊維の量が15倍以上に増えています。食物繊維の含有量が増えると糖質の量が減るため、通常のパスタに比べて低糖質だといえるでしょう。
糖質の計算方法
糖質は炭水化物から食物繊維を除いたもの。つまり「炭水化物-食物繊維」で計算できます。
前述した乾燥パスタの場合は炭水化物が73.1g、食物繊維総量が3.0gだったため、含まれる糖質は70.1g。一方「Carboff ロングパスタ」は炭水化物が72.8g、食物繊維総量が45.5gなので糖質は27.3gです。食物繊維を多くすることで、糖質を半分以下に抑えているのだとわかります。
パスタソース別!栄養素や糖質比べ
パスタをゆでたあと、そのまま食べる人は少ないでしょう。パスタソースと絡めるなど、なんらかの味付けをするはず。パスタは使うソースによって栄養素や糖質が大きく変化するので、確認しておくといいでしょう。
(参考:カロリーSlism)
太りそうなイメージが強いカルボナーラですが、意外にもカロリーや脂質が多いのはジェノベーゼ。ジェノベーゼにはチーズやバジルソースなどカロリーの高い材料が使われているからです。
今回挙げた種類の中で糖質がもっとも高くなったのはバター醤油パスタ。具材が少ないため100gあたりに含まれる麺の量が多くなり、炭水化物と糖質も高くなったと推測できます。麺の量を減らしても満腹感が得られるよう、具材を増やしてみるといいでしょう。
トマトソースだけのシンプルなポモドーロパスタはカロリーや糖質が比較的低くなりました。糖質制限ダイエット中にパスタを食べるときは、トマトソースなど糖質が控えめのソースと組み合わせるとよさそうです。
(参考:Oggi.jp│パスタのカロリーと糖質量は?「太りやすい」って実は嘘? 他の炭水化物と徹底比較)
パスタとその他麺類との糖質比較
続いてラーメンやうどんといったほかの麺類と、パスタの糖質を比較してみましょう。
(参考:文部科学省│日本食品標準成分表2020年版(八訂)全体版)
上記の表から、ゆでたパスタがもっとも糖質が高いことがわかります。ラーメンやうどん、そば、そうめんはもともと炭水化物の量が低いため、100gあたりの糖質もパスタより低くなりました。ただし食物繊維総量はパスタがもっとも高く、その分炭水化物に対する糖質の量が低いです。その点を考慮すると、パスタはほかの麺類と比較しても糖質に大きな差はないといえるでしょう。
また、前述したようにパスタの原料であるデュラムセモリナは血糖値の上昇スピードがゆるやかな「低GI食品」。余分な脂肪をつけたくない人にとっては、うどんなどよりも適した食材だといえます。
パスタ以外の麺類の糖質については以下の記事で詳しく紹介しているので、チェックしてみてください。
パスタで糖質制限ダイエット?
パスタは糖質制限ダイエットにもおすすめの主食だと考えられています。その理由は、ここまで何度か登場した「血糖値の上昇」と関係しています。
そもそも太ってしまう原因のひとつは、余計な脂肪が蓄積されること。脂肪を合成し、蓄積する働きを持つ成分のひとつが、すい臓から分泌されるインスリンです。インスリンは食事などによって血糖値が上昇すると分泌され、血液中の糖分を取り込みます。糖分は通常、エネルギー源として利用されますが、余った分は中性脂肪の材料に。このとき脂肪の合成を促すのもインスリンです。
つまり血液中の糖分が急激に増えると、それを取り込もうとするインスリンの分泌量も増加。エネルギーがすぐにたまりますが余ってしまう糖分も増え、脂肪がたくさん作られてしまうのです。
食事による血糖値の急上昇を防ぐためには、消化や吸収がゆるやかな食品を取り入れるのがいいと考えられています。そこでダイエットをする人たちからも注目されるようになったのが、パスタをはじめとする低GI食品です。
前述したように、パスタの糖質はほかの麺類と比べると極端に低いとはいえません。しかし食物繊維が多いことや、固い粒のデュラムセモリナを使用しているため消化や吸収に時間がかかります。そのためGI値も低くなり、血糖値の上昇がゆるやかになるのです。
糖質制限ダイエットにパスタを取り入れるときは、いくつかコツがあります。
まずはパスタの種類。噛み応えのある太めのパスタや、マカロニなどのショートパスタが向いているといわれています。消化吸収に時間がかかるほか、よく噛んで食べると満腹感が得られやすいため、食べ過ぎを防げると考えられています。
2つめのコツはゆで加減。少し芯が残るアルデンテにして、歯ごたえを出すことがポイントです。
3つ目に意識したいのがソースの種類。糖質や脂質が少ないトマト系のソースを選ぶといいでしょう。また、パスタをオイルでコーティングすると消化吸収にかかる時間が長くなるため、オイルソースも糖質制限ダイエットに向いているといわれています。ただし食べ過ぎたり、バターなどの乳製品と組み合わせたりすると、結局糖質を多く摂取してしまうことに。キノコや野菜を加えて具だくさんにするなど、少量でも満足できるような工夫をしてみましょう。
(参考:大塚製薬:血糖値とGIの関係性)
まとめ
糖質の量はそれほど少なくないものの、消化吸収に時間がかかるため低GI食品として認められているパスタ。組み合わせる食材によって栄養素が大きく左右されるので、糖質制限ダイエットに取り入れるときはソースの種類にも気を配るといいでしょう。ポイントは歯ごたえを活かしたまま調理し、よく噛んでゆっくり食べること。食べ過ぎに注意しながら、糖質制限ダイエット中もパスタを味わってみてはいかがでしょうか。