早起きや運動、読書や勉強など、新しい習慣を作ろうと意気込んだものの、たった数日で挫折してしまった…。そんな経験が、誰にでも一度はあるのではないでしょうか。
この記事では、習慣化に失敗して3日坊主になってしまう理由を解説し、うまく習慣化を進めるための8つのコツをご紹介します。これに先立ってそもそも習慣とはどういうことなのか、3つの分類を使って説明し、習慣化をすることのメリットもお伝えします。今度こそ新しい習慣づくりにチャレンジしたい皆さんは、ぜひ参考にしてください。
習慣とは
初めに、そもそも習慣とはどういうことなのかを確認しておきましょう。
日本大百科全書によると、習慣とは「同じ状況のもとで繰り返された行動が、状況に応じて安定化し、自動化されて遂行される」状態のこと。つまり習慣とは、反復によって獲得された行動のパターンであり、何らかのインプットに対して、思考を介さずに自動的にアウトプットされるものと言えます。
ここから、反復を繰り返し、やる気や意思の力がなくとも自然にその行動を取ることができるまで定着させるプロセスが、「習慣化」です。
(参考:コトバンク│習慣)
習慣の3分類
先ほどはわかりやすく行動を例に説明しましたが、習慣は行動だけに限ったものではありません。習慣は大きく3つの分類に分けることができ、行動習慣の他に、身体習慣と思考習慣があります。
1.行動習慣
3つのうちで一番習慣化しやすいのが「行動習慣」です。行動習慣は、勉強や片付け、ブログを書くこと、家計簿をつけること、といった日々の日課や行動に関するものです。毎日繰り返した場合、約1カ月で習慣化を達成することができると言われています。
2.身体習慣
行動習慣の次のレベルにあるのが「身体習慣」。これはジョギングや早起き、禁煙、筋トレなど、身体のリズムに関係する習慣で、習慣化するには約3カ月必要だと言われています。
3.思考習慣
そして、最も習慣化の難易度が高いのが「思考習慣」です。例えばポジティブ思考や論理的思考、ストレス発散思考など、思考の傾向に関するものを思考習慣と呼びますが、習慣化には実に6カ月を要すると言われています。
習慣化によるメリット
習慣化にはある程度の時間がかかることがわかりましたが、習慣化にはたくさんのメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
継続力がつく
第一の利点は、継続力がつくことです。例えば早起きや朝活など、朝型生活に慣れていない人にとっては大変に思えることでも、一度習慣化してしまえば自然に継続することができるようになります。同じように、例えば片付けなど日常の中で面倒に思えることでも、習慣化ができれば、その後は意識的な努力なしで続けていくことができます。
自分への自信につながる
先ほど解説したように、何かを習慣化するためには、最短でも1カ月程度の時間がかかります。つまり、成果が現れるまでは、毎日同じことを繰り返して少しずつ習慣にしていくという地道なプロセスが必ず求められるのです。このようにコツコツと1つのことを継続し、最終的に目標を達成するという経験は、間違いなく自分への自信をもたらしてくれるでしょう。
目標実現しやすくなる
例えば、スキルアップのために資格を取るという目標に向けて、毎日勉強することを習慣化した場合のことを考えてみましょう。習慣として毎日行うことは、「参考書を1日に5ページずつ読む」といった些細なことかもしれませんが、資格取得のためにはこの小さな積み重ねが欠かせません。どんな大きな目標でも、その達成に向けての小さなステップを習慣化して毎日継続することで、目標の実現が近づくと言えるでしょう。
三日坊主=習慣化に失敗してしまう理由
習慣化に多くのメリットがあることがわかりましたが、いざ何かを始めようとしても三日坊主で終わってしまうことは多いはず。
多くの人がうまく習慣化を達成できないのはどうしてなのでしょうか。実は三日坊主には、必ずしも個人の性格のせいとは言えない、色々な原因が関係しているようです。
モチベーションが続かない
習慣化は時間をかけて少しずつ達成するものであるため、すぐには成果が出ません。目に見えた成果が出ないことでモチベーションが続かなくなって、結果的に習慣化を諦めてしまうというのがありがちなパターンの1つです。
何かを新しく始めた時は、脳内で生体を興奮状態にさせる成分である「アドレナリン」が分泌されるため、一時的にやる気に満ちた状態になります。しかし、アドレナリンの分泌は長くは続きません。アドレナリンが出て興奮状態にある時は、ついつい高い目標を立ててしまったり、反対に、やる気が続くと思い込んできちんと計画を立てなかったりします。その結果、アドレナリンによる興奮状態が過ぎた後にはそれを続けられなくなってしまうのです。
習慣化にやる気は関係ありません。やる気に頼らずに、無理なく続けられる計画を立てることがポイントと言えます。
完璧主義になってしまう
完璧主義で自分に対して高い要求を課してしまうことも、習慣化が失敗する原因の1つです。最初から高い目標を掲げてしまうと、失敗した時に自信を失い、習慣化を試みること自体を諦めてしまう危険性が高くなります。
例えば、いきなり「毎日筋トレを30セットやる」という高い目標を立ててしまうと、それまで筋トレの習慣のない人にはうまくいくはずがありません。完璧主義的な考え方をしていると、もし毎日5セットはできていたとしても、30セットできていないのだから失敗だと思ってしまうでしょう。しかし、5セットであっても毎日継続できていれば、それは習慣化ができていると言えるはずです。完璧主義的な考えをやめ、現実的な目標から出発すれば、自信を失わずに習慣化を実現できるでしょう。
(参考:TOWNWORKマガジン│完璧主義者の特徴・原因と治し方|頑張りすぎて疲れてしまう人)
変化を受け入れることができない
三日坊主には、脳の性質も関係しています。人間の脳には、安定を保とうとする「ホメオスタシス」という性質が備わっています。これは脳の防衛反応の一種で、安定した生活や健康を維持するために、変化を「危険」と捉えるようにできているのです。
このため、習慣化をしようとして生活や体のリズムに急激な変化を起こすと、脳はそれを「危険」と見なして拒否反応を示し、結果的に三日坊主になってしまうというわけです。
反対に、習慣化のプロセスをある程度継続することができれば、脳はそれをいつものことだと認識するようになるため、ホメオスタシスが働いてその習慣を継続しやすくなるとも言えます。初めのうちは脳が拒絶反応を示すことを理解した上で、脳が慣れるまでは意識的に続けることが秘訣と言えそうです。
(参考:PRESIDENT on-line│なぜ、何をやっても三日坊主になるのか?)
習慣化させるためのコツ8選
それでは、うまく習慣化を達成するためにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、習慣化のための具体的なコツを、順序に沿って8つご紹介します。
すぐ行動に移す
習慣化は思い立ったが吉日。いつかやろうと思いながら先延ばしにしていては、いつまで経っても始めることができません。何かを習慣化しようと思いついたら、とにかくすぐに行動に移すのが最初のコツです。
目標を決める
実際に習慣化にトライしようと決めた時、あなたなら何から始めますか?先に解説した通り、アドレナリンに頼ってやみくもに始めても後が続きません。そこで、まず目標を決めるのが最初のステップです。
目標は、達成できたかどうかを客観的に判断できる具体的なものにしましょう。例えば、毎朝10分ジョギングする、毎日20分本を読むなど、数字を入れるとわかりやすいでしょう。
目標をさらに小さく分ける
目標が決まったら、その目標をさらに小さく分けて、目標達成に必要なステップをリストアップしましょう。例えば、毎朝10分ジョギングをするという目標であれば、まず今よりも早起きする必要があります。そこで、朝何時に起きるかを決めます。続いて、何時から朝ごはんを食べる、何時になったらウェアに着替える、といったように、毎朝10分のジョギングを達成するための小さくて単純な下位目標を設定していきます。
目標を細分化する時は、ひとつひとつの目標を簡単にするのがコツです。いつ、どこで、何を使って何をするかをできるだけ具体的にしておくと、毎回悩まずに行動できるため、習慣化がしやすくなります。
活動記録をつける
大目標とその達成のための一連の下位目標が決まったら、あとは毎日そのとおりに行動して、記録をつけましょう。記録として実践内容を可視化することで、少しずつでも着実に前進していることを実感することができます。また、もし目標を達成できない日があれば、記録が抜けてしまうため、反省して次の日からまたしっかり継続しようという気持ちがわくかもしれません。
継続するための環境を用意する
習慣化のためにはとにかく継続あるのみ。そのためには、継続しやすくなる環境を積極的に作ることを考えましょう。例えば毎日部屋で筋トレをするという目標を立てた場合なら、スムーズに筋トレができるよう、邪魔なものを片付けて筋トレ用のスペースを確保しておくとよいでしょう。あるいは、ジムを契約してお金をかけることで、継続に向けての適度なプレッシャーをかけるのも一案です。
決まった時間にやる
目標を設定する時には、時間を決めておくのもコツです。何時にするのかをあいまいにしたままだと、他の予定を優先して後回しにしてしまいかねません。毎日決まって何時からと決めるのも1つのやり方ですし、「朝ごはんの前」や「お風呂の後」、あるいは「通勤中」など、既に習慣になっていることに付随させる形でタイミングを決めるのも良いでしょう。
誰かと行う
もし、同じ習慣を身につけたいと思っている人が身近にいるのであれば、ぜひその人と一緒に習慣化に挑戦してみましょう。誰かと一緒に習慣化を進めれば、見られていることが継続へのプレッシャーになります。また、お互いに報告し合ったり励まし合ったりできるため、1人でするよりも継続しやすくなるのではないでしょうか。
まわりに宣言する
自分にプレッシャーをかける方法としては、まわりに宣言するというやり方もあります。身近な友人や家族、同僚に口頭で宣言するか、手軽にSNSで宣言するのも良さそうです。特に、自分が尊敬している人に宣言すると、その人から良く思われたいという欲求が働いて、効果が出やすいと言われています。
まとめ
習慣化は時間のかかるものですが、継続力がつく、あるいは自分への自信につながるなど、様々な効果をもたらしてくれます。今まで三日坊主ばかりで継続が苦手だと思っている人でも、この記事で解説した習慣化失敗の原因を意識して臨めば、きっと今までよりも習慣化のハードルが下がるはずです。最後に紹介した8つのコツを活用しながら、今こそ、気持ちを新たに習慣化に挑んでみてはいかがでしょうか。